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[硝子の器の底のクリームを、銀色のスプーンですくって口に運びつつ、
戻ってきた先達の竜に軽く挨拶。]
自衛団の団長が行方不明らしい。…巻き込まれた可能性が高いと思うんだが…。
あ、いや……。
[大した事では、と言いかけて。
しばしの思案]
鍵の書の行方について、俺なりの方法で。
[彼が書を追跡していた事と、それが阻まれた事は、数人に伝えている。
又聞きになるよりは、話せる内に。
そんな思いがよぎっていた]
[若竜の言葉に、一つ、瞬き]
団長さんが、行方不明?
……自衛団の妙な慌ただしさは、そのせいか。
失踪する理由がないなら……巻き込まれた可能性は高い……な。
失踪した日の昼頃、ランプ屋の姉さんと会ったらしいぜ。
それ以降の足取りは不明。
十中八九、巻き込まれたんじゃねえかな。
[ダーヴィッドの説明に、補足を。]
……なあ、学者さん。
『鍵の書』を盗難した犯人、単独犯だと思うか?
[率直に聞いてみる事にした。彼の見解はどうなのだろう。]
こっちの進展はそんくらい…。
まぁ、見かけたら自警団に知らせてやるといいと思う。
[無事じゃなさそうな気もするけど…と、肩を竦めつつ。]
で、何か手がかりつかめた?
魔法とは、ちょっと違うんですが。
[説明するとややこしくなるので、ひとまず以下略し]
単独かどうか……ですか。
難しい所ですが……。
[自分の推論が正しければ、単独のような気はするが]
……複数も、在りうるのではないかと。
[彼の存在に行動を起こさせた契機となり得る者。
それが、いないとも言いきれなかった]
-昨日:朝-
[Kirschbaumから出て、町をブラつく。
目的があるわけでもなく、ただブラつく
特に行きたい所等なかったが、自然と足は森の方へと向いた。
墓場の手前、ふと見上げるとあの黒猫が木の根元から覗いていた。]
…おいで。
[そっと手を伸ばすと、黒猫はゆっくりとしなやかな動作で寄ってきた。
彼女は黒猫をそっと自分の胸元に抱き寄せると、ゆっくりと歩く。]
[墓場まで来ると、チチ、と鳥が遊んでいるのが見えた。
誰かがお供えしたものを食べているのだろうか。]
……
[黒猫がするりと彼女の腕から飛び降り、横に立つ。
すっと目を閉じ、ゆっくりと息を吐いて呼吸を落ち着かせる。
そのままゆっくりと足を踏み出し、鳥のほうへと近づいた。
全く警戒を見せずにお供えを食べる鳥へと、そっとそっと手を伸ばす。]
「…チ、ヂッ」
[その手が触れた瞬間、短く鳴いて鳥は絶命した]
―北の遺跡―
えっ?
……ありがとう。
[ミハエルが氷の結界を張ってくれたのに驚いて声を上げる。
揺らぎを封じられた空間になれば、自身の均衡を取り戻すのも格段に楽になった。
それでも多少の時間を要してしまったけれど]
うん、もう大丈夫。
「ならさっさと戻るぞ」
[まだ少しふらつきつつも、どうにか動けるまでは回復して。
ミハエルと二人で自警団員達を避けながら町へと戻った]
……掴めたと言えば、掴めたが。
余計に訳がわからん。
[若竜の問いに、ため息混じりに返し]
……相手は、俺の力の具象である輪を、消した。
一筋縄では、行きそうにない。
[続いた部分は、同族にのみ届く言葉で届けられ]
……なるほど。
[オトフリートの見解を聞き、頷く。]
最初は単独犯だと思っていたんだがな。
ちょっとそこのにーちゃんから『鍵の書』の事や封印の性質を聞いた。
で、俺の見解。
封印を解いた主犯と、『鍵の書』をそいつから受け取って隠す奴。
二人いるんじゃないかと考えた。
))…うわ、そいつぁ……。
確かに、相当に手強いな…。((
[表情がぴくりと固まったのは、他のものにも判ってしまっただろうか?]
))逆探知でバレてたりしたら、やばいと思うんだが…。((
あまり、単独で踏み込みすぎると、無事じゃ済まないとおもう。
何かあったら相談して欲しいかな。
−昨夜・中央泉−
[オトフリートが一足先にKirschbaumへと歩み去った後。
アマンダは千花の抱えた桜色の饅頭が消え、はらぼてになっていく様子を微妙な目で眺めていた。ちょっぴり切ない。
やがて、満腹満足な千花を肩に乗せ、のんびりと歩き出す]
…ハインは何か、掴んだかな?
[アマンダはハインリヒが探しもの(猫とか)が上手いので、少し期待しているかもしれない]
解く者と、隠す者。
[それは、彼の考えとは、また違ったものではあるけれど]
確かに、分業というのは、有り得ますね。
[書の力の強大さを思えば、単独で御すのは難しいとも言える。
……やってのけそうな気も、しなくはないが]
封印を解くには、直接触りに行く必要があるって言ってたろ。
つまり、アリバイのない奴が怪しい事になる。
ここまではわかるよな。
[遠距離から持ち去る手段が取れない以上、そうなるはずだ。]
ここからが本題。
隠す方の奴なんだが。
逆に、アリバイのある奴が怪しい。
しかも『鉄壁のアリバイ』がある奴だ。
……誰だか、わかるか?
[彼女下を向いて肩を震わせるとと、黒猫を再び腕に抱き、*森の中へと消えていった*]
-→Kirschbaumへ-
[カラロン、と鐘を小さく鳴らして扉から入って来る。
人がたくさん集っている事に、驚きはしなかった。]
逆探知も何も……。
時空に対する唯一の力をぶつけてきた時点で、特定はされているだろうな。
[一瞬だけ浮かぶ、自嘲の笑み]
……わかってる。俺一人でどうこうできる事じゃないからね。
[それでも。
事を構えるとなれば、他者の介入を許すかは定かではないのだが]
−Kirschbaum−
[アマンダはタイミングなんて気にせず扉を開ける。
ドアベルの音が高く響く]
やあ、どうも?
[中の人々に手を振って、いつもの席でいつもの調子でいつものを]
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