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どうしたの?
[ブリジットの様子に首を傾げて、それから自分も何があったのだろうかと、その部屋の方へと向かった。
アーベルも一緒だっただろうか?]
あ……エルゼリートさんが、やったのかな?
[転がるナターリエの死体、喉の辺りが何かで抉られているのか決定的に肉が足りない様子。
もう生きているようには見えなかった。
さして死体を見ても驚きも悲しみも動揺もせず、そんな自分を二人はどう思うだろうか]
見つけた……エーファ殺したの、エルゼリートさんの方かな……
[それならば、迷わず殺そうと、ブリジットはそれをとめようとするかもしれないけど]
[駆けてゆくもう一人、男女という意味の名を持つ人狼を追いかけるよりも、この場に残ることを選んだ。
澄ませていた耳が感じ取ったのは、眠る少女の気配。>>+30
闇の中に眠るその傍までゆっくりと歩み寄る]
ナータ。
[名前を呼んだら不安になった。
自分は知らない幼い姿。
ならばこれはクレムの役目だったのではないかと]
……クレム兄がね、怒ってないって。
だから会いたいって言ってたよ。
[少し意訳して伝言を伝えた。
頬に手を伸ばす。触れられた。そっと撫でて手を離す]
[両親が死んだとき、確かに一度は動揺した。だけれど、すぐに立ち直った。
娘が親を嫌っているというのは、恐らく幾度も口にしていたことだったから、親が死んでも悲しまないなんてと陰口を叩かれていたのも覚えている。
――そんなもの、どうでも良かった。
他人の口から言われる言葉に、涙なんて流さない。両親の死が伝わり、現場を見に行こうとして、ただ恐ろしくて足が進まなかったことを知るのは、ほんの数人で良い。
血のつながりがあるらしい人についていったときも、何も思わなかった。
不気味だと放り出されて、そこを今の相棒に拾われた。自分は特に、何も希望をしなかった。
その村で仕入れて、人狼事件に巻き込まれ、蒼花が咲いた。
そんな存在知らなかったから、ただ隠して。
最後の人狼に見つかるまで、誰にも気付かれなかった。
朱花が散ったときの痛みも、全部一人で耐えて――気付かれて殺されそうになったとき、相棒が守ってくれた。ずっと守られていたことを知り、そしてその日から少しずつ、他人との関わり方を変えていった]
[今度ははっきりと聞こえた。
呼ばれたのは私の名前>>+36。
まだ眠っていたいと思ったけれど
おねぼうだとおにいさまやおとうさまに笑われるといやだから。
――あれ、おにいさまの声でもおとうさまの声でもない。
頬に触れる手がくすぐったくて微かに身動ぎした]
……ん、ん。
[手が離れると小さな手が自らの目を擦る。
少しだけぐずるような声が漏れた。
身体を横たえたまま、菫色の大きな眸が開かれる。
目の前に居る人に少しだけ不思議そうな様子]
――…クレム兄?
[あれ、誰かがそんな風におにいさまのこと呼んでた。
誰だったかな。
記憶はまだ混濁していて彼の名を呼ぶことが出来なかった]
[その中で、ただひとり。
彼を相手にするときは、何も変えなかった。
手紙に女物を入れたりしても、返事が届く。
それがとても嬉しかったけれど、ほんの少しの申し訳なさも覚えた。
口に出すことなんて、そう多くなかったけれど、特別だった。
人狼の話を聞いて、己が蒼花だと知って、一番最初に考えたのは、どうやって無事に帰るか、帰すか、だった。
――前者よりも後者のほうを、優先的に考えていたけれど。
どうやら、自分にはもう、できないらしい。
てのひらを見詰めると、子供のようだった。
旅に出てから色々なものを持ち、それこそ剣もふるったから、随分と硬くなっていたはずなのに、それがない。
大きさがあまり変わらないのは、年齢が近いからだろう。
村を出る時もこのくらいだったか――思い出せはしないけれど、恐らく、18頃の姿だということは、なんとなく認識した]
岬、ね?
[アーベルの返答を聞き、礼も言わぬままに走り出した。
胸がすぐに悲鳴をあげるけれど、それに構う暇など無い。
足を緩めれば、それだけ間に合わなくなる。
そも、獣の足に、敵うわけもないと、解っていたけれど。]
でっすね
[未練も後悔もあるけれど、どうしようもないという割り切りも...にはまたあって、ヴィリーの言葉に同意を示す]
ん…?なにいってんすか。ヴィリーさん
俺は「普通」だよ
[そして呆れた顔をしていうヴィリー>>+38に、にっこりと笑った。
それは物凄く綺麗でいて…赤子が見たら一生トラウマになりそうな笑みだったかもしれない]
[菫の眸が開かれた。
けれど、知らない人を見るかのような色だった。>>+39]
……待っているよ。
ナータのことを。
[忘れたいと思っているのなら、そのままにする方がいいのかもしれない。そう思って深緑を伏せた]
案内するから。行こう。
[起き上がるのを手伝おうと手を差し出す]
[とっさに駆け出した自分はアーベル達より先に動いただろうか。
階段を駆け下りて、玄関から外に飛び出す。
空には厚い雲がかかっていて、それが日差しを遮ってくれていることは有り難かった。
切れる息と、痛い程に打つ鼓動。
それを堪えながら、何かの予感に導かれるように灯台にたどり着いたのは幾許かの時間の後。]
[フォルカーの呟きと様子には>>14、ほんな僅か目を細めた。]
そういう事になる…のかナ。
[実際ライヒアルトとどっちが食べたかなんて知らないけれど。
フォルカーが手を汚す事を、それを望むことを、こちらは止める事はしなかった。]
ってちょ、お嬢!
走ったら駄目だって!!
[そちらに気を取られていたので、真っ先に走り出した主>>15には出遅れた。
追いかけようとして、一度フォルカーの方を向いて。]
しゃーない…行こうか、俺たちもネ。
[そうフォルカーを導くように、少し前を走った。
全速力ではなかったが、主に追いつけない事に驚きつつ、同時に軽く眉を潜めつつも岬へと向かう。]
む…そういわれたら、反論できない
[ヴィリーに言われ>>+44答える一応自覚はあったようだ]
…ま、元薬師なんでね。
殺し屋さんとはまた違う意味で修羅場潜ったりってあるんですよ。
[殺伐としたものではないが、それでも楽なものではないわけだ。と、黒い泥にまみれながらも軽く伸びをすると、波打つように泥が揺れる。
まさしくそれは...の一部のようであり、苦痛があってもそれを厭う気持ちはなくこれが自然だという態であった。
まあそれが異常なのだろうけど]
[男の人に触れられることがナターリエは怖かった。
だからアーベルやエルゼリートに触れられた時震えてしまった。
家族やよほど近しい者以外には自分から触れることもなかった。
多分その癖は自分が兄や弟と違うと理解してからのものだったけど]
おにいさまも此処にいるのね。
[安堵したように緩む表情。
伏せられた深緑の眸が何処か哀しげに見えるのは気のせいか。
差し伸べられた手にそろと手を伸ばそうとしたけれど]
――…あ。
[ずきりと頭が痛む。胸が痛む。
のろのろと身を起こすが立ち上がるまでには至らず座り込んで。
いやいやをするように肩に掛かる金の髪がふわりと揺れた]
だめ、よ。私は、行けない。
[自らの犯した罪が記憶の端に蘇り声は少しだけ大人びる]
[アーベルに促されて、頷きその後に続くように。
もっとも二人が行かずとも自分はそっちに行くのだけども]
エルゼさん、突然、どうしたんだろう…
[今まで隠れていたはずなのに、急な行動は疑問に思えて。
大人二人のペースにもついていけたのは普段からアーベルに鍛えられていたこともあったためか]
でも普通です。己のことなんで俺が基準です。
[威張られた>>+46、威張り返してみた。
しかしこちらも意味不明である、あえていうなら対抗ってとこだろうけれど]
そういうこと…って、趣味じゃねーけどいつのまにか?ってやつですよ。
[→振り出しに戻って、振り出しの頃>>5:+118と同じようなことをいった。
でもまあ結果的にいつの間にかである。]
とはいっても、今までやんちゃに生きてきたヴィリーさんには負ける
[話を聞いていてもやんちゃの一言で済ますのもどんなものかとあろうけれども、そんな振り出しに戻ってしまうやり取りが、その後三回ぐらい*続いたかもしれない*
こんなとこでなにしてるのでしょうね]
うん。いるよ。
[伸ばしかけた手が引っ込められるのを見て、一度動きを止める。
座り込んで首を振る、少しだけ大人びてきた少女をそっと見詰めて。更に手を伸ばして肩を抱こうとした。
昔、何度突き放してもナータがそうしてくれたように。
力は入れない。振り払われるならそれに逆らわず倒されるように。それでも諦めはしないつもりで]
大丈夫だよ。ナータは何も悪くない。
それにクレム兄はいつでもナータの味方だから。
信じて欲しいって。そう言ってたよ。
― →灯台傍―
[窓から外に出たオレは、ゲルダが向かったと聞いた岬へと進路を取る。
右手の鉄紺は一旦人の腕へと戻した]
ゲルダ、居るのか?
[居るのは分かってる。花の匂いが強い。
生花ではなく、花としてのゲルダの匂いが。
問いかけに返事はあったかどうか。
ひょいと岬側の灯台の壁を覗き込んだら座り込んでるゲルダが見えた]
良かった、落ちたり気絶したりはしてないね。
[無事だったことに、オレは安堵の色を見せる。
それは喰うことが出来るという悦びに繋がった]
墓参り、出来た?
……そっか。
ん? ああ、アーベルから聞いた。
[問いかけには返答と疑問が返って来て。
オレはさらりとアーベルのこともばらした。
オレが無理矢理聞き出した訳じゃないんだから、オレは悪くないぞ]
―――ゲルダさぁ、オレのことどう思ってる?
前は大切な友人だって言ってくれたよな。
[オレはゲルダの隣に座って岬の方を見ながら問いかけた。
花の匂いが強くなる。
騒ぎ出す衝動。オレは少しだけ抑えるけど、抗いはしなかった]
今も前と同じように思ってくれてる?
それとも、信用ならないかな。
――…何で蒼花って教えてくれなかったのさ。
[ゲルダが何かを言う前に畳み掛けるように言葉を紡いだ。
自分が言った蒼花の言葉に、オレは衝動を掻き立てられる。
俯いて押し殺すようになった声は、ゲルダに落胆の色を感じさせただろうな。
本当は、衝動を抑え込んでただけだったけど]
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