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え、と。……ありがとうございます。
[名を褒められるとは思わなかったから、
少しだけ驚いたように青を見開いて、小さく頭を下げる。
続く言葉は、小さく笑みを向けて]
ブランさんも、優しい方だと、思いますよ。
でも一番いいのは、やっぱり無事に演目をこなす事だと思いますから
気をつけて、頑張ってください。
[蹲ったままの少女を見るや、暫し躊躇うように視線を巡らせた後、更に数歩近付く。それからその顔を覗き込もうとするかのように屈み込む。]
えっと・・・立てる?
[花を左手に持ち替え、右手は少女の目前に。]
あら?
[メインストリートに面した窓。
小鳥に手を伸ばそうとした手におちた花びらがある]
これは、紙ふぶきかしら…?
シャロ、みてごらんなさいな、シャロ…。
[何枚も何枚も振ってくるそれを手でうけとめると、
部屋の奥に居る、’娘’を呼んで。]
はい。気をつけてください。
[おどけるような口調に、
やはり、くすくすと笑いを零して]
…そういえば、どんな魔術をなされるんですか?
見習いとはいっても、実演するぐらいですから
[きっと、随分凄いものなんでしょうね。
緩く首を傾げる。青の髪がさらりと揺れた。]
きゃあ…!
[娘へと差し出したその手が、軽く叩かれたように動き。
部屋の中を紙ふぶきが舞う]
こら、シャロ、はしゃぎすぎですよ。
[軽く娘をたしなめると、また帽子の用意をして]
わかっているわよ。もう。
出て行きたくって仕方ないって顔だわ。
[楽しそうに空を撫でると、娘を伴って、メインストリートへ]
[差し出された手と、
目の前の青年とを見比べて、
小さくもう一度頷くと、
手は借りずに立ち上がって。]
立て、た。
[眉を寄せながらも答え、
涙を払うように首を振る。]
それにしても、賑やかなもんだなぁ。
[次々とやってきて、パレードに加わる人々の様子に、こんな事を呟く。
それに同意するように鳴いた黒猫が、子供に尾を踏まれそうになって避ける様子に苦笑しつつ]
ほら、こっち来てろ。
[手を差し伸べ、黒い身体を肩へと乗せ、また歩き出す]
ん。良かった。
怪我とか、してない?
[体勢はそのままに立ち上がった少女を見上げ、差し出したまま行き場の無くなった手は元の位置へと戻る。]
[メインストリートを、娘をともなって歩く。
けれども人の波にまぎれているはずなのに、
女のとなりには、なぜだかいつも、
人ひとり分の空間が空いていた]
メインストリートにこんなに人があつまるのは、
お正月くらいかしらね。
クリスマスは、みんな家でお祝いをするし…。
[にこやかに、娘と語らい、歩いていく]
そう、なかなかに大掛かりな魔術ですよ。
でも、内容は秘密です。
[笑いながら、人差し指を立てて、自分の唇に当てる]
私自身はカードマジックが得意なんですけどね。
それと占いも少々。
[馬車の後方から降る白い花の吹雪に、レンズの下で目を細め]
――これは美しい。
けれど…もっと色とりどりの方が美しいでしょうに。
[言ってから肩を竦め]
まあ、さすがの魔術師殿もそこまでは難しいでしょうかね。
[予算や手間が、と小さく呟いて。
パレードが進むメインストリートの人込みを避けて、裏通りへ]
そうですよね、秘密にしておかないと。
楽しみが、へっちゃいますもんね。
[同じように、人差し指を立てて、口許に当てる。
くすくすと笑いを零して。
ふと、続く言葉に、興味を惹かれたのか僅かに姿勢を正す]
カードマジック、ですか。
占いが出来るって、凄いですね。
[それは、やらないんですか?
緩く首を傾げ、小さく問い]
ええ、そう、占いの方は、ね。
大切な時にしか、出来ないんです。
でもカードマジックはお見せ出来ますよ。
ほら!
[パチン、と指を弾くと、一枚のカードが指の間に挟まれている]
なら、良かった。
通りは人も多いし、気をつけるんだよ?
これ?
うん、さっき落ちて来たんだ。
――嗚呼、そうだ。
[白い花を見つめる少女の頭、結わえられたリボンの辺りに手を伸ばし――]
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