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[エーファにもユリアンのことは伝え、薬のことや食事を運んだ方が良い旨を伝えた。
食事は手が離せないようなら運ぶのを手伝ったりもする]
…しっかし、あんまりやることもないよな。
[屋根の雪下ろしでもすっかなー、なんて考えるのは、基本的に力仕事しか出来ないが故。
この後に起こることなど、予感すらも抱いていなかった**]
─ 2階客室 ─
[エーファが様子を見に来てくれれば、熱でうるんだ瞳を向け、ビルケのための食事を頼むだろう。
残り物の野菜くずを柔らかくなるまで煮込んでほしいと。]
面倒をかけてごめんね、でも……。
もう、こんな…おばあちゃんだから…。
[自分のことが話題になっていると気づいて、顔だけを上げる白髪交じりの老犬は、寒さ厳しいこの時期を越せるだろうか。
ユリアンにとっては母とも姉とも思える存在だけに、離れて暮らす家族よりも心配で。
人間の風邪が犬にうつらないと知っていてよかったと心底思う。
そうでなければ、モリオンが嫌がっても、ビルケを暖かな広間で休ませてほしいと頼んでいただろう。]**
─ 厨房 ─
[人の気配に、少年を見守っていた黒猫がぴくり、と身を震わせてそちらを見る。
直後にかけられた声>>38に、刻んだ野菜を鍋に放り込む手が止まる]
あ、おはようございまーす。
[居住まい正して挨拶。合わせるように黒猫も鳴く]
それが……橋の所に、氷の堤ができちゃってて。
橋……壊れちゃったんです。
それ見てびっくりして、その……。
[大声を上げていた、とまでは言えなかったが、決まり悪そうな態度からその辺りは伝わるか]
とりあえず、今無理に通るのは危ないから、村からの救助を待とう、って、イヴァンにーさんが。
……氷って、思ってもない所で割れるから、無理に渡らない方がいいですし。
[ほんの少し声音が強張るのは、過去の経緯故の事。
その様子に、黒猫が案ずるような声を上げて鳴く]
どうするにしても、ちゃんとご飯は食べないと、だから。
できたら、報せますねー。
[殊更に明るい口調でその強張りを飛ばそうとの試みは、上手く行っている……と、自分では思っていたが、実際にはどうだったか。
何やら考えるような素振りにはどうしたのかなー、なんて思いながらも、問いかけるほどの余裕はなく。
ライヒアルトが厨房を離れると、小さく息を吐いて食事の準備を再開した]
[スープを作って卵をゆでて、パンやハムを用意して、と。
そんなばたばたが一段落した頃に、動き回っていたイヴァンからユリアンの体調の事を教えられた。>>41]
ユリさんが?
ありゃ……昨夜、冷えちゃったのかな。
わかった、ちょっと様子見てくるよ。
[風邪をひいたと一言で言っても、症状は様々。
あった薬を合わせなくては効果は薄い]
あ、ご飯できてるしお茶も用意できてるから、先に食べちゃっていいからね。
みんなにも伝えといてー!
[そう言い置いて走り出す。
向かうのは二階のユリアンの部屋。
行く先を察したのか、黒猫はいってらー、と言わんばかりににー、と鳴いた]
─ 二階・ユリアンの部屋 ─
ユリさーん?
風邪ひいたっていうけど、どんな感じ?
[部屋を訪れ、最初に問いかけたのはこんな事。
大丈夫じゃないのはわかっているから余計な事は言わず、顔色を見たり喉を見せてもらったり、とできる範囲の診察をして]
んー……んじゃ、熱さまし煎じてくる。
スープも持ってくるから、食べられるだけ食べてね、食べないと薬の効きも悪いから。
[出した結論に応じて告げると、犬の食事を頼まれた。>>43]
ん、そっちも大事だもんな。
面倒なんて言わないのー、元はと言えばじっちゃんが寒いのに外でー、なんて言い出したのがアレなんだから。
[大本は歌い手なのだが、さらりと責任転嫁して]
ビルケもだよ。
困った時はお互い様なんだから。
……ユリさんの傍で、ゆっくりしてな。
[調子が悪い時は、親しいものの温もりもまた薬となる、とは師の受け売り。
それ故に、こんな言葉をかけてから部屋を出た]
……えーっと、熱さましっていうと、あれとあれと……。
[ぶつぶつと呟きながらまずは三階の自室へ。
部屋に入ろうとした所で、丁度出てきた祖父に声をかけられた]
なに、じっちゃん?
……あ、うん、わかってるよ。
[外に出られなくなった事と、それに伴う客人の世話の話に短く頷いて。
更に何か言おうとする気配に、あ、これ長くなる、と察して]
あ、長くなるなら後にして!
ユリさんが具合悪いから、薬用意しないといけないから。
そっち、優先!
[先んじて言い切り、部屋へと駆けこむ。
閉まった扉の向こうで落ちたため息には気づかないまま、部屋の一角に設えた薬草の棚から必要な物を取り出して厨房へと取って返し。
その後は薬湯を煎じて届けたり、備蓄を確かめたりと一日忙しなく動き回る事となる。**]
─ 2階客室 ─
[イヴァンから伝えられて>>41いたのだろう、やってきたエーファの対応は、
「熱さまし煎じてくる」「食べないと薬の効きも悪いから」>>47
と明快だった。
「元はと言えばじっちゃんが寒いのに外でー、なんて言い出したのがアレなんだから」>>48
と続けられれば、]
うん……実は、昨日の夕方には寒気がしてたんだと思う。
今思えば、演奏会をすると聞く前から……。
自覚してなかったけど。
エーファには手間をかけて申し訳ないね。
…村への橋が、壊れたんだって?
しばらくごやっかいに、なるしかない、のかな…。
[掠れた声で確認する。]
─ 孤立の翌朝 ─
─── ぶえっくしょん!!
[その日は寒さで早朝に目覚めた。
どうやら前日に空気の入れ替えのために開けた窓を閉め忘れたらしい]
うー、寒ぃー。
[両腕を擦りながら窓を閉め、カーテンまで閉めてしまう。
陽を遮った室内は薄暗く、良い塩梅の暗さ]
もーちょい……。
[そのままベッドへと潜り込んで二度寝の構え*]
─ 演奏会の翌朝 ─
そうですか。
[氷の堤が橋を壊した事と、それによる孤立。
館の主にそれを知らされた旅人は、それだけを小さく呟いた]
いえ、いいんです……それならそれで、かくれていられます。
[しばらく出られない、という主に旅人はふるふる、と首を横に振る。
感情薄い様子に主は眉を寄せつつも、それ以上は何も言わず。
ただ、ちゃんと食事を取って体力をつけるように、とだけ伝えて部屋を出た]
…………はい。
[それに、旅人は小さな頷きを返し。
昼近くに厨房を訪れ、スープとパン、それと水差しを求めるとまた部屋へと閉じこもった。
どこか浮ついた足取りで進むその姿は、傍目には幽鬼の類にも見えたやも。**]
─ 孤立当日/夜 ─
あー……疲れた。
[朝から一日動き回っていたせいか、日が暮れる頃にはすっかり疲れ果てていた]
……お客多いのは、いつもなら気になんないんだけどなぁ。
[そう、来客自体は嫌いじゃない。
だから、苦手意識の抜けないカルメンに泊まる旨を伝えられた時>>9も、「構いませんよー」と返せていた。
元より、祖父が構わないと言っているのにこちらがごねる筋もないわけなのだが、それはそれとして]
集中力、落ちてるよなあ……兆候あったみたいなのに、気付けてなかったとか。
[思い返すのはユリアンとのやり取り。>>50
自覚症状もなかったようだから、無理もないのだろうけれど、病の兆候を気取れなかったのはちょっとだけ悔しい。
そんな悔しさもあったから、掠れた声での確認にも「完治するまではここでゆっくりして!」と言い切ったりもしていたのだが]
あと、あっちの旅人さんもなー……。
前から思ってたけど、食細すぎるし……。
[厨房に食事を求めてきた時の様子>>54を思い出して、ため息ひとつ。
スープとパンだけでいい、というから、もっとちゃんと食べてー! とゆで卵やらサラダやらも押し付けようとしたがするりゆらりと避けられた。
あれは駄目だ、後で滋養のある薬湯だけでも飲ませないと、なんて。
あれこれ考えている間にのしかかって来た睡魔は重く──それに囚われた結果の眠りは深いものだった。*]
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