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こんなに人がいたの……!
[来た時は寒々しいとさえ思えた広間が、今では狭く感じられるくらいだ。
計ったかのように一度に訪れた男達を、ヘンリエッタはざっと観察した。
皆、比較的若い者ばかりだ。アーヴァインの年齢に該当しそうなのは一人だけ。
その一人は明らかに聖職者と判る出で立ちだ。
ここに、自分が探す人物はいそうにない。]
また人が増えていますね、今晩和。
[ が、中に入って早々に見えたのは懲りもせず首を動かそうとして悶絶するトビーの姿。思わず苦笑が浮かぶ。]
……お前な……、いっそ其の頭、押えててやろうか。
『ばらの下で』と言う言葉はね、今この時に使うべき言葉なんですよ。
[先ほど閉じた扉の方に視線を向けつつ。]
そうですね、戻りましょうか。
[新しく来たと思われる金髪の少女が、見た目よりも大人びた挨拶をするのに少し違和感を覚えながら。
それでもまだ挨拶をしていない者たちにと此方も挨拶を]
ウェンディっていうのかい?
あぁ、そう言えばまだ挨拶をしていない人たちがいるんだった。
俺はナサニエル=ウォーレス。
暫くの間よろしくな。
[きょとんとした表情に、この子悪魔ー!と内心で叫ぶも口にすればその報復は以下略で。]
ぅー、勘違いしてるって判ってたくせにー!
”優しい”コーネリアスさんにも悪い事しちゃったじゃないですかー!
[やや涙目なのは、首の痛みのせいだ。絶対にそうに違いない。
無駄と知りつつ、なけなしの意地で言い返しては見たものの。どんどん集まる客人の前で、これ以上己の恥を晒すのは耐え難く。]
……もーいいです。
お風呂行って来ます…。
[逆に今なら空いてるだろうと、*浴場へと向かった。*]
[ ウェンディと名乗った少女の挨拶を耳にすれば、再び人当たりの良さそうな表情に戻り会釈をする。同様に、彼女と同い年くらいに見える赤髪の少女にも。]
俺はハーヴェイ=ローウェル……
とは云っても、此れだけの人間が居ては覚えるのも大変でしょうから、まあ適当に。
[ 例の怪我人の様子を見ていたらしいナサニエルへと視線を移して、]
……其方の方の具合は?
[少し瞳に心配そうな色を宿して問い掛ける。]
[使用人の少女の困ったような表情に、少し逡巡した。
当り前だ。彼はこの館の主。見知らぬ人間が突然尋ねて来て会わせろと言って簡単に会えるものではない。けれど]
急ぎ…じゃないけど、大切なことなの。
[次の言葉を言うのに、震えないよう息を吸い込んだ。心臓が一つ、大きく打つ]
娘が会いに来たと、伝えて頂戴。
[金の髪の少女の挨拶にかしこまって会釈をする。やはり綺麗な方だと思う]
ウェンディ様、ですね。
ネリーと御呼びくださいませ。
[他のまだ紹介を済ませていなかった者たちにもどうぞお見知りおきを、と付け加えた]
[蒼髪の青年に声を掛けられれば、ふわりと微笑んで頷き]
はい。あなたは…ナサニエルさんと仰るのですね?
僅かな期間ですが、こちらこそよろしくお願いいたします。
[優雅に会釈をすれば、長い髪が一筋、頬に零れ落ちた。]
[入ってきた金髪の少女の、外見よりも大人びた挨拶に戸惑いつつ、礼を返し]
ボクはメイ=エアハート。まあ、よろしくね?
[簡単に名乗ってから。
浴場に向かったトビーの言葉に、悪戯っぽく微笑んで]
だって、反応が逐一素直なんだもん……。
[既に聞こえていないのは承知の上で、こんな呟きをもらす]
[茶髪の青年と、綺麗な緑色の髪を結ぶ少女の声を聞けば、やはり先程度同量の笑みを傾け]
ハーヴェイさんと…ネリーさんですね?
よろしくお願いいたします…。
私の方こそ…滞在するのは僅かな時間なので、覚えられる前に立ち去ることになりましょうけども…。
[最後の言葉には、少し物寂しそうな声色を混ぜて…]
[ハーヴェイの問いかけに、ちらりと怪我人を見遣って]
ん?今は落ち着いてるみたいだな。
よく寝てるぜ?
[相変わらず身動きもしない男に少し不安は残るが。
そしてウェンディが挨拶を返すのに少し苦笑して]
そんなに改まらなくていいよ。
俺の事はナサとでも呼んでくれればいい。
[ 彼の少年ではメイには敵わないだろうなと内心思いながら、些かがっくりとした様子で去っていくトビーを見送る。逃げたか如何かは敢えて置いておく。]
かと思えば、今度はルーサーとコーネリアスが遣って来て、俄かに騒がしくなる広間。……騒がしいのが苦手な彼にとっては、少々溜息を吐きたくなる状態か。然し其れを表に出す事はなく、普段通りに会釈。]
今晩和、ルーサーさん、コーネリアスさん。
……全くですね。アーヴァインさんが喜びそうです。
[少年が立ち去るのを、視界の端で捕らえながら、短髪の少女の声に振り向き、笑みは変わらず浮かべたまま――]
メイさん…ですか。よろしくお願いします。
[頬に掛かる一筋を気にせず挨拶を交わし]
所で…そちらで横になられている方は…何処か具合でも?
[僅かな不安を口の端に浮かべて。問い掛ける。]
[少女から告げられた言葉に、僅かな空白を経て目を見開いた]
え…
お嬢様でいらっしゃいます、か?
[娘がいる、などとは聞いていなかった。けれど]
…それは、とんだご無礼を。
[少女のその言葉を疑う様子もないのは、知らな過ぎる故にか。
あの女性の件も原因としてあるのかもしれなかった]
[広間はいつにも増して賑わっていて。
亡き姉が存命だった頃に行われていた茶会を思い出させた。
客人たちに軽く挨拶すると、恰幅の良い年配女性の使用人に、客人に軽いものでも振舞うようにと指示を出す。]
[賑やかになってきたなあ、と思いつつ、新たにやって来た面々にこんばんわ、と挨拶して。
ウェンディの投げた問いに、つられるように眠り続ける男に目を向ける]
……怪我して、運び込まれたらしいけど……。
ああ、私も自己紹介をしなければいけませんね。
ルーサー・オブライエンと申します。
見ての通り、牧師をしております。
[帽子を取って、初対面の子供達に挨拶する。]
[ナサニエルから返された言葉に、微笑みは僅かに苦い色を湛える]
ナサ…さんですか?
じゃぁ、お言葉に甘えて…そう呼ばせていただきますね?ナサさん?
[そして背後から感じる新たな人の気配に、宿泊客が自分ひとりだけじゃないことを感じ、僅かに安堵を覚えながら振り返り――]
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