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[ツィンカのいた部屋を確かめて、下に戻ると牧師様の姿はありませんでした。]
あの、何が……。
[女将さんを探しに飛び出した事は、場にいた誰かが教えてくれたでしょう。
心配で、眉がきゅ、と寄りました。]
どちらもご無事なら、よいのですけれど。
……わたくし、教会に戻りますわ。
もしかしたら、女将さんが訪ねてこられるかも知れませんし。
[危ないから、と引き止められるかもしれませんけれど、大丈夫です、と気丈に返して買い物籠を抱えます。]
……月……。
[外に出て、最初に目に入ったのは空の月でした。
とても綺麗なのに、その光には何だか不安を感じます。]
……大丈夫。
きっと、大丈夫。
[ちいさく呟くと、買い物籠を抱きしめるようにして歩き出します。
そうして、教会までもう少しという所まで来た時、不意に小さなひかりが目の前を横切りました。]
あら、これは……。
[ひかりはするりと釣り鐘型の花に入り込みます。
りん、りりん。
鈴が転がるような音。
薄紫の花が、綺麗な白に染まりました。]
これは……。
どこに、行っていたの?
[一つ、二つ瞬きながら呟くと、白くなった花はほわ、ほわりと瞬きます。
ふわふわしたひかりは、同じように白くてふわふわしたものを思い出させました。]
……もう。
勝手に飛んで行っては、ダメ。
[いさめるような声で言うと、教会へと戻ります。
誰もいない教会は、とても静かでした。**]
〜 宿の一室 〜
〔月が沈んで、どれだけが経っただろう。
太陽が出て、きっとしばらく経った頃。
ぱちりと目を覚ましたアナは、そこが家ではなく、森でもないことに不思議顔。ぐるりと巡った視線は、机の上に置かれたランタンを見つける。
一晩を過ぎても、青白い炎はともったままでいた。〕
……あ。
〔まばたきもせずに炎を見ていたけれど、ちいさく声をもらすアナ。
ベッドから、とん、と降りて、ランタンに手を伸ばす。触れたとたんに、まるで役目を終えたみたいに、灯りは消えてしまった。そっと持ち上げると、まだ残っている油が、小さく揺れる。
髪を結び直して、服のしわを伸ばして、アナは部屋の外に出ていった。〕
〔さて、はじめに会うのは誰だろう。
宿に泊まっているお客か、訪れた村人か、女将の代わりをする人か。
ともかく、誰かの顔を見るなり、アナはこう言うんだ。〕
あの。
お兄ちゃん、
お兄ちゃんのからだ、
どこにいるか、知りませんか?
〔とっても真剣に、涙ひとつ見せないで。**〕
[ゴーン、ゴーン、教会の鐘が鳴ります。
それにあわせて黒い森の鴉たちも鳴いています。
教会には中身の少ない棺が置かれていました。
棺を作るのも小さな村での木こりの仕事だからです。]
[宿の女将は、どこ行った。
宿の女将は、どこ行った。
牧師は少女を宿へと送り届け
その寝顔をしばらく見つめた後、
眠そうにあくびをして、眸をごしりと擦ります。
宿の女将は、もういない。
宿の女将は、もういない
青白い炎を一瞥すると、牧師は教会へと帰って行ったのです]
[村のはずれの教会に
ホラントさんがやってきた。
小さくなって、やってきた。
木こりを連れてやってきた。
何も言わずに、やってきた]
占い師、霊能者?
何ですか、それは。
[教会を訪れた木こりの言葉に、牧師はとても不思議そうです]
[弔いの鐘の音が、
ホラントさんの噂話よりも速く、大きく
黒い森へと響き渡ります]
狼退治ならば、ドミニクさんの方が本職でしょう。
それか、羊飼いのアルベリヒさんがお詳しいかと。
[牧師は困ったように、木こりの言葉に答えます]
私にできるのは、こうして可哀想な死者を弔うことと
狼が早く退治されるよう、
神様にお祈りすることだけなのです。
[牧師は己の非力を嘆きます。
ホラントさんは、もういない。
ホラントさんは、もういない。
ホラントさんは、函の中。
ホラントさんは、*土の中*]
そうさ、ホラントが言ってた。
噂聞いたやつの中にいるってな。
何するやつかは聞いてねえ。
人狼ってのはどんなんだ。
尻尾が影についてんのか。
ただの狼ならオイラも分かる。
人の狼はわかんねえ。
オイラの代わりに祈ってくれや。
牧師さんに斧は似合わねえ。
[木こりは牧師にそう言い残し、のそりと動き出すのです。
影の中に尻尾を求め、厳つい顔は顰め面。**]
−−宿屋−−
[ゼルマは教会の鐘が鳴らされるのを聞きました。
いつもと違うその音色は、村で一番年かさの自分が聞くことはあるまいと思ったものでした。]
なんてこと。いったい誰? まさか、女将さん?
[ともかく、教会に行かなければなりません。
ゼルマは黒のヴェールを探し出すと慌てて教会に向かいました。]
[鐘の音が、離れた場所の宿にまで響きます。]
あれは教会の鐘かな。
[祝福には聞こえない音でした。
旅人は身なりを整えて、ロビーへと降りて行きました。]
[その途中だったか、廊下だったか、旅人は少女を見つけました。
旅人は少し前に、その少女が宿から帰るところを見ていました。]
どうかしたか。
[少女は不思議な問いをしてきます。
旅人はまず、お兄ちゃんがだれだか分からないと首をかしげて、]
ホラント殿は、おとといの夜から見ていないな。
[それが分かったあとも、本人ではなく『からだ』ということばに不思議そうにしながらも、やっぱり首を振るのでした。]
少し待っているといい。
ホラント殿か、知っている人が来るかもしれない。
[まさかホラントが鐘の原因だなんて思わないようすで、旅人は言って、少女をロビーのいすに座らせます。
ゼルマは出ているようでしたので、旅人は台所で悪戦苦闘した後、少女に*お茶を出すのでした。*]
〔響いて、消える、鐘の音。
旅人の答えを聞いて、アナは残念そうにしたけれど、ランタンを抱いて素直にロビーについていく。
お茶が出されるまでの間、窓の外を眺めていたアナは、黒を纏った誰かが教会に駆けていくのを見た。〕
ああ、そっか。
〔そうして、なんだかほっとしたように呟いた。
空っぽのランタンは、机の上に置かれる。〕
ありがとうございます、旅人さん。
〔戻ってきた旅人の出したお茶。
湯気が立ちのぼって、あたたかい。〕
あのね、お兄ちゃんは、きっと、教会にいるんです。
お父さんとお母さんのときが、そうだったから。
〔晴れた空。飛ぶ鳥はどんな鳴き声、していたろう。〕
旅人さん、お名前、なんですか?
アナは、アナって呼ばれています。
〔遅れての自己紹介。
はじめましての人と普段通りにおはなしして、お腹が空いていないかと聞くと、勝手にごはんを用意し始めた。
パンにジャム、ハムとチーズ、いつもと同じメニュー。
いつもと違うのは、なんだっけ?〕
〔食べ終わって、ごちそうさまをして、後かたづけをして。
それからアナは、言い出した。〕
アナ、そろそろお家に帰ります。
お着替えしなくっちゃいけないから。
〔ぺこりとお辞儀。
またねとご挨拶をして、明るい道を、ランタン揺らして帰っていくんだった。**〕
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