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[作業台から立ち上がり、出来上がった布を紐に掛ける。
色とりどりの糸が収まる作業箱を閉じようと伸ばした手指が、
ふと止まり、指先が糸から糸へとゆるやかに移動した]
…――ず、随分…
[暫く糸の補充にいっていない。
次に使う心算の色の糸はもう数巻しか残っていないし
空いている部分も随分多い列に 息をひとつ吐いた]
――……い、行かないと。
[いつもの仕入れ先は、オネェ言葉の服飾師の居る店だ]
[布かき分け辿り着いた扉は、音も無く開く。
内よりも少し低い温度に、ゲルダは目を細めた。
丁度隣の住人が買物から帰ってきたらしきところで、
顎を引いた上目で会釈し、すれ違う。
くぅ。
小さく、腹の虫が鳴いた。
すれ違った際に香った匂いは、果実のものらしい。
そういえば暫く何も食べていない事を思い出す。
ゆったりとした足取りで、部屋を後にした。]
─ 自住居穴前 ─
[訪ねてきたのは頼まれていた服の依頼人で、散歩がてら仕立ての進捗を聞きに来たらい]
ええ、ご希望通りに。
街へのお出かけ用ですか?
──…そう、それは楽しみね。
ありがとう、楽しみにしておきます。
[頼まれたのは外出着で、依頼人は街で暮らしている娘と孫に会いに行くために新調したかったのだと言う。
出かけた際には仕立てのお礼にお土産を買って来てくれるとのことだった。
それに柔らかく礼を告げると、依頼人は別れの挨拶をして立ち去っていく]
―宿屋―
……ん、あぁ、ノーラさんお久しぶりです。
[にこり、と人当たりの良い笑顔をノーラ>>25へと向ける。
誰に対してもそうなので、笑みが逆に胡散臭く見える、とは誰の言だったか。]
あらー。
これはまた豪快に……。
[見せて貰った腕輪>>27に、なんともな感想を口にする。]
…そうですね。
大事な物はちゃんと直してあげないと可哀想です。
[ノーラに優しい微笑みを向けて、鍵を渡して部屋へと向かう姿を見送った。]
……ん?
母さんどうしたの?
[ひょこ、と厨房から様子を見にきたらしき母親に首を傾げる。]
え、いいよいいよ。
あともうちょっとだし。
ここで最後だから。
[外へ行ってきたら、という母親の言葉に片手を振って答えて。
やりきっておかないと落ち着かないと、
説得して掃除を続行してから、母親と店番を交代したのだった。**]
―→村内―
[広場の方へと向けて歩いて行く足音は、微か。
網上げの革のブーツの底は柔らかく、随分と長い物。
足首までの長いスカートの裾には刺繍の猫が眠る。
肩から斜めに掛けたショルダーバッグにも同じもの。
途中 服飾店の見える道を通りかかり視線を向け
人が訪れている様子を視とめて一度足を止めた時、
くぅ。と、また腹の虫が鳴いた。]
…――さ、さ先に、
[ゲルダは馴染みの食堂へと向けてまた歩きだした]
11人目、交易商 ミリィ がやってきました。
―隧道の出口―
……何とか、今回も無事に辿り着けたようだね。
[驢馬の手綱を曳いた女は立ち止まり、岩山に切り取られた空を見上げながら緩く息を吐く。
そして眸を伏せ、旅の無事を感謝する短い聖句を唱える]
宿に着いたら、飼葉をいっぱい食べさせてあげるから。
もう少しだけ頑張って。
[重い荷を負い付き従う、忠実な驢馬の首筋を労わるように優しく叩き、宿へと向けて歩き出した]
[宿に足を留めたなら、手馴れた様子で宿帳にペンを走らせる]
────────────────────
■名前:エミリー・コシェバ Emilie Koseba
■年齢:24
■職業:交易商
■経歴:村々を巡り、不足する品を商う旅商人。
長年村に出入りしているため、村人の中には『ミリィ』と愛称で呼ぶ者もいるだろう。
────────────────────
12人目、画家の娘 ロミ がやってきました。
[真っ白のキャンパスに、色が躍る。
父の手にある筆が、それを成していく。
娘は、物心ついた時から見ているこの光景を飽きた様子もなく見ていた。**]
─ 広場 ─
[ゆっくりと歩いて、たどり着いたのは広場。
柔らかな光に、僅かに目を細めて息を吐く]
……ん。
[呼びかけられて視線をめぐらせれば、目に入るのは依頼主の姿]
ああ、もう少しで玉《ギョク》の清めも終わるよ。
そうしたら、すぐに取り掛かるから。
形は、俺の好きにしていいんだよな?
[問われた作業状況に、問いを交えながらこう返す。
肯定が返れば、ん、と頷いて、家へと帰る依頼人を見送った。
翠に宿る光は、ごく穏やかなもの]
[自宅に散らばる書物の中には、青年が持つには相応しくない物も紛れている。
――少女が望む夢の様な、美しく華やかな夢物語。
――可愛らしい絵柄が全面に押し出された幼い子向けの絵本。
多種に渡る中に、人狼についての物、呪術についての物もある。
研究者の女性、ベアトリーチェに出会った時、話を聞き、連絡先を交換した。
二年間、村には薄情にも手紙を出していなかった癖に、だ。
慣れない敬語に何を彼女が思ったかは知れないが、決して敬語もどきは崩さなかった。
話の流れで、自分の居た村について話す事もあったりもしただろう。
「良い村っスよ。外に慣れると狭く感じるかもしれないんスけど」
村の中ではそんな言葉を形にする事は*決して無い*]
―宿・厩の前―
[一心不乱に飼葉桶に首を突き込む驢馬の傍らで、降ろした荷物を大まかに仕分ける。
部屋と厩を何度か往復して荷を運び込み終える頃、驢馬の食べっぷりに影響されたか、しきりに空腹を訴える腹に女は苦笑して]
……後は部屋でやるとして。
取り敢えずは、私も食事にしようか。
[立ち上がり、宿の食堂へと*向かった*]
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