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― 2階個室 ―
[2階へと上がって自室ときめた部屋に入る。
ネームプレートみたいなものは付けていない。
そのままベッドに横になって]
――何事も、なければいいわ……
[ショールに包まったまま、ハーブに混じる違う香りに瞳を閉じる。
ゆるりと眠りに落ちる意識の中で、その香りに獣臭さは感じないまま。
夢も見ずに、朝を迎える**]
[ヴィクトールの愛情表現に僅かな羞恥をみせるアレクセイに
口角をあげ眺めるは、歳近く気心も知れた相手と思うから。
礼の言葉には先とは違う柔い表情を浮かべ]
どう致しまして。
いつもやってる事に礼を言われるのは妙な感じだな。
[そわと視線を泳がせ呟く。
アリョールとフィグネリアの感想が聞こえれば]
口にあったなら良かった。
[と短く返し笑みを向ける]
片付けは――…、いや。
指の傷に響くといけないから。
[フィグネリアに止める言葉を掛けた]
―広間―
それは、有難い。
[アレクセイの申し出に、こくりと頷く。
そして、すぐ食事に戻ったため、頭を撫でられる瞬間は見えず]
…?
ああふむ。言われてみれば、確かにアナスタシアが居ないな。
未だ、2階のあの一番手前の部屋に居るんだろう。
[幾つかの話題を聞き拾い、反応する。
掃除用具を探したときに、彼女の部屋もノックしていた。
その時には反応があったため、場所を覚えている]
[オイシイ][アリガトウ]
[――モウヒトリノブンワ]
[周囲の声がうまく聞き取れない。
物置で会ったアリョールが険しくした表情も
見知らぬ顔が寄越す会釈へもうまく視線は定まらず。
イヴァンと、
もうひとりが作った食事をゆっくりとぎこちなく味わう]
―― え、 あ。
ああ、うン、とてもオイシカったヨ
[イヴァンから掛かる声に、そんな返答をしてから。
申し出の内容に気づき、頷く。
ほっと、したのがさすがに顔に出てしまっただろう]
アナスタシアさん?
最初に彼女が来たのなら、多分一本しか持って行っていないと思うけど。
最初に来たのは誰だったのかしら。
[一本だけ足りなかったナイフ。
自分の分は今もポケットに収っている]
指はそろそろ大丈夫じゃないかと思ってるんだけど……。
じゃあ、誰かにお任せするわ。
[イヴァンの言葉にワゴンの上に食器だけを載せることにして。
その後は部屋に戻ってベッドに倒れ込んだ。
かび臭い事を除けば十分な部屋だと思う。
眠りにつくのはそれからすぐ。
朝がくるまではぐっすりと、眠りに*ついていた*]
[イヴァンの様子に、僅か、悔しそうな表情になる。
いくら気心知れているからといって、子供のように扱われる己を見られるのは恥ずかしいものだ。
照れる様子にはにやりとすぐに表情を作り変えた]
言われとけ。
村に戻ってからもまた頼む。
[ちゃっかり押し付けようともするのだった。
アリョールの頷きに、後で欲しい本があれば、と自分の部屋に名を貼ったことを伝えておく。見れば判る事ではあったが、念のため]
[それから暫く話した後、食事を終える。
元より食の量は多くない。
ヴィクトールが部屋に行くのなら、自分もすぐに席を立つ]
悪いが、洗い物も任せる。
[それだけ言って、自分もまた二階に上がる。
ヴィクトールの部屋はどこだかわかっているから、すぐに其方の部屋に足を運んだ]
具合は?
大丈夫だと言っても、信じない。
看病はするからな。
[問いかける言葉。心配そうな表情は、部屋の中で隠すことはなく。
もちろん看病は申し出て、寝るまで傍から離れるつもりはない。
出て行くように言われていなければ、そのまま部屋の床で眠ってしまっているかもしれないのだった**]
後は俺がやっておくよ。
ありがとう、フィグネリア。
[片付けの礼を彼女に伝えてから
席を立つニキータを誘い階上へと向かう]
部屋、もう決めてる?
未だなら一夜限りでも寝床を確保しようか。
[外に出る事は叶わないから広間よりも静かな個室に足を向けた]
―広間―
[広間から、順々に人が減っていく。
立ち去る人々には、自分が片付けを引き受ける旨を伝える]
作ってくれた人間に、これ以上任せるのもな。
[ちなみに、片付けが終わると、皿の1枚、フォークの1本から、部屋全体までがピカピカに磨き上げられていたりする]
[食堂の灯りが遠ざかれば、足取りも呼気もいくらか軽く]
…いや、
正直どこが空いているのか、さっぱり判らなくて。
[張り紙と、イヴァンの記憶を頼りに空き部屋を確保。
扉を閉めれば心地よい闇も、
二人ならばとランプに仄かな火を灯す]
[ランプの灯された個室には二人分の影が仄かに揺らぐ]
部屋が見つかって良かった。
これでゆっくり休めるかな。
[閉まった扉の近くに立ったままニキータを見遣る]
俺が居たら休めるものも休めないか。
[軽く肩竦めて]
ニキータ、……落ち着いたなら俺は行くよ。
人狼かもしれない俺と二人きり、は――…
[拙いだろう、と思う言葉はうまく音にならず]
[残された1人分のトレイは、厨房に下げておく。
アナスタシアの部屋に届けるという選択肢も有った筈だが、そんな優しさは持ち合わせていなかった。
それでも一応、アナスタシア用と書いたメモだけ置いておきはした。
ベルナルドの申し出には、僅かに首を傾げる]
…見学?見学するような事が、何処に――…、
[言いかけて、彼の身分を思い出す]
珍しいだけなら、邪魔はしないで欲しい。
手伝う気が有るのなら、説明はする。
[ちなみに教え方はスパルタだが、論理明快のため理解はし易い筈]
[夢を見る。
逃げてきてから、毎日見る夢だった。
何のことはない、仕事の夢だ。
逃げることが出来ずに、働いている夢。
最初は嫌で仕方なかった仕事も、2年も経てば慣れても来た。
通ってくる常客に気に入られて、殆ど「専属」だったせいもある。
髪を切るなと言われたのは何年前だったか。
あと**年待てば――男の言うその数字が減っていくのが嫌だった。
3つ年上の仕事仲間が手を貸してくれて逃げることが出来たけれど。
夢の中で、今日もフィグネリアは、男の前で少女のような笑みを*浮かべている*]
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