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[オブラートに反応したイレーネに苦笑し、本当に苦いのが苦手なんだなと思いつつ]
ええ。
掌に乗るくらいの大きさなんですが、それに粉薬を包んで口に含み、後は普通どおりに水で飲み干すんです。原料が砂糖なので苦味は感じないで済みますよ。
鮭のムニエルなんですか?
[そんな匂いはしなかった、と思う――のだけれども。
アマンダに挨拶を返す前に、思わず、疑問の声が洩れた]
っと、
危うく忘れるところだった。
[しかし正解を知る前に、イレーネが階上に向かうのを見て、僕も立ち上がる]
それじゃ、ちょっと置いてきます。
……時には、厳しい愛も必要なんですかね。
[仕立て屋の女性――ノーラの言いようは、都会の母を思い出させる。
別に不仲になったわけでもないから、祖母の元に行くと言ったときには、大層泣かれたものだ。
懐かしさに目が細まるけれど、浮かんだのは苦笑染みた表情だった]
[アーベルとの子供っぽい会話を一方的に打ち切って(つまりは返答を待たず)、階段を上って、昨晩使った部屋に入った]
[マテウスの声が聞こえたので嬉しそうに微笑んで。]
[ミハエルに頷いて、彼の皿を取り一旦台所へと向かう。]
[降りてきたアマンダにはこんばんはと頭を下げながら。]
[鮭のムニエル、には不思議そうに瞬いて見上げた。]
えっと、ムニエルは今日は無いです…すみません。
代わりにミートローフならあるんですけど。
[言って一度台所へと向かい、スープを注いでミハエルの前にどうぞと置く。]
―二階・自室―
[小さな鞄を探って目当てのものを取り出す。
作業用の白い手袋。これだって多少の防寒にはなるはず]
でもこれじゃ小さいよね。
毛糸のなら私には元々大きいし、きっと伸びるから。
[薄い青の毛糸で編まれた手袋を手に取って。
すぐに下へと戻った]
―…→一階・広間―
[パンも野菜も満遍なく食べながら、薬の話題を何とはなしに聞いてると、自分の声が届いたのか。嬉しそうに微笑んでいる、森ですれ違った、ブリジットと呼ばれている少女。]
…君が作ったのかな?
[目が合ったので聞いてみた]
[男は、椅子の上で伸びをした。昨夜から動いていないようにも見えるが、ズボンの裾に新しい泥の痕がついているのを、気付いた者もいるかもしれない]
くぁー、よく寝たぜ。
おはようさん。
[あくびをしながら、首を回す]
いや、いけずの意味はいいんだけど。
なんで、俺に言われると素直に聞けない、っていう、お前の心情に関して、俺が答えられるんだっての……。
[どうやら、お互い様の自覚はないらしい。
思わず呆れたように呟いたものの、果たしてそれは届いたか]
……っとに、もう。
[軽い頭痛を感じていると、カラスが慰めるように短く、カァ、と鳴いた]
[戻ってきたところでミハエルに教えてもらって]
粉薬を包めるんですか。
水薬は駄目かもしれませんが、丸薬なら大丈夫ですよね?
[まるで魔法の道具の話を聞くかのように]
…でも砂糖が原料じゃ安くない、かな。
この村じゃそうそう手に入りそうにもないですし…。
[チラリと見るのはブリジットの方か。
薬といえば彼女の得意分野のようだから]
[小さく挨拶をして階上へと上がるイレーネとユリアンに手を振って]
イレーネもユリアン君もこんばんは。
だって鮭のムニエルの匂いがするんだもの。
間違いないわよー!
[ユリアンの背中にそうどなってから、ブリジットに正解を聞かされて]
ええ?違うの?!
ミートローフって、何?!
[平皿をじっと見た]
うまそうな匂いだな。俺の分もあるかい?
[男は椅子から立ち上がった。かけられていた上着が床に落ちる]
おっと、これは誰が掛けてくれたのかな?
[上着を拾い上げると、男はそこに居る人々に問いかけた]
[そのまま視線を巡らせる。
ユリアンも部屋に戻っているのか姿がない。
戻ってきてからでいいかとは思いつつ]
…おはようございます?
[目に入ったハインリヒへ反射的に返す。
時間が時間なので語尾は疑問系になってしまったが]
[オブラート、には不思議そう。そんなものもあるんだと思いながら。]
[ノーラの薬の話は、似た話を父が言っていた事を思い出し。]
[ほんの少しだけ、懐かしさと苦味が胸の中に宿る。]
[無論、表には出ないけれど。]
薬は使われる為にあるものだから。遠慮しないで。
[薬を必要ないと言うユリアンには、無理はしないように声をかけながら、上がっていくのを見送って。]
[じっと見つめていた手の中の平皿から目をあげると、
幾人か知らない顔が混ざっているようだ。金髪の少年に、
見知らぬ男が何人か。]
貴方たちも「被疑者」?
こんばんは、「被疑者その1」のアマンダ・モレルよ。
よろしくね。
[ふりふりと軽い調子で手を振って、
平皿にミートローフをよそってしまえと、料理の前へ]
[不意に聞こえた男──ハインリヒの声に、そちらを見やる。
昨夜は、彼が来るのと前後して飛び出してしまい。
戻ってきたら、既に眠った後だったので、言葉を交わす機会もなかったのだけど]
……あんた、ずっとここで寝てたの?
[良く身体持つな、と。
僅かな泥の痕に気づけば、そうではないのか、と察しはしたけれど]
[イレーネの疑問はユリアンも感じているだろうと考え、...は小さく首を振った]
いえ、原料が食品なので、多少多く摂取しても問題ないんです。つまり一枚で破れるなら、2枚や3枚なんて枚数を増やし、すぐに破れないようにするだけでいいんですよ。
でも、包みすぎは問題あるかもしれませんけどね。
[と、そこまで説明して、自分が住んでいる世界と村の経済事情の差を思い出して舌打した。
確かに砂糖や塩など簡単に手に入る訳はない。ただ、医療関連に携わる人間としては、今の使用者の言葉はありがたかった]
確かに、今は手に入りにくいかもしれませんが、私の職場の知人に周辺の村の医療に関して意見を言える立場の人が居ます。その人に使用者の意見としてお伝えしておきますよ。
オブラートを村に手配できなかってね。
[そう言って微笑んだ]
[新たに顔を見せたアマンダとハインリヒに恭しく会釈しながら]
初めまして。
私は村の外から来ましたミハエルと申します。どうも順番からいくと私は「その13」でしょうか?
[そう冗談を口にした]
―二階・個室―
[扉を閉める。廊下からの灯りもなくなり、室内は薄闇に包まれた。
月明かりが窓辺に置かれた机をぼんやりと浮かび上がらせている。空いていた部屋の中で、もっとも光の届く場所を選んだ。石には、それが必要だから]
狭かったよね、ごめん。
[ナップザックの中、紐で口を縛った小袋に仕舞いこんでいた取り取りの石を、卓上に、一定の間隔を保って並べていく。
石の力を保つには、浄めることも重要なのだと、よく聞かされた。
清水、ハーブ、クリスタル――様々な方法があるけれど、お婆がもっとも好むのは、光を用いた浄化の方法だった。
夜に近しい石には、冴えた月のひかりを。
朝に親しい石には、暖かな陽のひかりを。
いつか贈られる人のために。]
今は、おやすみ。
[親が子にするように声をかけ、部屋を後にする]
[マテウスに声をかけ尋ねられ、こくんと頷いて。]
はい、美味しいなら良かったです。
[何となく、この人やアマンダならお肉を沢山食べてくれるだろうと思いながら。]
[ローストビーフを作ったのは内緒にしておいて。]
[名前なんだっけと思いながら。][確か、マテウス、だった気がするが。]
[人数が多いので自信がなくなってくる。]
あ…私の、です。
[朝方は冷たい空気を楽しむためにそも上着を着ようとしなかったから、すっかり忘れていた。そもそも毛布を探してあげようと思っていたのはもっと忘れていたのだが、まあ言わなければきっと分からないはずだ。ハインリヒに向けて小さく手を挙げて]
あのままじゃ風邪引いてしまうかなと思って。
―一階・広間―
[階下に戻ると、また少し、賑やかになっていた。
軽く手を振りながら、その輪へと近づく。まだ赤いけれど、大分マシだ]
や。
僕にも貰える、ええと、鮭のムニエル?
[の割には、魚の姿はちっとも見えない気がした]
[名乗りを受けて手を休める]
[名前は見ていたが、顔と合わせて覚えた]
俺はクレメンスといいます。
クレメンス=ディスターヴェーグです。
村の人が多いと思いましたが、そうでもないのですね。
外の人も同じくらい多いのでしょうかね。
[こくんと頷くブリジットを見て]
いや、ごちそうになってるのはこちらなのでね。ここの宿の料理は…あまり手放しに褒められるものではなかったからありがたい
[と、素直な感想を述べて、パンや野菜も満遍なく食べつつ。そういえば名乗っていなかったか。と。先程起き出した。男も居ることだし、まだ自己紹介していない面々もいるからと]
マテウスだ。厄介ごとに巻き込まれたもの同士、よろしく
なかなか寝心地のいい椅子だったんでね。
[シスターの問いかけに男はにやりと笑った]
ああ、あんたが掛けてくれたのか、ありがとさん。おかげでいい夢が見られたぜ。
[イレーネに礼を言うと、近付いて手にした上着を差し出した]
煙草と酒の匂いが染み付いてたら勘弁してくれよな。
[おどけた口調で言う、男の息にはアルコールと煙草の匂いが確かにしただろう]
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