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―Kirschbaum―
[まだどこか足元がおぼつかない様子のまま扉を開けて]
ただいま、なの。
[一番手近にある席にそっと腰掛けた]
『大して親しくもない第三者が、その人物を目撃している』
アリバイの基本はこうだ。
……で。
にーちゃん達のアリバイは完璧とは言えない。
知り合いにしか出くわしていないかもしれんし、そもそも
待ち合わせをしていたわけでもないだろ?
[ここで、一呼吸置く。]
で、俺とユリアン、ベアトリーチェ、エーリッヒはここにいた。
知っての通り、この店にはマスターが常駐している。
……ようするに、だ。
『共犯がいた場合。それは封印が解かれた際、この店にいた四人のいずれか』
と言うこった。
[からりとドアベルが鳴り、アマンダが入ってくるのに目を向けて、]
…丸い……。
[食べ過ぎてコロコロな小動物に目をぱちくり。]
[中に人がたくさんいる事には驚かなかったが、どんどん人が集まってくるのを見て少し目を瞬かせた。
いつもの隅の席に座ってコーヒーを頼む。
耳は自然とハインリヒの言葉へ。]
正確には、『マスターの視認範囲にいた四人』だな。
ま、俺視点からだと三人になるんだが。
[そこまで信用されてないよな、俺は。と苦笑い。]
[アマンダは岩清水を飲みつつ、ブリジットとミハエルに手を振る。
それから、ハインの言葉に眉を上げた]
店にいた、四人の?
[アマンダは、つい反発心のあるユリアンへと視線を向けた]
−Kirschbaum・一階−
[ハインリヒの話が出れば、めい探偵の活躍に期待するベアトリーチェが飛びつかないはずもありませんでした。帰るのもやめて、アマンダにくっついて「Kirschbaum」の扉を開くと、ちょうどベアトリーチェの名前が聞えてきたのでした。]
ベアトリーチェがどうかしたのだろうか。
[近くに寄って、こてん、と首をかしげます。鎖に通した無限の輪が、わずかに揺れました。]
[アマンダの肩で、糸のように目を細めて前足を舐めていた千花は、聞こえてきたダーヴィッドの言葉に猛抗議]
「ジ〜コ〜! アンアンッ!」
[それでも滑空していかないのは、重力に負ける自覚があるから?]
俺が言いたい事は以上だ。
明日辺り、調査がてらにちょっくら『仕込み』はするかもしれんな。
[俺も『消される』かもしれんし。
その言葉は飲み込んで。]
…ふむ。
[あんだけ満腹なら餌付けは無理だな、と…残念がりつつ、探偵の言葉に頷く。]
難しいとこだな。
余所から来たものの方が、書を手に入れる目的の為に来たっぽいから、ってのは短絡的?
……まあ、そんな奴もいるだろうが。
『鍵の書』を盗もうとする奴が、そう短絡的な行動に出るかどうか。
仮に他所から来た奴が犯人だったとしても、町の中に協力者がいるんじゃねえか?
マスター、特大練乳苺パフェ追加でもう一つ!
[まだ喰うのか。]
ああ、そうそう。
一つだけ言っておくが。
アリバイを主張したのは俺だけじゃない。ユリアンもだ。
[思い出したように、宣言。
イレーネの言葉が聞こえていたのか、いないのか。
それはわからないが。
あっさり言い放ってから、パフェが来るのを待つ。]
[話がよく飲み込めないので、ベアトリーチェは首をかしげたままです。かおにはたくさんの疑問符が浮かんでいたかもしれません。でもそれも、ハーヴェイに出されたジュースを受け取れば、消えてしまうでしょうか。]
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