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[上からあたたかい水の雫がぽたりと振って来た。
漸く、白い花を舞い散らせていた者の正体を知った。]
──ブリジット。
[それ以上は何も言わない。ベアトリーチェをそっと引き起こしながら、首元や髪に散った石片を取り除く。バンドが嵌ったままの少女の華奢な首の横、床に生々しい形をしたハインリヒの手首が落ちた。]
[――ふ、 っと
糸が切れたように
身体の力が抜ける。
花びらの上に崩れ落ちて
石と化したハインリヒの側
意識を喪った。
首輪の数値は――Lv3を*示している*]
……平気、じゃないだろ。
[呆れたような、声。
伸ばされた指は、滲む紅を拭う。
移る、いろ。
こぼれるのは、ため息]
……そこはさすがに、治療できんのだから。
まったく、何をしてるんだか……。
[呆れたように呟いて。
ノーラがゲルダを呼ぶ声を聞いたなら、先に緑髪の少女がいた方へと視線を*向ける*]
[おじさんだと言った。名前を教えてくれた。別の名前で呼びたかった。
カプセルを叩いていた。
手を引いてくれた。名前を呼んでくれた。
階段を上るのを、手伝ってくれた。
注射をしてくれたのも、彼だろう。
ジャケットは暖かかった。
全部を、克明に思い出せた。何気ない言葉一つまで。
首を絞める手は、温かかった――]
生きなくちゃ、駄目なの。ど、して。
/*
GJ出たら出たで、楽しいじゃないですか。
……吊襲撃被った上でのGJだったら、
打ち合わせ無しでどう動かすのか大変そうだけど。
[意識が冷たい目によって騒ぎから少し離れたから。
だから今度はそちらに引き寄せられたのだろうか]
あ…!
[その瞬間は見なかった。
が、確かに冷たく変じてしまったその少女を。
一緒に洋服を探したゲルダが、向こうから引き離されてしまったのを。瑠璃に捉えた]
[ふっと我に還った時。
視る世界からゲルダの死を知るか。]
……大丈夫です、か?
[そして、ゲルダが、ハインリヒが、
この死した魂がたゆたう場所へと、やってくるのならば。
いつもの微笑に、少し困った風な色を混ぜて、
そんな風に声をかけるのだろう**]
唇のケガは治りやすいから。
[ばいきんが入って腫れてしまったりするけど。
ノーラがゲルダを呼ぶ声。ライヒアルトの視線を追い、見る。
堪らなくなってライヒアルトに抱きつく。]
あたしたち、無事に帰れるのかな。
[人前であるにも関わらず、少し*泣いた*]
[死んで欲しい人なんて誰一人居ない。
…生きて欲しかった。
彼女の為にも―― 生きて欲しかった。
それなのに]
残酷だわ。
こんな…事、――。
[全てのカプセルを確かめていた彼不意に思い出して涙が滲む。
視線はゲルダに再び向けられて、そう遠くないのなら
重みが僅かに増した足を引いて彼女に近づくだろう。]
[暗い水底は静まり返っていて、何も見えず、何も聞こえず。
ただ、凍てついた静寂に満たされている。
その中に漂う思考。
見あげる水面は氷に閉ざされているように思えた。]
―― 回想 ――
[カルメンが、笑う。その顔を見て、ほっとする。
自分は、おそらく彼女にそう見えているだろうほどは大きくはない。
まだまだ未熟で、小さくて。
彼女の抱える闇を、全て掃えたなんて思わない。
もしかしたら、それを深くしただけなのかもしれない]
―― はい。
[彼女に、呼ばれた。名前ではなく、その称号を。
笑顔になって、目を合わせる]
どういたしまして。
[彼女の手が、背に回る。
肩に回していた手に、一度ぎゅっと力を込めて。
そうして、離した]
こちらこそ、どうもありがとう。
[丁重に、頭を下げた。
目が覚めてしまった瞬間の、落胆。
死を希う気持ちと、恐れる気持ちの葛藤。
自分がどんどんと溶けて、なくなって。剥がれ落ちて。
その中にある恐怖。逃げたいと思う気持ち。
それら全てを押し込めて、理性にすがる。
彼女の声が、笑顔が、蒼が。どれだけ支えになったろう]
[願わくば。彼女が心安らかにあれるように。
どんな罪を背負っていても。どんな思いに悩んでいても。
彼女の持つ輝きに、自分で気がつけばいいと思う。
たとえ魂は肉体から離れても、いつか、幸せに]
[そう、祈りをこめて、離れた]
―― 回想 終了 ――
[首から、石になった手が取り払われる。それすら惜しかった。
ブリジットの名を呼ぶ声が、耳に入った。
ヘルムートの手が、頭を撫でる]
……?
[ノーラの、ゲルダを呼ぶ声。耳に半分だけ、聞こえてきた。
見上げる。見えないけれど、上を向いて、ヘルムートがいるほうに顔を向ける。開いた翡翠から、零れ落ちる雫。
首を振って、又俯いた]
[そして引き千切られたバンドと石となったゲルダを見つけて
堪えていた涙が滲み零れ落ちていく。]
うそ、ゲルダ…
ゲルダ――どうし、て
[そ、と伸ばした手が触れるのは冷たい石の感触で]
―――ッ、…もう、これ以上
私は誰かの死を見たくないわ。
私達が生きる事を…
ピューリトゥーイが遮るのなら――
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