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[ベッドに寝転んだまま、右の手首を、軽く振る。
ヒュンっ!という、大気の震える音。
部屋の中の薄闇に、銀糸が舞う]
……Wenn es ist, entscheiden das mindestens lediglich……
[掠れた、呟き]
Bereits, folglich das dieser Korper, der weit sehr unterschiedlich ist……
[手首の動き、それに導かれるように、銀糸は元の場所へと戻る]
[一冊の分厚い本を、棚から出し手に取る。
深緑の表紙には『人狼の系譜』と、書かれていた。
ぱらぱらと、ページをめくる。古い本。
かなり飛ばし読みで内容はほとんど分からないが、どうやら人狼の血の繋がりだとか、歴史だとかが書かれているようだ。
家系図らしきページに、手を止める]
・・・・・・。
[たくさん並ぶ名前。
これだけの人狼が、生きて、死んで。
指で、ゆっくり、家系図の線をなぞる]
ま、うだうだしてても、はじまらねぇか。
[蒼い色の髪を、がしがしと掻きつつ呟いて]
閉じこもってても、状況はかわらねぇし……な。
[言いつつ、ベッドから降りる。
身体の方が滞りなく動く事を確かめると、懐の短刀の存在を再度確認し、部屋を出る]
─…→広間へ─
[書斎にある椅子を一脚ひいて、座る]
いたい。
[眉を少し寄せるが無感情な口調で言って、腰を浮かした。
ポケットに入れた石の角が当たったのだ。
手の平で握って少しはみ出るその石を、ポケットから出して、机の上に置いた。
椅子に座り、家系図のページを開いて、読むでもなくその上に突っ伏した。
銀の髪が、さらりと揺れる]
[ずっと付いていてくれたらしい]
[昨日の会話を思い出し、くしゃりと破顔する]
[起こしてしまわないようにとそっと抜け出し]
[逆に彼女をきちんと布団の中に寝かせようとした]
─広間─
っとー……。
[やって来た広間の状況を把握できずに、かりかり、と言う感じで軽く頭を掻く。
何となく、何が起きてるのかは聞かない方がいいような気がして、所在なく立ち尽くしていた所に、名を呼ばれた]
……ん? 何だよ?
[呼びかける声に含まれるものに、僅か、困惑しつつ。
自分を呼んだ声の主を見やる]
[エルザもまた疲労が溜まっていたようだ]
[起きない彼女の髪を撫で整え、昨日してもらったのと逆に今度は...が額にそっと唇を落とす]
[それからサイドテーブルに近寄って水を一口]
[まだ少し熱かったが、かなり落ち着いてきていた]
[エルザの方を一度振り返り、クローゼットへ。
着替えを出してシャワーを浴びることにした]
[クレメンスは、頭を左右に振った。]
[カップを取りに歩きながら、
青年の困惑げな顔と、裏通りに住みながらも健康的な体に微笑みを浮かべ、]
昨日は、大変だったようだね。
[呼びかける声に、微かに違和感を感じるのは、気のせいだろうか。
ふと浮かんだ考えは、『昨日』という言葉に打ち消され]
ああ……別に、大した事はしてねぇよ。
[素っ気無く言いつつ、転がるカップを右手で拾い上げて、差し出す]
─自室─
[毎日温かい湯船に浸かれることへの感動も忘れ、頭をへりに預けながらユリアンは考えている]
何なんだろうなぁ…昨日のベアトリーチェの行動は。
……ギュンターって爺さんのことがあって、子供には相当堪えることだろうし…それで、精神の安定を崩したとか…?
それとも――
[人狼、と呟く口までも湯の中に沈めた。
ぶくぶく泡が立ち、最後に一つの大きな泡。溜息だ]
わからん…わからんことだらけだ。
[ざばり風呂から上がると、着替えと共に果実の形の装飾がなされたナイフも身に帯びる。
ポケットには入りきらなくて、ズボンに留めて上着で隠した]
アーベルさんやオトフリートさんほどとはいかなくても…
自分の身くらい、守れる状態にはしておきたいよな。
…アーベル、君は。
[カップを差し出され、尋ねようとした言葉は尻すぼみになる。
変わって向けられたのは笑顔で。
アーベルからカップを受け取る時に僅かに指が掠る。]
ありがとう。
間抜けな神父だね。
[切れた前髪をかきあげた]
俺が……何だよ?
[途切れた言葉を訝るものの。
笑顔を向けられれば、やや、拍子抜けしたように瞬きをして]
……まあ、確かに、その前髪は間抜けだな。
[裏庭の穴で切られた、というそれにちらりと視線を向けつつ、さらりと]
[家系図を再び指でなぞって]
ちっぽけなんか、じゃ、ない。あたし。
あたしこんなにもたくさんの、歴史と、血の上に、生きてる。
なのに、なのにこんなに、何もな、いんだ・・・。
[珍しく、独り言を零す。口に出して、確認するように。
淡々とした言葉が、何も無さをより強調し]
でも、でも、ごめんなさい。死にたくないの・・・。
[石を強く掴んで。
少し尖ったその石を握る、手にうっすらと血が滲んだ]
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