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[ノーラと共に、歩みつつその言葉に顔を向けて]
止めの?
あぁ、誰かが処理して下さったのですね。
私はもう大丈夫ですよ、眠りましたから。
[少し安堵した息を吐き、ふると頭を振る。
言われた言葉には、少しだけ薄く笑みを浮かべて]
どうでしょうね?
性が属を選ぶのか、属が性を選ぶのか…
それは、とても面白いお話ですね。
「…しかし、私めに責が有るのは変わりませぬ。
申し訳ありません。」
[言葉は有り難きものであるが、しかしやはり悔の念は変わる物ではない。
視線の高さが屈む氷竜殿とかち合ったか、仔はその瞳真直ぐに見つめ。
向けられる問いに、仔の表情が泣きそうに歪んだのが見て取れた。]
――…、リーチェは、へいき。
…でも、オトフリートが。リーチェのせいで、せなか。
[ケガしちゃった、と続く筈の言葉は俯いた所為か良く聞き取れぬ。
心竜殿が闇竜殿へと掛ける声に、僅かに身体が震えたのは気のせいではなかろうが]
変じゃった、か…。
…無理もあるまいて。
[最後の呟きは極小さなもの。果たして目の前の若き風竜にまで届いたか。
ティルの目に険しさが帯びるのを見れば、一度瞳を閉じ]
「揺らすもの」が、干渉されし者が狙う物。
それは既に竜王様達の手から離れている。
…つまりはそう言うことじゃ。
[そこまで言い、再び瞳を開ける。その視線は真っ直ぐとティルを見つめ]
信じるかどうかはお主次第じゃ。
儂はお主が信じられると思うたから告げた。
これは儂だけの問題ではなく、護り切れるものでもない。
粗末とは失礼ねぃ。焔の。
色んな女性とお相手した一品ですわぁ。
[言いながらも、アーベルから衣服を受け取り、適当に上に羽織った]
その悪態は、自分の仕事がなくなったことへの虚しさ?それとも、自分よりも大きいからという僻みかしらぁ?
おほほほほ!
[何故か、勝ち誇ったかのようにナターリエが笑った]
ああ。精神の。ありがとうねぃ。
私も見せて歩くような趣味は無いんだけど、今回は寝起きの非常事態だったからねぃ。
[と、アーベルに礼と、わずかながらの言い訳を言った]
いえ、私は。
もう血も止まっておりますから。
[アーベルにもゆるく頭を振った。
右手は左手を隠すように握られている。
上着を掛けようとしているのが見えれば、視線はずらしたままホッと息を吐いて]
壁、修理しないといけませんね。
[話を逸らすかのように、別の問題を口にする。
押さえる手に流水の気配が僅か混じっていることに気付く者は、どれだけいたの*だろうか*]
それはよかった、ですが、無理はなさらず。
敵と成り得る存在は不透明なのですから、
余力を残しておくに越したことはありません。
[ 影の右手が黒布を掴み、掻き寄せた。
音無く歩み回廊に差し掛かると、人々の声が聞えてくる。]
選ぶ、ですか。
見方によっては、属性に囚われている、ともなりそうですね。
…うっせ。
そういうもんはなぁ、いちばん大事な奴を満足させてやれりゃぁそれで十分なんだっての!
[何の話だ、というのはさておき。]
つーかさぁ…こんなことして遊んでる場合じゃねぇだろ。
誰がそうなのか調べないと。
[エルザの言葉により、オトフリートに癒しの力をいるかと問いかけてみたが、やはり答えはNOなようで]
……二人とも。
人に甘えられるときは、遠慮なく甘えたほうがよろしいですわよ?
ま。いらないというのに、無理矢理癒そうというほど、私はおせっかいじゃあありませんけれどもねぃ。
[そこで言葉を切って、視線を先程化け物のいた辺りにさまよわせると、誰にともなく疑問の声を発した]
―――というか。
今更な話かも知れないですけれども。
この化け物は何?
―東殿・回廊―
[屈んだまま、再度ナギを見て、困ったように首を振る]
ナギさんも元気を出さないと、リーチェがしょんぼりしてしまいますよ?
[そうして、一度翠樹の仔の頭を撫でて]
大丈夫、大丈夫。
オトフリートは、強い竜だから。
でも、そうだね。
リーチェが、オトフリートに出来る、魔法のことばを教えてあげようか?
魔法のことばを掛けてあげると、きっとオトフリート、すぐに元気になるよ?
[そう言って、失礼かと思いながら、ナギと共に翠樹の仔を抱えあげる]
[小さな呟きは聞き取れなかった。
というか、続けられた言葉に意識の大半が向いていて、集中が欠けていた、というべきか]
『揺らすもの』が、狙うもの……。
[ふと、過ぎるのは。いつか、思考の果てに思い至った例え話]
木を隠すには、森の中。
力あるものを隠すには、力あるものの中。
……よーするに、そういう事か。
[ばさり、皮膜翼が一つ、羽ばたく。
声を乗せた風が広まらぬよに、とどめようとするかの如く]
なんで、そーなってんか。
オレにはそれがわかんないから……色々、言いたい事もある、けど。
でも……爺ちゃんは。爺ちゃんのことは、信じる、よ。
あなたは先に隠して下さい
[固い声でナターリエに告げる。
そしてエルザに、はいとうなずき。
ついでアーベルにかけられた声。]
[先も、子をお願いしたけれどと逡巡。
それでも心配をされている様子に、声がこぼれた。]
――お願いします。
[流水は丁重におことわりしたいという願いもあったとか。]
[子の言葉がきこえて、大丈夫と言いにいこうとする前、
ブリジットがなにかを言う様子が見え、近づくのをやめる。]
[子が無事でよかったと、頬がゆるむ。]
[しかし同時に台無しな気分になる水と炎のことばが聞こえ、声を放った。]
そういう話は子供の前でしないでください。
[人影が見えてくると、どうやら騒動が落ち着いた後のように見え、少し手前で足を止めた。
ノーラの言葉には、薄い笑みを少しだけ深めて]
囚われる。
…そうですね、そうとも取れるでしょうか。
杭で打たれたかのように、雷に縛られているのでしょうか。
…貴方は?
貴方は…そうではないですか?
―東殿/回廊―
[若焔と機械竜の何とかを視界の端に見ながら流水の竜に上衣を渡し、礼の言葉に首を振る]
いえ、お気になさらず。寝起きとは災難でしたね。
[股間の沽券に関わる話には関わらずに、歩を進めてニ竜の元へ。
エルザの言葉に頷いて視線を隠された左手へと流した。流水の気配は背後の者や散った水の気配と混じり気付く事はなかったが]
わかりました、きちんと手当てなさって下さいね。
……ギュンター殿がきっと心配しますから。
[後半は小さく呟いて、月闇の竜へと向かい直り手を伸ばす。
心の動きからなんとなく事情は察せられていたのもあったから]
[信じる。その言葉が耳へと届くと、真剣だった表情が僅か柔和なものへと変化する]
……そうか。
ありがとうの、ティル。
[安堵の息を漏らすかの如く、長く息を吐いた]
これは絶対に渡してはならんもの。
儂はこれを護らねばならない。
じゃから、しばらくは他の者には内密にの。
誰が干渉されし者なのかは、未だはきとしておらんし。
…ったく。
[長々と嘆息。
いろんな意味で欲望まみれなのは流水のだとは思うのだが、
あまりにストレートすぎて逆に疑えないとかそんな感じで。]
あぁ、そだそだアーベル。
貴方なら…揺れ動く心とかそういうのを感じたりは?
[撫でられれば、何時もなれば何かしら嬉しげな顔をする事が多いが
此度ばかりは幼子と云えどもそうは行かぬらしい。
沈着したままの幼子は抵抗無く抱え上げられた。]
…まほうの、ことば?
[不思議げに一度瞬いて、幼子は氷竜殿をじつと見やった。
耳元で囁かれた言葉は、…私には聞こえねど仔には確りと聴こえたらしい。
了承の意にこくりと頷くと、そのまま揺られていく。]
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