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……………
[むす、と不機嫌そうな表情]
うるさい。
……もし、出られたとしたって……
ユリアンの問題が解決しなければ、どうにもならないだろう。
[少し言い訳めいた口調で言って]
いい。寝る……、って、ここでも寝られるのか?
[瓶を放り投げれば、黒猫がナイスキャッチ]
[ぶつぶつ言いながらも、その場から消えて何処かへ。
――その瞳に普段と異なる色彩があったのは、*気付かれなかったか*]
[窓の外にはあかるいひかり、
そらのかなたへ飛んでゆく。
子供は、やっぱりと呟いて、
ちいさくわらった]
ノーラさんがいるから良いや
[呟くと、子らが戻ってくる。
それから、子供たちは眠りに落ちた]
[そして夜も更けて、子供は起きあがる。
窓の外には、猫の眠った目の月がある。
つきのひかりは冴え冴えと、部屋の様子を照らしている。]
[小さな音をたてて蝋燭がともされた。
揺れる暖かなひかりは、
子供がこの村を好きでなくなったひかりより、
優しくて、静かだ。]
金も銀もいらない。
妖精は妖精の国にいればいいのに
[つぶやきを落とせば、
子供は荷物にむきなおる。
旅の道具は、母とそろえた。
もう少ししたら一緒にいこうね。
約束は守られなかったけれど。]
[ここに来たときは、長かったマント。
今はちょうど良いから。
子供はがさごそと、肩にかける大きいバッグを、
開いてものを探している。]
[子供のうしろで、
ひかりは人の姿を取った。
音もなく静かに。
子供は気づかず、バッグから何かを探す。
その首に、細い腕が、まきついた。]
[――結界の中とはいえ、ちゃんと朝は来るわけで。]
………?
あ…れ……?
[昨日に引き続き、眠った記憶が無いのにベットにきちんと寝かされていて。泣き過ぎてぱりぱりになってる睫毛をしばたかせつつ、身体を起こす。]
………どうして…こんなに……
[……目が痛いのかしら、と瞼の上から手で押さえて。
――ふいに蘇る、記憶。]
………っっ!
[衝撃に声も出ないまま、俯いて。両手で顔を覆う。
……指の隅間から、温かな雫が伝い落ちただろうか。]
[――やがて、顔を上げられるようになれば。
ミリィを起こさないように、そっとベットから抜け出して、
腫れぼったい瞼を *冷やしに行くのだろう。*]
[濡れタオルで顔を冷やし、幾分かマシになった後。
そっと宴会場(?)を覗き込むと、そこにはテーブルに突っ伏しているエーリッヒと、空になった酒瓶を片付けている黒猫の姿があった。
酒の相手が潰れて寂しかったのか、にゃーにゃー酒を勧められるも、ふるふると首を振って。
昨夜――気を失うように眠ってしまった後、何があったのかを問いかける。]
「昨夜、何があったにゃって?
ん〜、このにいさんがちっこいにいちゃんにハリセンされてたくらいかにゃ〜?」
[――その答えに、やはり…と俯いて。
来てすぐハリセンツッコミしただけで寝に行ったらしいと聞き、仮初めの猶予に小さく息を吐く。]
[少年が何処に行ったかは、黒猫にもわからないらしく、
(いや単に酒に夢中で気にしてなかっただけっぽいが)
ならば、と瞳を閉じて――
ゆらり。
意思に応じるよに、周りの空間が揺らぎ、ねじれ――]
[初めての空間移動で、目測が狂ったらしく。
ぽて、と落っこちた先は、少年が眠る部屋のベットの
――足元で。]
ーーーっっ!?
[逃げ隠れせず、ちゃんと怒られようと思って自分から来た…はずなのだけれど。]
[次の瞬間、逃げようと *踵を返す姿があったとか。*]
[夢うつつにいる彼の耳に届いたのは、妙に可愛いらしい落下音]
……………?
[ぱちりと目を覚まして実を起こせば、額に手を当てつ頭を振り]
[指の合間から見えたのは覚えのある栗色の髪]
……ユーディット。逃げるな。
[静かな声で*その名を呼んだ*]
[目が覚めると、一緒に眠っていたはずのユーディットの姿は消えていた。どこに行ったのかは、なんとなく想像がついたので、少女はそっと彼女の涙が報われることを祈った]
[隣の部屋を覗くと、酔いつぶれているらしいエーリッヒ。相変わらず飄々とした様子の黒猫に「にゃあ!」と挨拶される。ダーヴィッドとミハエル、それにユーディットの姿は見えなかった]
あの…猫さん。御聞きしたいことがあるんですけれど。
[丁度いい機会だから、と、どうしても疑問に思っていたことを尋ねてみる]
エーリッヒさんは、妖精王と以前に出会っていたから、連れてこられたんですよね?
でしたら、ユーディットはどうして?
やっぱり彼女が妖精だったから、ですか?
「いやいや、それは、ちょっとちゃうにゃ」
違うんですか?
「妖精を攫うなら、あの騎士を攫えば解決にゃ。妖精王も、たぶん最初はそのつもりだったにゃ」
だったら、どうして?
「そやから、あれでんがにゃ…大きな声では言えまへんがにゃ…」
[声を潜めて、黒猫が少女の耳に、何事かを囁く]
…え?
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