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[服を着たまま海に入り
まとわりつく布をわずらわしく思った。
ただ、彼女が、『空』に帰るため、
次の絵師の絵を描ききれる時間を稼ぎたかった。]
[指先から感覚が冷えてゆく。
逃げてと
彼女のお願いが、かなえられるわけもないから、
ミハエルが自分の絵を描くであろうその時まで、海に潜るつもりで。
いつものゴーグルをつけていない目は、
海水の中で開いていることがつらくて、
ぎゅうと閉じたから、波の様子も見えない。
打ち付けた傷が、ひやされて、少しいたんだ。]
[それでも目を開ける。
先程のように痛くはなかった。
ただ、上にのぼって、海面に浮かぶ自分の身体が見えた。
もっと奥へいけるかもしれないと、
少女は足を蹴った。
ここは水の中なのだろうか。
そうだとしても、苦しくはなく、このまま進めば
『海』を見れるかもしれない。]
[ふと届いた心のこえに、
少女は小さく笑った。
だけれど、それは相手に伝わらず、
少女もまた、すぐに『海』をゆく。]
オトせんせーが教えてくれたけど、
人魚ってこういう感じなのかなぁ。
[ふと思ったことは口から零れ、
それでも息は続き、やがて、現実で、それ以上を拒まれた波の場所にたどり着く。
――動きが止まった。]
[行けないのだと、悟る。
これ以上は、こわいと。
それでも手を伸ばす。指で、まるで壁のような水に、触れる。
ふるえながら。]
[その瞬間、意識ははじけた。
飛んだと言っても、良いかもしれない。
恐怖だけを色濃く抱いて、
少女は、水面に浮いた。
ユリアンの声が聞こえた気がして、意識のはしっこで、少しわらいたくなった。]
[大きな岩に、波が運ぶよう。
現実の少女の身体は、アーベルが運び去り、
ちりちりと焦げ付くような意識の中で、
少女は、心がつたえる*悲鳴を聞いた*]
[夢を見る事は、無かった。
しくしくとした手の痛みに目を覚まし体を起すと
中庭の花の中だった。
ゆっくりと起きて立ち上がり、
握り締めていたものをきちんと包み鞄に入れて
家を、出た。
噂は、広まっていた。]
[主婦たちが道端で話しているのを盗み聞いて、
診療所へと足を向ける。
ひょいと外から窓の中をのぞくと、
ユリアンとリディがベッドに寝かされているのが見えた。
その向こう、ミハエルとアーベルも居るかもしれない。
そうっとその様子を窓の外から伺っていたけれど、
暫くして人が離れるのを待ち、窓の枠に手をかけた。]
ぃ、よ…いしょ!
[小さな掛け声と共に体を引き上げ、そうっと窓から中へと入る。]
[近寄るのは、眠るリディ。
そっとその頬に手を伸ばして触れるけれど
目を覚ます様子は無く、冷たい。]
…これ、渡せなかったの。
貼っておいてあげるね。
[鞄から、昨日ブリジットに貰ったミント草の湿布を取り出し
そうっと、リディの足に貼り付けた。
どっちの足が痛いのかは知らなかったから、
どちらの足にもいちまいずつ。]
[それから、顔を隣のベッドへと移す。
昨日から眠り続けるベアトリーチェは冷たかったけれど、
ユリアンのむき出しになった腕の黒い模様にそうっと、
手を伸ばして触れると、暖かかった。]
…――。
[その手をきゅ、と胸元で握り締め。
窓からまた飛び降りると、診療所を走って後にした。]
[走って行った先は、図書館。
一度中で歌って両親に怒られてからは、
自分から来る事はあまり無かった場所。
そうっと大きな扉を開けて中に入るも、
司書は書庫に居るのか姿が見えなかった。
扉が開き、読書室から子供が出てきた。
入れ違うように読書室に入ると今の子が見ていたのだろうか、
絵の入った本が開かれて居た。
近づいて見下ろし手に取って、じいいっと、見入る。]
[耳に届く微かな物音]
…ん。
[幾人かが眠る部屋を覗き]
あれ。
窓、開いてたっけ。
[少し考えて。
蒼い少女が出て入ったばかりの窓を、そうとは知らずに閉め直した。
自身が“眠らせた”少女のほうから、微かにミントが香るのには気がつかず]
じゃあ、僕はそろそろ。
アトリエの片付けもありますので。
[丁度、慌ただしさも一段落した頃。
ブリジットにそう申し出れば、案外すんなりと許可をもらえた。
ちなみにその日診療所に訪れた人々が、『絵師』の後継者の働く姿にどのような思いを抱いたかは己の知るところではない]
[アトリエの惨状はそのままで。
やや苦笑を浮かべながら、床に散らばる画材を纏めた。
漆黒の絵筆だけはその手に握って。
それから]
…ああ。
絵、取りに行かないと。
[兄の姿が見えて、そう呟きながらも。
アンバーの少女の絵の前に立つ]
ごめんなさい。
[小さく呟いてから、イーゼルから絵を降ろし、隅に立てた]
[手を青く染めた彼女を絵に捕らえ。
それでもつがいは見つからなかったと聞いた。
手の中の絵筆に一つ、溜息を吐いて。
立ち上がって、新たなキャンバスをイーゼルに載せた。
そこに加わるのは、赤い色]
― 図書館 ―
[リディが封じられ、ユリアンが倒れた事を、伝令ではなく図書館の客の噂から知ると、絵師の肖像を書庫に一旦収め、そのまま、そこで一夜を明かした。まともな眠りは訪れはしなかったが]
・・・・・・・
[図書館を開けた後しばらくの間、記録の続きを記す事に費やした。見聞きした全てを正確に、主観を交えず書き加えていく。それは、自分が居なくなった後も残るはずのものだったから]
[書庫を出たのは、その作業が一段落してからのこと。読書室に見つけた少女の姿に、静かに声をかける]
エルザ。大丈夫か?
[ミハエルが無事である事は聞いていたから、そう問いかけた]
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