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─ユリアン宅─
……ふにぇ?
[素朴な疑問に対する答えは端的で。
思わず、ひっくり返った声が出た]
……リアにいが……『死神』憑き……?
ルゥねえ、も?
[どこか、呆然と呟いた後、幾度か瞬く。
表情に、戸惑いがあるのは一目瞭然]
う……。
なんで、って聞いたのはディだけど。
そんなに呆気なく言われちゃうと、どう返していいか、わかんないよ。
[距離が近いからだろうか]
[妹の声は一部が聞こえてきていた]
[このままでは盗み聞きだと思うものの離れるにはまだ不安で]
…少し違うようだったけれどね。
[ゲルダの言葉を思い出し小さな呟きが外に転がり出た]
[どちらがどちらを巻き込んだのかは分らない]
[どちらもどちらをも巻き込んだのかもしれない]
[そしてきっとその真偽に意味は無い]
[そんなことを考えていた]
─道具屋─
……証拠は、無い。
見せることが出来ない。
けど。
『死神』に刈られたのは、確実だ。
[断言出来たのはユリアンの言葉があってだったが、その詳細までは口にすること無く。ただ事実を、訥々と紡いだ]
─ユリアン宅─
[火傷がないかは、一度確認して、不承不承の態で引き下がり]
ユリアンは、自分に、鈍そうだから。
いまいち信用がならんのだよ。
[飄々としていて底が見えない。ユーディを振り返りドアの外を見た。自分が友人を亡くしたら。知らず手が拳を作って──
一口、茶を飲む間を置いて]
…え。
[ユリアンが言った台詞に、翠の目が瞠られる>>25。
よろめいていた姿と言動とが、思い出されて、
ぱちん。と頭の中で、ピースがはまる音がして]
[もう居ない、と、エーリッヒの言葉が聞こえた]
……そうか。
[抑揚に乏しい声で、漸く理解したように呟く。
一拍の間の後で、眉が顰められた]
しるし――……花、か。
[イレーネの言葉の中の一単語。
それを示すものは容易に想像できて]
……まだ、そうと決まったわけじゃねぇだろ。
喩えそうだったとして、お前の所為じゃない。
やったのは『死神』だ。
[声はいつの間にか出せるようになっていて。
睨むような目を向け紡いだ言葉は、いつか親友に言ったものと似ていた]
[挟むのは沈黙で、すうっ。と、翠の目から光が消える。]
…ユリアンは
[席にはつかずに棒立ちのように
手を左右に下ろした姿勢で]
……、責められた、方が、楽になれるのか?
[付け加えられた台詞の最後に、眉を寄せて、
──顔を歪めて、低められた声が聞いた。]
でも…!
あたし、ゼルには。
生きてて、欲しかった。
皆、生きてて欲しかったけど、でも。
ゼルが、生きててくれたら、それだけで。
あたし、うれしかった、のに。
[死神がやった、と。
そういわれても自分を許すことなんて出来なかった。
泣きそうになりながら、それでも頭を振って。]
―自宅―
[ミハエルの自分に鈍いとの言葉、確かにある意味では的を射ているかもしれない
そして、説明をした後のユーディットとミハエルの反応、そして続いたユーディットの言葉には]
すまない、これ以上二人に黙っているのもと思った。
[責められた方が、その言葉にはすぐに答えることができずに]
それで皆が楽になるなら、そうだ、と言ったら、ゼルに怒られるかもしれないな。
[はっきりといわずとも、意味することは同じで、親友にやはり怒られるかもしれない言葉だった]
─ユリアン宅─
[ユリアンに向けられる、ミハエルの低い声に、ほんの少し心配げな表情を、そちらに向けて]
……うん。
これで誤魔化されたら、多分、怒った。
[それから、ユリアンに視線を移して、小さく告げる]
リアにい……ディは、リアにい責めても、多分、ラクにはなんないよ。
余計に、苦しくなる気がする。
[言いながら、左手を右の肩に]
……も少し前だったら、なんで、刈られたのはディじゃなかったの、って、言ってたかも、知れないけど。
[最後の部分は、ぽつり、と小さな声で]
─道具屋─
ならっ!!
[証拠は見せることが出来ないというエーリッヒの言葉に、返す言葉は強くなる。
だが、それでも言い切るエーリッヒに、バッと掴まれていた手を強引に振り払って振り向く。
だが、未だ顔は俯いたまま。]
…………なら、どうしろって言うんだよ。
そんな『事実』、易々と「はいそうですか」って受け入れられるわけ…………ないじゃん。
[そう言って上げた顔に浮かぶのは、今にも泣き出しそうな儚い笑い顔。]
[「お前の所為じゃない」というゼルギウスの声が聞こえた]
[妹一人でないのを確認して息を吐く]
[これなら大丈夫だろうと意識をそらせた]
[言葉を聞いて、僅かに眉が上がり。
更に何かを言いつのろうとして、けれど、
……ふいと目を逸らした]
……気に病ませてるのは、俺か。
[声は落ちる]
ちが、う。
そうじゃ、ないの。
ゼルは、何も、してない。
あたしが、あたしが勝手に、思ってた、だけ。
ずっと、前、から。
[そういって、また、ごめん。と謝って。]
[ユーディットから返された返答に、首を振り]
選べない、なにも、ただ見てることしか。
[ぽつりぽつりともらす言葉には感情はこもらず]
ただ、『死神』が刈るのを見るだけ。
[一口、お茶を飲んでから]
ああ、ゲルダは、殺してしまったような、もんだったけど。
[コップの中のお茶が微かな波紋を浮かべていて、言いながら自分の手が震えているのを自覚した]
違うから…それは…。
[自分を殺してしまったと言う人に首を振る。
ああ、だから。
忘れて欲しいと。
そう願うのに。
伝わらない想いに、表情が歪んだ。]
─ユリアン宅─
[挟まれる沈黙の間も、じっと翠の目はユリアンを睨んでいて]
……
[>>31 曖昧な肯定に、その親友に似て視線が鋭くなった。]
ボクはな
黙っていたことは。わかるけれど
…… 腹立たしいと思う。
[イレーネが言葉を紡ぐ間も、目を逸らしたまま。
暫くの間は沈黙が続き、やがて]
……俺は、お前のことは嫌いじゃない。
[独り言のように零した]
でもな、
今の、そういうお前は、嫌だ。
─ユリアン宅─
……うん。
ただ、『死神』を引き寄せやすいのが、花の『しるし』だって、聞いてたから。
……だから、他の誰かよりは、って、思ってたんだ、よ。
今は……そう、思えなくなっちゃったけど。
[受け止めてくれるあたたかさに触れたから。
だから、今は、前とは考え方が変わっていて]
……ルゥねえ……を?
[それから、続けられた言葉に。
どうして、と問おうとして──ユリアンの手の震えに、そこで言葉を途切れさせた**]
─道具屋─
[振り払われ、ベッティの腕が手から逃れる]
…それは、そうだろうけど。
見つけることが出来ない人を、捜して捜して、摩耗して行く姿を見るのも、俺は嫌だよ。
皆もそんなベッティは見たくないんじゃないかな。
[眉尻を下げながら、泣き出しそうな表情のベッティを見遣った]
[二人の会話の詳しい所は聞こえない]
[ただ信じて大丈夫と思っていたから意識を別に向けた]
[もしウェンデルが近くにいて此方に気づいていたら]
[小さく肩を竦めてみせたりしたかもしれない]
[結局中には入らないまま道具屋に背を向ける]
そんな、の。
わかってる、よ。
あたし、だって…あたしが、いやだもん。
[嫌だ、と言われて身体が強張った。
それでも、泣くことはしなかった。
絞り出した声は掠れていたかもしれない。]
[視線が落ちると、手が震えているのが見えて。
初めて、死んでから、目の前の人に触れようと。
手を伸ばして、重ねた。
ともすれば、すり抜けようとする手を、そうならないように添えて。]
もやもやするし、
まだ、整理も、つけきれていないのだよ。
[つかつかと、座っているユリアンに歩み寄り、
震えているコップの中を見て、]
なにせ。ボクは。
死神について、詳しくを知らなさすぎる。
[すとん、と隣に座る。]
……。ユリアン。口に出して。
話すといいのだよ。
語りを聞き、…残すもボクの仕事だ。
[忘れろと言うなら仕方なく忘れるが。と、そうとも付け加えて]
[ミハエルからの視線は、心に届けばそれは少しだけ痛く、以前ならば感じることはなかったかもしれない。
その言葉とあわせて、それを感じる]
だから、責めろ、とは言わない。言えない。
何も、することは、できない。
[ユーディットから返る言葉があれば]
『死神』が何を考えてるかは、さっぱり、わからない。
[続いた疑問の言葉は途切れて、きっと聞かれてもうまく答えることはできなかっただろうが]
けど、どうしたら戻せるのか、俺には分からない。
[言葉を次いで]
……お前もお前だ。
もうちょっとマシな奴にしときゃいいものを。
[溜息が零れた]
[来た道を戻るように移動する途中で動きが止まった]
[左手で口元を覆う]
[右手は肘に添えるように押さえ込むように]
[妹も此方に来てしまったのだという事実が今更響いてきた]
[そしてもし来ることになってしまったら?]
[呼吸を整えようとしながら感情の波が去るのを*待った*]
ああ、そうだった。
[ミハエルの言葉に、こちらに歩み寄ったその姿をじっと見つめて。
手の震えはとまっていた]
『死神』は憑く、花を咲かせるために、命を刈る。
選ばれる基準は知らない、刈られるのも、憑くのも。
[それは父親からも聞いていた話、そして続くの語りは]
村長は二人の夢の中にでた、影に、『死神』に刈られる夢。
ゲルダは、『死神』に憑かれていた。
消える前は、とても悲しんで、今にも消えそうなくらいだった。
そのまま、自分に憑いた『死神』に刈られていった。
[ゲルダのときのことを話す時は、そのときのことを思い出したりしたためか、わずかに声は震えていたかもしれない]
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