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[例え問われても無口な彼のこと、はっきりとは答えなかっただろうが。
かつてこの地で人として暮らしたという守護妖精、それに対しては色々と複雑な思いがあったりするらしい]
外まで送る。
[1人(と1羽ではあるが)にするのは色々と不安だったか、そう言って。
森の出口までは着いて行くことにする]
それじゃ、お邪魔しましたっと。
[あまり礼儀のなっていない挨拶を残して、賑やかな家を後にする。
好きなようにと言った手前、付いて来るアーベルに厭う言葉をぶつけることはなかったものの]
さっきのが本音なら性根が悪いし、嘘なら素直じゃないな。
[どちらと取っているかまでは言わず、そんな台詞を投げた。
気怠さの表れか、会話なく並ぶでもなく、普段よりは少し遅い足取りで先を歩んでいたが、小屋に程近くなったところで抱えていた紙袋から飴玉とは異なる長方形の小さな袋を取り出して、背後に投げる]
約束破んのは嫌いだから。
[こっちからした覚えもないけど。
そう付け加え、相手が受け取ったかを見ることもなく、扉を開く。
*袋の中には、一本の石のついたペン*]
[すっかりじと目で、帰っていく二人の青年を見送ってから、リディと競争するようにパンを平らげ満腹になる]
ごちそうさま!
[満足そうにヨハナにそう告げて、入って来た裏口へと向かう。表の方から帰らないのかと聞かれたなら「来た所から帰るんだよ」と当然のように答えたろう]
また明日!
[薄茶の猫と一瞬視線を交わし、てってと外へと駆け出していく]
[森の出口まで来て、そのまま診療所に帰るミリィを見送り。
自分は今一度森の中へと引き返す。
先程蔦を見た場所とは、また違う方向へ。
やがて森の音に混じり、微かに聞こえて来る歌声。
何処かにあるという不思議な森の詩を。
気分転換の為で他人に聴かせる気はないから、誰かの姿を見たなら即座に止めるだろうけれど**]
ええと、大丈夫ですよぉ?
[送る、という言葉にきょと、とするものの。
強く断る理由もないので、森の外までは一緒に歩く。
その間も、白い鳥はどことなく落ち着きなかった]
ほんとに、どうしたんでしょう、リーリエ。
[なだめるように撫でつつ呟き。
森と村の境界線でユリアンと別れると、真っ直ぐ診療所へと向かう]
―診療所―
ただいまですよぉ、ブルーメ。
[門をくぐり、箒に声をかける。
こちらも、鳥と同様落ち着かない様子]
あららぁ、ブルーメもそわそわしてますねぇ……。
んん、これはちゃんと調査しないと……あら?
……今の?
[外見的には、小さな子供だったけど。
それにしては、動きが機敏だったような。
ついでに、何か違和感も感じていたり]
……ほんとに、何が起きてるんでしょう。
悪いことじゃなきゃ良いのですけど……。
[小さな声の呟きに、鳥はくるると鳴き、箒は一回転して同意を示す。
ともあれ、庭に突っ立っていても仕方ない、と*診療所の中へ*]
性根が悪くても良いよ。
[ヨハナの家を出るときは、ちゃんと挨拶をした。
[だけれど、このときばかりは機嫌のよくない声。]
エーリ君はどじっこじゃないか。
……ばーか。
[小さな声で悪態付いて、いつもよりもゆっくりと行く後を追う。]
[と、唐突に放り投げられたものを、慌てて両手でキャッチ。]
[うまくキャッチできずに、あわあわと手の上で遊ぶその袋。]
――え?
[掴んだそれ、聞こえた声。]
[扉の中に消えた彼を追うことなく、手の中の袋を開ける。]
……エーリ君のばか。そんなことするから、居心地いいなって思っちゃうんじゃないか。
[あんなにダメといったのに、小さな石がてっぺんについた、気に入ったペンがその手の中に。]
[小屋の扉を開けて、エーリッヒの姿をまず探す。]
エーリ君!
ありがとう!
[言わなきゃいけない言葉はそんなくらいで、感謝の気持ちに抱きついてしまえと。]
[それからまずは部屋に戻り、袋にたくさん入ったピアスをふたつ選んで、耳につける。]
……ん、これでまたふたつ。
ペンはダメ。
[今度はペンをやるものかと決めて、台所へ。]
[置かれた食材に手を合わせてから、やがてシチューの香りが家の中に広がった**]
―自宅―
よし、と。
[お茶とお菓子にお腹は満たされた。
両親が家に戻る迄は、まだ時間もあるだろう。
スコーンと魔法瓶の入ったリュックサックを背負い、勢い良く立ち上がる。]
いってきまーす!
[誰もいない家に声をかけて家を出た。
目指すは、崖崩れの現場。]
[大人達に見とがめられないように、街道は通らず森を抜ける。
昼間の太陽でも渇かせなかった湿気が足を湿した。
ぶるり、身を震わせて空を仰ぐ。]
んー、もう少し道の方へ寄るかな。
[地図に視線を落とし、思案顔で呟いた。]
んと、太陽があっちの方で、山があっちだから………。
[柔らかく湿った土を踏み、道なき道をふらふらと進む。
慣れない場所に不安はあったけれど、それよりも好奇心の方が大きかった。]
あ、なんだろ、この茸。食べれるかな。
[街で育った少女には森の全てが珍しく、辺りをきょろきょろと見回しながらの道はなかなか進まない。]
誰かが植えたのかな。
変なの。茸が輪になって生えるなんて……。
[秋になったとはいえ未だ青の残る草の上、薄茶の茸が円をつくり並んでいる。
小さなその輪を見つけると近寄ってぐるりと見回った。]
円の中だけ、草が枯れてるんだ……。
[昔話に詳しくない少女には、それが妖精の輪と呼ばれるものであることが分からない。]
―森―
[店に戻るべく出口を目指す。
幼い頃から慣れているとはいえ、流石に暗くなると拙い。
仕事を抱える身のこと、尚更迷っている場合ではなかった。
というわけで、順調に道を進んでいた…のは良かったのだが]
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