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……ふえ?
[昇る途中で聞こえた声に、思わず動きを止める。
声の主はといえば、こちらが向かう方とは逆向きに落下して行く所で]
…………。
[しばし、滞空して、沈黙]
ちょっ……高さ、普通じゃないからっ!
[最初の一言がそれなのか。
思わず上昇から下降へ動きを変えた]
ううん、今来たとこ。
…って言えばいいのかこの場合。
[いい男、には敢えて反応せずに、次に聞こえた言葉に一つ突っ込む]
なぁ、一人忘れてね?
[だけどそこはそれだけ。
次に告げられた言葉に今度はこちらが軽く瞬いて]
あぁ、カードねぇ…どうぞ…
って言うと思うか?
[言葉は軽く、だけど表情は闘いに赴くそれ。
「手品師」がここに来た理由などそれしかないから]
同じ言葉をそっくり返したいんだけど。
あぁ、貰うカードの名前は『愚者』と『力』だけど。
[『声』の答えは望めないから、『檻』に朽葉色を巡らせる]
[初回に半数までふるい落とされたマスターたち。
誰かしら知るだろうと予想してのことだったの、だが]
……っ、
[とある女性から思い切り睨み付けられて終わって、しまった]
うはー、速かー。
[落下中も何とも暢気]
エイキチ、頼むけぇ。
[地面が近付くその最中。肩の小猿に声をかけ、小猿は応じて男からぴょいと離れる。次の瞬間、小猿は四翼を備えた銀の狼へと変化した。エリカから見れば男自身が転じたと錯覚するだろうか]
…さぁて、反応はどぎゃんもんかねぇ。
[男は仮面の下でほくそ笑む。銀の狼は四翼を羽ばたかせ、ゆっくりと地面へ降りた。狼の足へとぶら下がっていた男も地に足を付け。それと同時に狼の姿は霧散、地面には男の姿だけとなる]
いえいえ、それは私の台詞じゃないですかね?
[と突っ込みについては、なんだか冷静にそんなこといい
一言だけ告げられた言葉には首をかしげ誤魔化すように笑みを浮かべるのみで]
おや、いってくれませんか。残念。『力』でしたらまだいいですが、『愚者』はできれば持ってたいですねぇ〜。好みなので〜
…とはいえ、対価としてはそれぐらいは当然ですね〜
ですがよろしいでしょう?カード三枚や四枚もっている相手よりも、二枚もっている相手とやるほうがいいでしょうしね
そして勝ったほうはめでたく四枚になる。悪い取引でもないと思いますよ〜
それになによりも…つまらないよりいいでしょう?
[色々と理由を述べながらも、最後にいった言葉が一番重要であろうという態で]
というわけで…お手柔らかに?
[にこりと闘いの前だというのにいつもの営業スマイルとともに、右手を前に構える。
そして左手の中にトランプが数えるのも馬鹿らしいほど現れ滑るように左手から右手へと移った直後に銀縁のトランプはカルロスの前面に直進。側面後方には孤を描きながら次々と風を切って連射される]
……っ!?
[下降の最中、目に入った、銀の姿。
飴色が一つ、瞬く]
今の、って。
……え?
[幼い頃に、数度、聞かされた姿とそれは容易に合致して。
しばし、困惑しながらその場に留まる]
…………まさか、ね。
[小さな呟きの後、再度、気流を捉えて下へと向かった。
飴色に浮かぶのは、はっきりそれとわかる、戸惑いのいろ]
やー嬢ちゃん、驚かせちもうたかのぅ。
[降りて来たエリカに暢気な、にこやかな声を投げかける。瞳に宿る戸惑いの色に気付けば、仮面下で口端が持ち上がった]
どぎゃんしたと?
具合ばよさげにゃ見えんのぅ。
やりおうた疲ればまぁだ残っちょおかね。
[紫紺を前に戻したなら、どこか眩しそうな枯草の色に気付き、不思議そうな表情を浮かべて]
あ…、お気遣いありがとうございます。
そうですね、考えていても仕方ありませんし…。
彼女の場合は不都合とすら思わない気がするので、謝るのも違うというか、…きっと。
[苦笑には、苦笑が返る]
個人的に応援したいから、なんでしょうね。
悩んでしまうのは…。
俺も『運命の輪』を渡す気はないねぇ。
等価交換、まぁ妥当だよなぁ。
面白いには越したことはないけど……
……っ!
[カードを使うということは知っていた。空間である以上、それをどう使うかも]
はっ!
[手中に漆黒のロッドを呼び、それを軸にして飛び上がり棒状で倒立してカードをやり過ごす。
着地して手品師に向き直るといくつもの空気の刃を呼び、ロッドの一振りでそれを飛ばす。
左右に分かれたそれは手品師を両脇から切り裂こうと]
―湖畔―
んーっ。
[顔を擦って伸びをした。
湖にせり出した木の上。視界は開けている]
追いかけられなかったのは良かったけど。
きっと場所を特定できる手段とか持ってるんだよねー。
[ぶーらぶーらと枝に腰掛けた姿勢で足を揺らす]
……覚悟決めて先に潰しとくべき、かなー。
最初からそのつもりならきっと。
[相手に記憶の欠落があるだなんて知らない。間違いなく同人物という確証はない以上、敵討ちの大義名分があるわけでもなく。
戦う理由は『恐怖の克服』という部分に置かれていた]
他の誰かと戦ってる時に動揺しても馬鹿だし。
……ふつーに、驚くと思うけど。
[にこやかな呼びかけに、ぽつりと返す。
距離を一定に保つのは警戒か、それとも抱く困惑故か]
べ、別に、どーもしないよ?
具合は悪くないし。
疲れに関しては、ノーコメント。
わざわざコンディションバラす必要ないもん。
[コメント以前に、態度に出てます]
[不意に響いた声に朽葉色が瞬く]
…ラスト、
そうか、…随分と獣に執着してるんだな。
[何が彼をそうさせているのかはわからないが]
[人を取り巻く世界は様々だ。
自身を取り巻く世界も、彼女を取り巻く世界も]
…隣の芝は青い、っていうものなのかな。
俺からしたら「ただの」で居られたのが羨ましいけど。
[逸れた朽葉は床に落ちる。
それはそれで、様々な苦痛があるだろうことは想像もできるが]
応援?…ああ、なるほど。
[思い出すのは先の、魚に釣られたときの記憶。
随分仲が良さそうに見えた二人]
それなら、存分に悩むといい。
エリカなら笑い飛ばしそうな気もしますけど。
[くすりと、小さくまた、笑い声が零れた]
ま、そういうゲームですしねぇ〜
[暢気にどこか達観したものいいを口にして]
おや、身軽ですね。ロッドというのは術者が使うものが多いものですが
[やり過ごされたカードがそこかしこに突き立っても、風の刃が迫っても余裕さえ伺えるような口調で、カードを両手に数枚構え、風の刃を流すようにしながらふわり浮き上がり]
ではでは、私の手品を楽しんでいただきましょうか
[言葉と同時に指を鳴らせば、先程やりすごしてカルロスの周辺に突き立ったカードが焔を纏い。カルロスを飲み込まんと次々に破裂する]
…………マイルズ、…も。
その方に会ってはいらっしゃらないのですね。
[やはり敬称無しに慣れないのか、微妙な空白が空いて。
同じよう、周囲を見回した先、敵意をむき出しにする女を見て、何も悟らなかったかの如くにきょとと紫紺を瞬かせる。
どこからともなく聞こえる声に、ひとつ頷いて]
…ラスト、さま。
魔術師のカードだったような…。
そうけ?
無事に降り立てぇ手段あるけぇ、あげなことばしたんじゃがの。
[距離を置く様子ににやにやと口元を緩ませているのだが、仮面のお陰で表に出ることは無い]
そげに動揺ばしとってどーもせんっちゅーんは通じんがね。
今おまはんば襲う気ぃもなかしのぅ。
……なーんか気ぃなることでもあるんかいの?
[仮面の奥、闇色がエリカを見つめ細まった]
…始まったねぇ。
変な事してるヤツが約一名居るが。
[聞こえる声に小さく呟いて]
ま。
為さねばならない、為しても成らぬかも知れない何事も、てか。
じゃ、おじさんは遠巻きで見させてもらおうかねぇ。
[ゆっくりと足を向けるのは破裂音が聞こえた方]
知らなきゃ、驚くよっ!
[妙にムキになって言い返すも。
動揺を指摘されると、その勢いは飲み込まれ]
…………。
[銀の蔦の絡み付く右手が、揺れるロザリオをぎゅ、と掴んだ]
狐のおにーさん、は。
……何、知ってる、の?
[逡巡の後、投げかけたのは低い声の問いかけ]
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