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[がっくりとしたようなユリアンの声色に、きょとりとした表情で首を傾げた]
ユーラ?
…じゃあ、やめ、る。
[当人が嫌がっているのなら、と素直に止めることを口にした]
おしさま、に、ようじ、あるって、つたえて、きたら?
おはなし、きかなきゃ、ならない、って。
[修行のことを案じるユリアンに、不思議そうにしながらそう告げる。
ここに集められた詳細を知らぬ故の言葉]
大変っちゃ大変だけど、好きでやってる事だしな。
[ロミルダの言葉に、軽く息を吐く]
陸、かぁ。
んだな、早く行けるといいなぁ。
[自分の中の仮説が正しいならこの少女がここにいるのは何かの間違いとしか思えず。故に、言葉には実感がこもっていた]
[やめる、というカルメンに、ほっとしたのは傍目にも明らかだった。
もっとも、それと気づけるのは鸚鵡とロミルダだけなのだが]
んー……あんまり長くなりそうなら、それもあり、かな。
[不思議そうな問いかけには、こう返す。
掛け合えば、出してもらえるだろうとは思うものの。
あんまり歩き回りたくない、というのもまた本音だった]
じーちゃ、はやく、くると、いいね。
[陸へ行きたいと言うロミルダと、修行を気にするユリアンの両方へと言葉を向ける。
カルメンに焦る様子が無いのは生来の気性からか、それともあまり自由に出歩けないためか]
…ん、ごちそう、さま。
[ようやくサンドイッチ一つを食べ終え、食後の挨拶。
皿やテーブルに多少欠片が零れているのはご愛嬌と*言うことで*]
好きなのをお仕事にできるのは、いいことですよ。
前にパパが言ってたです。
[今度はお茶のカップに手を伸ばして、ロミルダは言う]
です。
陸は広いから、いっぱい遊べるです。
[言葉にこもった実感の意味は分からずとも、ロミルダがそれを本当に楽しみにしているのはきっと他にも伝わるだろう]
ああ、ほんとにな。
早く来るといいんだけど。
[カルメンの言葉に、一つ、頷く。
『陸』の神を信仰する自衛団長は、個人的には余り好きな相手ではないので、複雑なものもあるのだが]
好きじゃなかったら、できない、ってのもあっけどな、俺の場合は。
[ロミルダに向けるのは、苦笑めいた表情。
それでも、陸に行くのを心待ちにしている少女の様子に、何となくそれは*和らいだ*]
はいです。
あっ、お皿持ってくですよ。
[カルメンの言葉にはやっぱりうなずいてから、食べ終えたらしい皿をロミルダの分に重ねた]
ふぇ。そうなのですか?
なら、いいお仕事でよかったのです。
[椅子から降りながら、ロミルダがユリアンに向けるのは少しも曇りのない笑顔。
二人分の食器をかちゃかちゃ音をたてながら台所に運んで行く。
そうして戻って来てから、脇に退けていたスケッチブックを*また開いた*]
5人目、水人 クロエ がやってきました。
ぷっはぁ!
[筏の端に二本の手が掛かる。
次いで水面を割るようにして頭が。
最後に身体が勢い良く持ち上げられた]
やっぱり雨後は面白い。
さっきのも、もう少し近づいてからいけば届くかな。
[後頭部に手を伸ばし紐を解く。
水を吸った黒髪が重たげに背中へと流れた]
[振り向けば自衛団員が立っていた。
首を傾げて話を聞き、溜息を吐く]
つまりは容疑者ってこと?
婆様が一緒じゃなきゃ僕は怪しい、ということか。
[固くなった顔の前でひらひらと手を振った]
別に行かないとは言ってないよ。
でも濡れ鼠のまま行けというのはご勘弁。
身体温める時間くらいは欲しいな。
[その場で待つという自衛団員に肩を竦めて小屋へと入った。
着替えながらもう一度溜息を吐く]
やれやれ。
あんまし長引かないといいけど。
[皿を片付けてくれたロミルダには笑んで礼を言い。
その後は特にやることも無くぼんやりと椅子に座っていた。
お腹が膨れたせいもあるのか、時折うとうとと舟を漕いでいる]
……んー……。
[普段ならば家のある筏でオカリナを吹いたり、周囲から聞こえる音に耳を傾けたりしているのだけれど。
今日は小鳥も集まらず、集会場から出るわけにも行かないためにかなりの手持無沙汰。
そのためか、終にはテーブルの上に腕を組んで、伏せるようにして眠り始めた。
何か音がすれば目を覚ますくらいの浅いものだったけれど]
[ロミルダが台所に行き、戻ってくるのと入れ違うように自分も皿の片付けに向かう。
そのついでに色々見てみたわけだが]
……まあ、確かにここは非常時に備えたとこではあっけど。
なんで、こんなに充足してんだ?
[『陸』に寄った直後だから、というだけでは収まりのつかない様子に、首を傾げ。
広間に戻ると、絵描きをする姿と、転寝をする姿と]
……なんも、することないからなぁ。
「ほんとに、ねー」
[思わず、鸚鵡と顔を見合わせため息一つ]
[手持ち無沙汰なまま、窓辺に寄って外を見る。
集会場の近くには、やはり、自衛団員の姿が見えた。
ちょっと考え、そのまま窓枠に足をかけて外へ]
なー、ちょっといいかー?
[常と変わらぬ口調で声をかけると、顔見知りの団員は僅かに眉を寄せつつなんだ、と問いかけてくる]
じい様、いつくんの?
俺、一応仕事もあるんだけどさぁ。
……大体、なんであいつら呼ばれてんの?
呼び出しの理由って、その……あれだろ?
[外れの筏に住む漁師が、蓮の葉の上で息絶えていた、という話。
その事と、少女たちはどうしても上手く結びつかなかった]
[立て続けの質問に、団員の表情は更に渋くなるが]
「……俺らもそうは思うんだが。
団長曰く、『神の御心のまま』なんだとさ」
……げ。またじい様のソレかよ。
あーあ、やんなっちまうなぁ、もう。
『陸』のカミサマの教えなんかにかぶれちまって。
[大げさなため息と共にもらした言葉を、団員はそう言うな、と嗜めて]
「とはいえ、人死にが出てるのは、事実なんだ。
……お前が疑われてるのもな。だから、大人しくしてろ」
ちぇ……わーったよ。
[鸚鵡の絵の描かれたページをめくって、新しいページに絵を描いた。
今度はどうやら人を描いているらしい。
1人描いては1枚めくって、今集会所にいる2人と、それからギュンターらしき絵まで書き上げたところで]
ふぁ。
[カルメンが眠っているのに影響されたか、ロミルダは小さくあくびした]
[絵を描くのにも飽きたようで、ロミルダは集会所をうろうろと歩く。
カルメンが眠っているから、なるべく音をたてないようにはしていたけれど。
ちょうど窓枠に近付いた時、外の話し声がすこしだけ聞こえて]
ふぇ?
[ロミルダはまたたいた]
[これ以上団員と話していても埒があきそうにない、と判断して踵を返す。
背を向けたから、団員が最後にこちらへと向けた視線に込められていたもの──微かな畏怖には気づけない。
肩の鸚鵡は、そちらに物言いたげな視線を向けてはいたれど]
……っと。
[とりあえず、集会場へ戻ろうとした所で、視界の隅を白が掠める]
へえ……こんなとこにも、蓮の蕾が出てんだ。
[小さな声で呟いて、しばし、水面に揺らぐその色を見つめ]
[窓枠から身を乗り出した。
もちろんそのまま枠を乗り越えて外に出る、なんて芸当は、今のロミルダにはできない]
ユーリにぃ!
[代わりに、外に出ていたユリアンに声を掛ける。
カルメンはまだ眠っていたかも知れないけれど、今は意識にないらしい]
……さて、と。
ここでぼーっとしてても仕方ないし、戻るか。
[戻っても、する事はないのだが。
とりあえず、中に戻ろうとした所で、呼びかける声]
お?
どした、ロミっ子?
って、危ないから、乗り出すなよっ!
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