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─雑貨屋・店内─
ごめんね、寝過ぎたっ!
[台所に用意されていた食事を済ませると、慌しく店へと向かう。
母はちょうど、対応していた客を送り出していた所だった。
大丈夫? という問いに、頷く表情はいつもと変わらぬもの]
ウチは、もう大丈夫。
それより、かあさん、疲れたでしょ?
あんな天気の後じゃ、お客さんも多いだろうし……。
あとは、ウチがやるから、休んでて。ね?
[僅かに青ざめたようにも見える母の様子に、やや眉を下げた面持ちで言い募る。
母は一つ息を吐くと、お願いね、と頷き。それから、何か言いかけて、口をつぐんだ]
……どしたの?
[不自然な様子に、黒の瞳を瞬かせる。
問いに母は答えず、ただ、お願いね、と言って、奥へと戻って行った]
……なんか……ヘンなの。
[小さく呟くものの、直後にやって来た客への対応で、その疑問は紛れてしまう。
客との応対の中、昨夜の嵐の被害を聞いて、さすがに表情は翳った]
うわ……おじさんいないのにそれって、カヤ……。
[色々と、大変なのでは、と思い。
昨日の事も合わせて、差し入れしないと、と考えながらその客を見送ったあと、箒を片手に外へ出た]
─雑貨屋・前─
うわ……ひど。
[外に出て、目に入った様子に思わずこんな言葉が口をつく。
少し移動して港の方を伺い見たなら、その惨状はありありと知れて]
まだ、海も荒れてるみたいだし……在庫、大丈夫かなぁ……。
[後で倉庫確かめないと、と思いつつ。
まずは店前の掃除に*取りかかる*]
― 森→広場方面へ ―
[人と対応するのとはまるで正反対に、
愛しげに触れた指先が、ゆっくりと樹から離れる。]
海へ向かうついでに、胡椒も買って行きましょうか。
[傷ついた森。けれど、生物学者に出来ることは特にない。
また、森の自然治癒力もしっていればこそ、
雨に濡れた緑を、海と森の中間の色の眸で一度見あげるに留める。
胡椒は、クロエさんの所で売ってましたっけ?
と、考えながら足は広場の方へ。
途中、島民から訝しげな視線を感じはしたものの、
変人扱いの視線を受けることは、ままあるので、
その理由に気がつくことなくクロエの店の前へと。]
― 雑貨屋前 ―
クロエさん、おはようございます。
[店の前で掃除をしている女性の前に立つと、
まずは、常と同じ挨拶を。]
……大変ですね。
[少しばかり掃除をするクロエに対して首を傾げ、
紡ぐ嵐の惨状に対する感想は、その程度。]
嗚呼、ところで、
胡椒はクロエさんの所でよろしかったですか?
[そしてどこまでもマイペースに、
自分の用件らしいことを続けた。]
─雑貨屋・前─
ああ、ライ兄さん。おはよー。
[呼びかける声に、箒を動かす手を止める]
ホントにねぇ、ウチの辺りは、この程度ですんでるけど。
港の方は酷いもんだし。
ん、ああ、扱ってるよ。
[感想の短さはさして気にした様子もなく。
用件には、肯定の頷きを返した]
― 雑貨屋前 ―
嗚呼、良かった。
胡椒がないと、味がしまらないものですから。
[すんっと一度鼻を啜るのは、胡椒の惨劇を思い出して。
頷く相手に、では胡椒をくださいと続けた後]
……そういえば、クロエさんは、雷大丈夫でしたか?
[おそらく相手にとっては唐突になるだろう、話題が飛んだ。
一応は、学者の頭の中では、
(胡椒の一件→リディ→女性)+(嵐の話題→雷)
=昨日のゲルダ→女性は雷が苦手?→クロエは?
という思考の流れがあったりしているのだけれど。]
─雑貨屋・前─
そりゃ言えた、と。
でも、他のはいいん?
[それだけが切れるのも妙な気がして、何気なく問い返し。
続いた、唐突な話題にきょとり、と瞬いた]
て……ちょ、どっからそういう話題っ!
お、思い出させんといてよっ!
[相手の思考変遷などは伺い知れず。
直後に上がったのは、上擦った声]
―朝・宿屋―
おはよう。
親父さんは当然港だろ。
手伝うよ。
[宿泊時にしては珍しく朝早く起き出して、四苦八苦しているリッキーの準備を手伝う。椅子を下ろしたりテーブルを拭き直したりという程度だったが]
船、繋いだままだったからな。
あの様子じゃ…。
[広場の奥まで舐めたような水の痕があった。そこまでとなると船が無傷であるとは思えず。まさか完全に破壊されているとまでは知りえなかったが]
おっと、戻ってきたみたいだ…?
[自衛団員を伴った姿に声を掛け損なう。何やら深刻そうな団員に首を傾げ、黙ったまま厨房前に立っていた]
― 雑貨屋前 ―
他のは良いのです。
他のは悪戯、まだされていませんから。
[雷の話題になにやら上擦った声を漏らす相手に、
調味料について、やはり言葉足らずに答えながら、
瞼を何度かハタハタと動かし、若干首を傾げて]
……そうですか。
[何かに納得したように、一つ頷く。
何が『そう』なのか説明せずに、
脳内メモに女性が雷が苦手率を上増ししながらも]
お値段いくらですか?
[真顔で胡椒の値段に話題を変えたのは、
この場合は正解なのだろうか。]
─雑貨屋・前─
[ようやく落ち着いた所に振られた苦手の話題に、平静を欠くものの。
話題が変わった事で、その先に進むのは踏み止まれた。
何かが上増しされたなんて、知る由もない。
ふるふる、と首を左右に振って気持ちを切り替え、代金を告げてから、店に入って品物を出してくる]
……って。
悪戯、って、何があったん?
[それから、ふと気がついて向けたのは、素朴な疑問]
―宿屋―
島から出られないって。
そこまで酷かったんだ…。
[自慢の船もやられてしまったフーゴーに、下手な慰めの言葉を口にすることも出来ず。少しの間悼むように瞼を閉じた]
で、今のは何だったの。
…ここに泊まってた客が?
逃げ損なったとかじゃなくて?
[死体が上がったという話にリッキーと顔を見合わせた。
簡単な説明を聞けば驚き、やはり訝しげな顔になった]
訳が分からないな。何か嫌な感じだ。
― 雑貨屋前 ―
[基本的に鈍い男ではあるけれど、
きっかけが知的好奇心(女性が雷が苦手かどうかの統計)故に、
いつもよりは敏感になっていたようで。
相手の仕草に、本当に苦手らしいと悟り、
珍しく空気を読んで、雷の話題を今度は意識して避けた。
そして、相手の疑問に答えを。]
リディさんに、寝ていたら顔に胡椒を根限りかけられました。
……復讐の一環のつもりでしょうか。
[また胡椒の惨劇を思い出して、すんっと鼻を鳴らし、
品物を受け取ろうと、今回はきちりと用意した硬貨を掌に乗せ、
クロエに差し出した。]
─雑貨屋・前─
[それきり、苦手に関する話題が途絶えた事に安堵していたのに、気がついたのはぶち猫だけか]
あの子が?
それが復讐だってんなら、カワイイもんだね。
[状況を思い浮かべてか、ほんの少し笑みを浮かべ。
品物と代金を交換し、額を確かめてからひとまずエプロンのポケットへ]
はい、毎度あり。
―自宅―
[昨夜の嵐の間、カミナリがなるたびにびくびくしていた女は当然のことながらあまり眠れるはずもなく。
ただヴィリーや、名前しか知らないとはいえダーヴィッドなどがいたことで少しはましだった。
途中、雨脚が弱くなった時に反って言ったライヒアルトに挨拶などは出来ているはずもなく。
カミナリが完全にならなくなってからうとうとと浅い眠りに落ちた。
その間にヴィリーやダーヴィッドがどうなったのかは知らず。
そして日が完全に昇ってから目が覚める。]
ん……?
[リビングでクッションにつかまって丸まっていたことを考えるに、昨日誰かに引っ付いたまま夜を過ごしたと言うことはなさそうで。
ヴィリーが招き入れていた島の人々も嵐が去れば自宅の確認をするために立ち去っていた。
そしてヴィリーの姿も見えないことから、もうかえっていったのだろうと言うことは想像にやすく。
ダーヴィッドはどうしたのだろうと首をかしげた。]
―宿屋―
[そうこうしているうちに他の客も出てくるだろうか。
ヘルムートも来たならば挨拶や説明をしたかもしれない]
ああ、ちょっと出てくる。
[支度を進めるフーゴー達にそう声を掛けると宿から出た。
広場に降りて嵐の爪痕を見ながら足を進める]
― →雑貨屋前―
おはよう。
ライヒアルトさんも。被害とか大丈夫?
港は散々らしいけど。
[覗き込んだ店には先客が居た。
挨拶をしながら状況を尋ねてみる]
─雑貨屋・前─
あ……おはよ。
[従兄の声に、振り返って挨拶を返す。
ぶち猫も、挨拶するようになぁ、と鳴いた]
こっちは、まあ……大丈夫、だよ。
[物理的な被害はわりと軽いので、嘘は言っていない]
─宿屋─
[やれやれ、と言った心境で店の中に視線をやると、目に入るのは愛用の船を模したオーナメント。表情に暗さが増したことだろう]
………はぁ。
…ん、アーベル起きてたのか。
悪ぃな、手伝わせちまったみてぇで。
[厨房前に佇む姿を見つけ、まずは謝罪を。それから簡単な説明の後に深い溜息をついて]
嵐に巻き込まれたんじゃねぇかと思うんだが…どうも違うらしい。
と言っても噂でしかねぇんだがな。
死体を見た奴が言うには、嵐に巻き込まれて出来た傷では無かったとか。
きな臭ぇのはきな臭ぇが、今はどうにもならん。
島からは出られなくて死人も出た。
それが今分かってる事実だ。
[そんな言葉をアーベルに告げた。他の宿泊客達が起きて来るならば同様の話をしたことだろう。
出かけて来ると言うアーベルを見送ると、再び店の準備をし始め。宿泊部屋のシーツの取り換えやその洗濯等、雑務をこなす。船を失ったショックはあれど、仕事は疎かにはしなかった。仕事をすることで思い出さないようにしていたのかも知れないが]
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