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[エーリッヒに意識を傾けすぎていたからか
ノーラの様子には気付けなかった。
名を呼ばれ、漸く彼女に眸を向ける]
――… ノーラ?
[くちびるで紡ぐ音]
《 シン、……何、を… 》
[驚きの色滲ませた聲が次いで漏れる]
<<人狼の因子を持たない奴を襲った所で、
そいつは死ぬだけだ>>
[知りえる知識を、彼女へと伝える]
<<カルメン、離れとけ。いつものシンじゃねえよ>>
[飛び散る友人の血が女の顔に赤い花を咲かせた。
鮮血から伝わる温もりに、漸く何事が起きたのか女は理解する]
ラーイ――。
[微笑む人狼の魔眼の緋色に見詰められ
女の喉から、ひゅうと笛のような音が零れた]
……嘘、だよね。
こんなのって、ないよ。
[譫言のように呟いて、傷付いた友人に手を伸ばす]
そういや、さっき言ってたな。
[と、ウェンデル>>28に言い。
厨房から、父親が残して行った純銀製の包丁を取り出したものの。
ウェンデルの言葉>>30に、一瞬反論しかけたものの。
本の記述を思いだして、その場に留まる。]
[名を呼ぶ声>>34に、薄らと目を開く。
浮かべたのは、苦笑]
……は。
冗談だ、って言えりゃ、よかった、が。
[は、と一つ、息を吐く。
息と一緒にあかいいろが落ちた気がした]
わり……まもれなくて。
もうちょい早く、割り切りつけりゃ、よかっ、た。
[ぽつり、と紡ぐ声は掠れがち]
…お前、俺も苦手なんだけど。
[思わずアーベルに半眼になって答える。
少し気が抜けたようで、笑った]
襲われそうになったら、俺でも刺せ。
生きたければ、躊躇うなよ。
……エーリッヒを、見てやってくれ。
カルメンは、仲間だけど、人狼じゃない。
[そっと、言葉を伝える]
<<そうね……>>
わかったわ。
[仲間から、人の名を呼ばれたから。
そこで動きを止め、再びナイフを構え直した。
もうそんな風に装っても無駄とは知っているけれど]
殺そうとするのなら、殺すわ。
私は生きたい。逃げたい。
[人間達の顔を、見回した]
ラーイ、だめだよ。
私、さっき、君の言葉を聞いたじゃないか。
……だからラーイも、約束、守ってよ。
[涙で霞む視界の向こう、ほたりと幾つも
あかいいろが落ちた]
お願いだから、……死なないで。
[力尽きようとする友人に近付き、頭を胸元に抱き寄せ
此方に視線を向ける魔物を睨みつけた]
[何が起こったか直ぐには理解出来ない。
エーリッヒの手が落ちて床へと頽れるを見て
漸く彼の身に起こった事を朧に感じ取る]
や、ぁ。
――エリィ…ッ
[覚悟をしていたはずなのに
目の前で其れをみてしまうと焦りを覚える。
追いすがるように手を伸ばし
赤く染まる腹の傷口を押さえようとした]
……死なないで。
死ぬべきは、私、なのに。
[ゲルダを殺し、欺こうとした罪。
罰を負うべきは自分だと思う]
あー…。わるい。
[そういや、そうだった。と呟きつつ。]
了解、まかせとけ。
[と請け負い、包丁一本と救急箱を持ってエーリッヒの元へ向かい。
できるだけ手早く自分に出来る処置をエーリッヒに施そうと。]
[ノーラを庇うように、一歩、前へと出る。
睨みつける少女へと視線を向ける]
――ノーラが言う通り。
人狼が居ないって証言してくれさえすれば
俺らは何も手出ししない。
水が引いたら出て行く。
生かす手伝いなんかしたくないってのなら、
殺してやる。
[どうする、と、
選択を促すように、視線を向けたまま]
……痛いとこ、つく、な。
[>>44 約束を持ち出されれば、こちらとしては何も言えず。
一つ、息を吐いた。
ノーラの声>>43が耳に届けば、ふ、と、そちらを見やり。
それから、彼女を睨むミリィを見て]
……無理、は。
するな、よ?
[小さな声で、ぽつり、それだけ告げた。**]
あとで覚えとけよな。
[アーベルの言葉には、そんな風に言葉も返す。
何か思い浮かぶわけも無かったが。
そして序に、付け加えた]
あとライヒアルトもな。宜しく。
[彼らが生き残れるかはわからない
ただ、邪魔さえしなければ生きても良いと思うのは変わりなく、
彼らも生きれば良いと思う。
治療を願うと、男は少し、笑った**]
[人狼が持ち掛ける取引に女は瞬いた。
少女たちを無残に喰い殺した彼らを許せなかった。
魔物に屈するくらいなら、このまま殺されても構わないとさえ思った。
けれど、腕の中にある友人の命を思い。
喘ぐように息を吐く]
……お前たちなんか、どこへでも行けばいい。
私の魂が欲しいのなら、売ってやる。
でも、ラーイが死んだら
私はお前たちを――絶対に赦さない。
[俯き、唇を噛み締めた**]
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