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いや、本番が重要だろ。だからそれまで省エネで力を蓄えてるんだよ。
[単に面倒くさいだけだとかしながらも納得させれたのか]
ん。また明日なー。俺はもう少しここでだらっとするけど
[突っ伏したまま、手だけあげて軽く振ってリカを見送る。
帰って何するかなんて思いながら茫洋とした眼差しで窓から外を見る。
暑そうだ…暑さは視覚できないが]
─屋上─
[5分前アラームは、しっかりと作動。
この辺りは律儀というか、何と言うかで。
放課後、再び訪れるのは屋上。
人気がないのを確かめ、給水塔の近くにより、空へと手を差し伸べる]
ん、ご苦労、紅鴛。
[ふわり、舞い降りる、真白。
それとしばし、意識の内での言葉を交わして、また、空へ放つ]
大体は、絞り込めてきたが……。
さて、どうするか。
他の連中とも、そろそろ真面目に接触せんとならんかな……。
[ぽつり、と。零れるのは、小さな呟き]
[ぐってりした。うつぶせになった。顔を上げた。
既に放課後。数人の仲のいいグループが喋っているぐらいでほとんどは教室からいなくなっている。リカと同じく部活か帰宅したか何かだろう
またうつぶせになった。そしてしばらくして顔を上げた。]
ぁー…もういてもしゃあない。帰る準備でもするか。
7人目、 ケイコ がやってきました。
ハィッ!
[コートに気合の声が流れる。
高く上がった黄色いボールはラケットへと吸い込まれ。
直後、スパーン!というキレの良い音がコート内に響き渡った]
ん、前に出るのが少し遅いな。
あれじゃ今みたいに簡単に逆サイド突かれるよ。
[スタスタとベンチに移動して汗を拭う。
傍に置いてあったペットボトルもガシッと掴んで一気に煽る]
ぷはーっ。
それにしても今日は暑いっ!
休憩しよ、休憩。
熱射病なんかになったら目もあてられないって。
わたしゃバテたら休んでればいいけど。
そっちは来週から大会っしょ?
体調管理もお忘れなくってねー!
[ケラケラと笑う姿に、ボールケースを抱えた相手は眉を寄せた]
「登録させてくれればいいのに」
はいはい、それは言わないお約束。
部員じゃなくていいならって引き受けたンだからね!
[ヒラリ手を振るその姿は、周囲の部員たちと違いTシャツにホットパンツ。まるで体育の延長のような格好は、正式部員との差を歴然と表わしていた]
いいジャン。
あんたにしてもあの子らにしても動き良くなったと思うよ。
そのままやれればかなりのとこまで行けるって。
[ポンと相手の肩を叩く。
叩かれた相手、女子硬庭部主将はため息をついた]
ほらほら先輩、後輩君が呼んでるゾ。
早くいったげなよ。
折角ギリギリのトコで逃げてンだから。
そんなところから足つくわけにはいかんのよ。
[見送る背には聞こえないように呟く。
ベンチに背を預け見上げた空、流れてゆく雲をジッと睨む]
せめてこの3年間位。
平和に過ごさせてもらってもバチあたらんでしょう。
…おーぃ、キャプテン!
疲れたんで今日はコレで上がらせてもらうわ。
悪ぃケドまた明日!
[えぇっ、と上がる抗議の声は背中で受けて手を上げ返し。
タオルを首に掛けたまま、校舎裏へと歩き始める]
現役外れてはや二年。
スポ根するには遠い昔のお話てなもんだっと。
[そこが「道」になっているのは以前から知っている。
気持ちよい風が通り抜ける木蔭、足を投げ出し座ると目を閉じた]
[かばんにつめた。
これだけでまたぐってりとなる自分の無気力さに二秒ほど感動する
二秒後には何も考えてない]
………
[ほんの少しだけ嫌な予感がしなくもない。予感であってほしいものだと。思いつつ
蝉の合唱に耳を傾ける。煩わしい。今日も平和だ]
…キミらに恨みは無いんだが。
その声が響いていると暑さが増すんだな。
[ひょい、と傍にあった小石を上に向けて投げる。
自分に当たったら危険とか、そんなことは二の次のようで。
ガサッという音と共に、一瞬だけ蝉の合唱が止んだ]
8人目、 ヒサタカ がやってきました。
――3階・東端の空き教室部――
[空の端がようやく到達した頂点から、次第に傾きを見せ始めた時刻。
教室の窓際の後ろ端から、パタンと少々重い紙が閉じた音が響いた。
本を閉じた主は、長時間同じ姿勢で居た為に凝ってしまった肩を少しだけ回しながら立ち上がった。少々年寄り臭いが、体内を伝ってゴキゴキと関節が鳴る音を聞きながら、横においてあった鞄に本を終った。
腕時計に目を落とした。
もう少し時間はある。
だがそう言えば昼休みであるにも関わらず、食事をしていなかった事を思い出すと、途端に腹部から空腹を知らせる合図が鳴り響いた。別段変わる事はないが、それでも誤魔化しついでに何度かお腹を擦ると、購買部で余ったアンパンでも購入しようと空き教室を出た]
ヒサタカが村を出て行きました。
8人目、 ヒサタカ がやってきました。
……しかし、暑いな。
[また、すぐに響き始めた合唱。
特に煩わしがるでもなく、こんな事を呟いて。
空を見、白の影がない事を確かめると鞄を拾って屋上から降りてゆく。
……意識の内には、多少、小言が響いていたかも知れないが、無視、無視]
…こんなんならあいつらの遊びの誘いを受けておけばよかったなぁ。
[あいつらとはクラスメイトのことをさす。
だがその当時には色んなものが足らなかった。テンションとか気力とか。暑さに対する対抗力とか。今も足りているとは思えない。ほとんど常時品不足だ。不景気と言うのはここまで蔓延してしまうものだろうか。ぼんやりと考えながらいい加減見飽きたとばかりに、席を立って廊下に出た。]
―科学室―
「と言う訳で、夏休みの課題は炎色反応のレポート。以上、解散!」
はーい、センセおつかれ! 先輩達もさいならー。
[科学部顧問の声と共に、数名しか居ない部員は適当な挨拶を交わして出て行く。顧問が顧問なら部員もいい加減なものだ。
ちなみに、炎色反応のレポート=花火でもやっとけ、である]
[結局、目的のブツの購入に成功した彼だったが、そのまま気ままに校舎を歩きながら食し、ぼんやりと空を眺め、また空き教室で授業を更けて本にのめり込み……気づいた時には空が半分程度オレンジ色に支配されていた]
……あ、授業忘れてた。
[どこかぼんやりとした眼で空を眺めてぽつりと呟くやすぐに授業の事など何処かへ流してしまうと、次に浮かんできたのは今日一日ほとんど放置してしまった恋人の事だった。
しかし、しばしの間恋人を思い浮かべると、何かあれば連絡があるだろうと、生来の気質を思いっきり発揮して結論つけると、再び校内を徘徊しはじめた。
比較的午後の夕日は熱を溜め込みやすい。
そんな暑さから逃げるために一回の、テニスコートのある校舎裏方面に回った時、ケイコの姿を見かけた]
…………。
[そして僅か15秒、何かを考えた様子を見せてそのまま素通りするべく再び歩き始めた]
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