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―中央部・廃墟―
藪を突付いて蛇が出ても困る。
だからといって動かずに居ても問題があるし。
[建物が見える位置。逆に言えば探せばすぐに見つかるだろう廃墟の一角で思案に暮れていた]
銀翼やエン…ユーディットにはどうせ手の内バレてる。
そうじゃなくても知ってる奴らもいるだろう。
[軽く左手を振れば甲から伸びる銀光。
ツッと右手でその上をなぞり再び腕を振る。
指無手袋の模様に隠れるようにそれは消えた]
本当にどうしたものかな。
敵の敵は味方…にはこの場合ならないだろうし。
[瓦礫の向こうに見える建物を伺いながら薄く笑う]
[ひょこり、と顔を覗かせて、きょろり。]
……人、少ないですねえ。
[ゆったりとした足取りで、中に入る。
謝っている姿はちらりと見えたけれど、またか、くらいにしか思っていない。]
[謝られて、困ったなぁという顔をしながら]
ああ、気にしないでください。
[そう言って、手で制する。そして、ふと浮かんだ疑問。]
……ええと、私名乗りましたっけ?
[アーベルの笑いには、こちらもにっこりと笑い。
殺す気が無いと知り、片手に無造作にぷらりと下げていた鎌を、ふらりと揺らして黒銃に戻し、背中にさしつつ、問いには首を傾けて]
えー?
ボクの行動は、ぜぇんぶご主人様の為だからぁ。
ご主人様がねぇ、キミとはやりあいたくないなぁって。
[あは、と笑いながら答える。]
こんばんは、ブリジット様。
皆様どこかへお出掛けのようですね。
まだお休みになっている方もいらっしゃるかもしれませんが。
[開いた扉に視線を移すと、制服姿の少女。
いつも通りの笑みを浮かべて言葉を紡ぐ]
尤も、あの放送を聞いてしまうと顔を会わせ辛いところがあるかもしれませんけれど。
[その言葉すらも笑みを浮かべたまま]
[ブリジットについていく李雪を見送れば、青少年は毛布を元の大きさに戻し、新たな人物がいればそれなりの挨拶をするまで。
そして、青少年はいろいろな片づけをして部屋へと戻り、そして就寝し]
−朝に至る:L−
[先日は例外として、基本青少年の朝は早い。
日が昇る昇らないほどの時刻を境に起床し身支度を整える。
それこそ、冬であれば太陽の目覚めよりも早く活動をしている。
朝起きてしていることは日によって様々であったけれど、今日の場合はなんとなく朝食の鶏ささみ粥が炊き上がった、そんなくらいで件の放送が流れたものだから機嫌が悪いったらありゃしない。
誰かが朝食を求めてくれば用意はしてやっただろうけれど]
広間にじっとしているだけ、っていうのも、飽きますもんね。
[はあ、と溜息。
続いた言葉には、椅子に腰を下ろそうとした動きを止めた。]
放送?
[ぱちくり。瞬き。]
[制されるとそれ以上謝ることはなく。
続く言葉には苦笑を浮かべて]
昨日、貴女がいらっしゃった時に私もここに居たのですが…。
隅に居たので印象が薄かったかもしれませんね。
これだから皆にもシャッテン(影)と呼ばれてしまうのでしょうか…。
[ぽり、と苦笑を浮かべたまま頬を掻いて]
私はオトフリート=ゲルルと申します。
以後お見知りおきを。
…それにしても籠の鳥と聞いていた先読みの神子様がこのような場所へいらっしゃるとは。
少々意外でした。
[自己紹介の後に続けた言葉は、何かを探るような雰囲気を纏わせている]
[聞こえてきた声に振り向くと、昨日広間で会った少女がいた。
名前は確か……ブリジット。]
こんばんわ。
そうですね。私も先ほどここへ来たんですが、その時もこの方しか居ませんでしたので。
[しまわれる鎌には、一瞬だけ視線を向けるも、それきりで。
返された説明に右手でがじ、と頭を掻いた]
なんっか、良くわからんが……。
ようするに、俺とやり合う事にはあんまり意味がないっつー事ね。
[ご主人様、が何なのか、何故自分とやり合いたくないと思うのか。
それが気にならない、とは言わないが。
そこを問うても、返るのは笑みだけのように思えたので、そこは追求せず]
……ま、それならそれで。
警戒する相手が減るってのは、わるかないしな。
[気疲れしなくてすむし、と。
冗談めかして言いつつ、肩を竦め]
何もすることがありませんからね。
[ブリジットの言葉に一つ頷いて。
目を瞬かせる様子には「おや」と呟く]
今朝の放送はお聞きになりませんでしたか?
──ここに集められた者達は『遊戯』に参加する『権利』を得た──と言う事を。
[流された放送の一部を繰り返し口にし、広間にある端末へと歩み寄る。
手早く操作し、今朝追加されたらしい『遊戯規定』の項目を立ち上げ、ブリジットへと示した]
−かくして現在:L−
[今もなお、青少年は寝床の上で不機嫌であった。
理由はもちろん放送の声のせい]
…人をおもちゃ扱いしやがって、くそ。
[しかめた眉、不機嫌そうな瞳が天を見上げる。
ころり。ゆるり転がって。片口で猫がにゃあとなく]
…絶対潰してやる。こんな組織。
[ぐっと握ったこぶし、天井へと突き上げて、それから力を失ったそれは敷布の上にぱたって落ちた]
えっ、そうでしたっけ。それは、えっと。すみません。
[そう言ってぺこり。]
オトフリートさんですか。よろしくお願いします。
[だが、続いて出てきた先読みの神子という言葉にぴくりと反応すると]
それは……ええと。ちょっとした事情がありまして。
……。
思いっ切り、寝ていました。
[視線を逸らして、少し、気まずげに言う。]
ゆう、ぎ?
[拾った単語を繰り返すも、いまいち、ピンと来ない様子。
しかし、示される内容に、眉間に深い皺が刻まれた。]
……なに、それ。
戦え、とか、未来はない、とか。
――どういう。
[理解しているのに、したくない。
そういうように、オトフリートを見上げた。]
[肩を竦める姿に笑顔を返しつつ、目の前の蒼を覗き込みきながら]
でも、今朝の声聞く限りじゃ、順番に潰すしかないんだよねぇ?
ひとりも残しちゃいけないのなら、最後って事、なのかなぁ?
いやだなぁ。
[小さく呟いた。]
だって、そんなの――
……これ、って。
そういう集まりだったの?
[困惑のいろ。]
オトフリートさんも、
ナターリエさんも?
そういうこと、するの……?
[覗き込む瞳を見返しつつ、呟きにむぅ、と言いつつ腕を組んで]
……別に、律儀に奴らのいう事聞かなくてもいいと思うがね。
向こうの勝手にきっちり付き合う必要なんざ、ねぇんだし。
ま、どうにもやりあわにゃならんようなら、そんときゃそん時ってー事で。
今から考えてても、キリねぇしな。
[思考はどこまでも大雑把]
後はこれくらいか。
[言って右手首に複雑に編まれた紐を結んだ。
一見はただのアクセサリーのように見える]
通じるといいんだけれど。
あとは虎穴に入らずんば、だろうなっ。
[そこそこの高さから飛び降りる。膝を軽く曲げて衝撃を殺し、軽い足取りで建物に向かい走った]
いえ、良くある事なので。
[ナターリエに謝られると、「気にしないで下さい」と首を横に振り。
己の言葉に反応する様子を漏らすことなく見つめて]
事情、ですか。
あの堅固な籠から出ていらっしゃることは無いと思っておりましたが。
この『遊戯』の主催者により無理矢理連れて来られたか、籠の組織から送り込まれたか、それとも他の何かが関与しているのか。
まぁ、過程はどうあれ貴女はここへと姿を現した。
貴女も『遊戯』に参加する『権利』を手にしていると言うこと。
いずれ貴女の力をこの目で見ることが出来るかもしれませんね。
[それ以上追求するつもりは無いようだが、その瞳は観察するそれになっていて。
普段のオトフリートを知る者には僅かに違和感を覚えることだろうか]
[ブリジットの困惑の声に、私は僅かに目を伏せる。]
私は……死にたくはない。
殺したくはありませんが、私に危害が及ぶなら……
[言葉尻は非常に弱くなって聞き取れない程度。]
―個室H―
[昨夜食べた林檎の夢を見ながら、少女の夢は安らかだった。
しかし――]
――ゆう、ぎ?
[眠りを妨げたのはギュンターによって流された放送。
その内容をどれほど理解できていたのだろうか、
しきりに首を傾げながら浴衣から乾いた服に着替え、
誰かを探そうと階下へと向かった]
―→広間―
[困惑するようなブリジットに見上げられ、そちらに視線を向ける]
…ここにはそう言うことが出来る人間しか集められていないのですよ。
特異な能力を持ち、組織に目を付けられた者は例外なく──ここへ集められる。
[最後に問いかけられた言葉には肯定も否定もせず。
何かを知っているかのような言葉をブリジットに向ける]
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