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何かが、弱まって、
何かが、強まった。
気が、する。
[続ける言葉は矢張り曖昧]
[機鋼王の封印と機鋼竜のちからとを]
[同じ属性を有するが故に感じ取ったか]
平気。
直ぐに治る、 ……あ。
[口にしてから気付く]
[此処に来てから食事をしていない事に]
[掌に色濃く残る朱色を舐め取る]
[自らの其れでは糧に成りようもない]
うん…ありがとう。
[傍らに座ってくれた黒犬の波動。自分だけでは揺らされてしまった力を、彼が持つ混沌との均衡を図る事によって宥めてゆく]
うん。
まずは、どうすればいいのかな。
[とりあえず震えは小さく消えてゆき。
振り向いたのはオトフリートの方だったか]
何でそんなに楽しそうなんだよ…。
[難易度が上がった、との言葉にがっくりと項垂れて]
そうせざるを得なくなった原因が取り除かれれば、王も戻してくれるんかな。
つってもその原因すらさっぱり分からんのだが。
[天から降りた麒麟の姿。
白梟はばさり、羽ばたくものの。
従魔はその姿に微かな安堵を浮かべるか]
「……大変、みたい」
[それでも、零れた言葉は、不安を帯びて]
いてて…。
…いや、大丈夫。
それより、封印って?
[ハインリヒには、頭を抑えつつも笑いながら手をふる。
すべてにつながる大地、隔たれればそれは苦痛。精霊などほどではないにしても]
ばいかいー?
ね、そこのデコの広いひと。リディたちってそんな事に使われるために呼ばれたの?
[膨れて。
ユリアンのバンダナを指差した]
ライデン、それ取るんじゃないよ。
―屋敷の前―
[金の髪の上、白梟を乗せた少年へと、私は蹄を進める。
不安に彩られた天青石の色彩に、放っては置けなかった故に]
何事成りや…そなた、
[何を知っているや、と問いかけて、私は口を閉ざす。
今、成すべきはそれでなく――]
………。
[私は少し湿り気の残る身体を、少年へと寄せる。
事情はわからねど、どうか彼の仔の心を和らげるようにと]
[影輝の少女の傍に座りながら、時竜の言葉に黒犬が小さく舌打つ。
…此の状況で、あの方に負担が掛かる様な事は避けたいが]
――そうも言ってられんだろうな。
[小さく独り言の様に言葉を零す。
あの気配に疎い餓鬼に、あの方以上に状況を理解することも
長時間、耐えられるとも思えない。]
[黒い猫は尻尾をゆらゆらとゆらし、その飼い主はといえばいまだ不機嫌そうな表情で肘おきにもたれたままカップをわずかに揺らす]
…仕事ができないじゃないか。
[上司からの指令が遂行負荷になったと知れば不満そうにつぶやく声は誰かに届いたかもしれないが、果てさて]
とにかく、オトさんを探して、話を聞いた方が…
[部屋にいるのか、それとも外か、と思案。今の状況で部屋に閉じこもっているとは思えなかったから外なのだろうという結論に至る]
ああ、うん、外さない。
[リディの言葉には、とっても素直に、こくりと頷いた]
[大丈夫と言うマテウスに、ホントか?と訊ねつつも]
封印っつーか、封鎖?
どうもこの世界──機鋼界が封鎖されたらしい。
それを行ったのがこの機鋼界の王らしいんだが…。
何でそんなことになったのかはさっぱり。
どうすれば、か……。
[振り返ったブリジットの言葉に、異眸を天へと向け]
界を閉ざしたのは、機鋼王自身。
当然、開けるのも王のみだ。
で、さっきの機精殿の物言いからして……。
新たに生み出されようとしている、機鋼竜を止めるのが、解決に必須。
……現状の問題は、どうやってそこに行けばいいか、って事……かな。
楽しそうに見えますか?
原因はさっぱりわかりませんってことはないと思うんですよ。
いずれはここへも連絡が来るんじゃないかと。
全属性?
[同族の言葉に首を傾げつも、居並ぶものを見やる。]
[確かに、それぞれから感じるのは違う属性。]
ふむ……無差別の様に見えた呼び込みは、無差別ではなかった、って事かしらね……。
< 猫はその時も、川辺で水とたわむれていました。ただしくは、そこに住む魚たちと、ですけれど。
本当にとるわけじゃ、ありません。とれたらとれたでいいんですけど、おいかけまわすのが楽しいんです。
てちてちぺちぺち。あらら、水で青い布も透けています。そしてその瞬間――猫は動きを止め、そのまま水の中に落っこちました。 >
何かが、弱まって、…強くなった?
[曖昧な言葉に、きょとんと、瞬く。
オレが感じたのは――さっきの機鋼の、大きな力のうねりだけ。
その前に、力は全く感じなくて――…何かって、何だろう。]
でも、直ぐに治るっていったって、痛いじゃん。
…?
[オレは、治せないし。
困ったようにアーベルの掌を見つめて、
何かに気付いたような声に、きょとんと瞬いた]
[身を寄せられ、従魔は逆らわずに麒麟に縋りつく。
その身の震えは、はっきりと伝わるだろうか。
時折、いやいや、という感じで首を振り、声にならない言葉を呟いて。
白梟は、その様子を案ずるような瞳で見つめる]
見てるとな。
[ユーディットに頷いて見せて]
あーあーあー、昨日来た機精?
しばらくここから出られませんとか何とか言いに来てたんだもんな。
[なれど何も知らぬ私より、何か知る彼の仔の方が不安であろう。
私は身の震えを押さえ、少年へと擦り寄る]
…大変なこと……そうであったか…。
[不安な時、欲しかったのは安堵できる温もり。
故に私は、獣の姿のまま側にある]
…何か問題があるの?
[黒犬の舌打ちと呟きが聞こえれば軽く首を傾げて。
オトフリートの言葉を自分の中で反芻する]
機鋼の竜を止めるためには、居場所まで行かないといけないのね。でもその行き方が分からない、の?
[ファクトリー、というのがそうなのだろうか]
道を探さなくちゃいけないのかな。
……?
< ぷるぷる、水を払ったあと、猫は青い布を外しました。
困ったなぁ。すこし、思いました。かの人のお約束、守らなきゃいけなかったのに、どうにも、うまくいきません。 >
おれ、にぶい?
< こまったように、言いました。なにをいまさら。
左の前足、すこしあついよう。ぺろりと舐めて、なんどもなんども、繰り返して。
猫はしばらく、そうしていました。 >
[宜しい、とばかりにユリアンに頷いた]
オトさんって”虚無の子”のことでしょ
それなら探しに行ってくる。
ていうか生命と機鋼って似てるんでしょ
だったらリディはいま結構動けるほうなはずだしー
[扉へ向かい、すたすたと広間を横切る]
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