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[背伸びして、]
でも、
… きっと、そういうところも。
レナーテの良いところで──
[引き寄せた肩口に]
ボクが──
… 好きだ。と、
思うところゆえ、しょうがない。
[聞こえるか聞こえないか。そう──言葉を零して横にある紅へ翠を向けて、]
―村の通り―
ああ、母は最期の姿でも私に教えてくれたから。
命は廻るもので、散ることも悲しみだけを生むのではないと。
[痛くはないよと首を振りながら答えた]
[閉じられた翠に少しだけ残念そうになる]
[すぐに腕を引かれて身を寄せた]
―村の通り―
[少しだけ、足が止まった。
虚をつかれた様に、黙って、……睨むように目を細くした]
誰が忘れるかよ。ウェンデルじゃあるまいし。
[再び歩き出す。
言葉は常の調子に近かった]
視てやる気なんかねぇし。
……だから、んなこと言うな。
[追い越して、振り返らずに言った]
─村の通り─
そうだね、ごめん。
[ゼルの少し前を歩いていたから彼の表情はわからなかったものの、ウェンデルじゃないと言われれば苦笑した。]
…そ、っか。
[視てやる気はないと言われると、哀しげに笑ったものの、その後の言葉に、自分を追い越したその背を驚いたように見つめた後、泣き笑いのような表情になって俯いた。]
うん。もう、言わない。
─…手…繋いでも、いい?
[かろうじて答えた声は、震えていて。
先を歩くその背に、何度となく躊躇った後そう*問いかけた。*]
[瞬く紅に向ける翠は僅かに揺れるも。
──表情には笑みをのせて]
ボクは……。両親の亡くなったときを覚えていないから
レナーテとイレーナの母様の話は…
もっと聞いてみたく思う。
[すとん、と踵を地につけると。
つかまえていた手を離して──に。と笑った。]
…さて。
エーリ兄のところに
伝言に行かねば。
[至極あっさりとした口調で身体を離す。]
レナーテの母様の話は…狩りのときにでも。
聞かせてくれると、ボクが喜ぶ。
[では、またあとで。と。
さらりと言い置くように背中を向けて、──ひらり。
後ろに向けて、大きく大きく*手を振った*]
─村の通り─
[何かを言わなければと思って]
[何も言えないまま口を開いては閉じた]
[そうしている間に手が離れ身体も離れていった]
あ、ああ。
私の下手な話でも良ければ。
イレーネなら上手く話せるかもしれないし。
[胸に手を当て少し早口で答える]
…また後で。
[あっさりとした口調に慌てて頷く]
[手を振り返し見送って]
[しばらくその場から*動けずにいた*]
―村の通り―
……ああ、二度と言うな。
お前は余計なこと考えずに、バカみたいに笑ってりゃいいんだよ。
[前を向いた状態では、イレーネの細かな表情は伺えない。
けれど聞こえるのは今まで聞いたことのない震えた声で、小さく舌打ちした後でそう返した。
それから暫くの沈黙が降り、発された言葉にまた足を止める。
溜息を吐き、身体ごと振り返って]
……ほら。
[手を差し出す、というには少し強引過ぎるか。
彼女の手を掴んで、*歩き出す*]
─自宅・作業場─
[ユーディットが去った後、再び作業台へと向き直った。ヒカリコケを入れた白と蒼の染料液。キャンバスの一番上辺りに白で2つ、円を描いた。その中に蒼の円を描き入れる]
…ごめんなじっさま。
依頼の絵、完成させたの見せられなくて。
[描いた2つの二重円を見つめながら、ぽつりと呟いた]
[新たに描いた円から中央の4つの円へと視線を移す。その色合いは両親のことを思い出させた]
…絵の知識は母から、染色の技術は父から。
そして俺が寂しくないようにと、二人はミハエルを、遺してくれた。
俺は両親とミハエルから沢山のものを与えられた。
…俺には、遺してやれるものはあるのかな──?
[ミハエルにも、この村にも。そんなことを思いながら、先日のミハエルとの話を思い出した]
甥か姪、なぁ。
ユーディットには偉そうなことを言ったけど。
本当に、難しいよ。
[苦笑を漏らしながら呟く。今しばらくキャンバス眺めてから作業台を離れ。しばらく散歩に出ることにした。何となく、皆の顔が見たくなったために]
─ →自宅・外─
[家を出たところでミハエルがこちらにやって来るのが見えて]
ミハエル、どうしたんだい?
[笑んで、何か用かと*問い掛けた*]
―エーリッヒ宅―
[軽く撫でられ、ふに、と目を細める。
いつもと変わらないやり取りは、気持ちをだいぶ落ち着けてくれた]
それじゃ、ディは、かたつむりのとこにいくよ。
……リィにい、ありがと、ね。
[ちゃんと聞いてくれて、と、笑って。
随分ましになった足取りで、とてとて、奥の小広場へと歩き出す]
―村の通り―
あ……ミィ。
[少し進んだ所で、金の髪を目に止めて、ちたちた、と手を振る]
ミィ、もう、大丈夫?
[それから、投げかけるのは、こんな問いかけ]
さっき、ミィ、すごく、辛そう、だったから……。
ディは、大丈夫、だよ?
転んじゃったけど、リィにい、手当てしてくれたし。
……ちゃんと、ギィにいのとこにも行くし……。
[ちゃんと、と言いつつやや逃げ腰なのはある意味いつもの事]
でも、その前に、かたつむりのとこに行かないとなんだ。
じいちゃの友達。
報せてあげないとだから。
[ましになったとはいえ、まだ覚束ない足取りは心配させるかも知れない、けれど]
に、大丈夫、だよ。
ちゃんと、気をつけて行く、ってリィにいにも言ったし。
約束は、ちゃんと、守るから。
[笑いながら、こう言って。
またね、と手を振り、奥へと向かった]
―洞窟奥・苔の小広場―
[たどり着くまでに時間がかかったのは、いつも以上に気遣いながらの歩みのためか。
ともあれ、ふわふわとした苔の広がる場所に着くと]
……おーい。元気、かい?
[いつものように呼びかける。
間を置いて、現れたのは、色鮮やかな殻のかたつむり。
その殻を、ちょい、とつついて]
あのね、かたつむり。
じいちゃ、ね……。
[ぽつぽつ、と始まる語りの内容を理解しているのか。
かたつむりの触角は、どこか、力なく見えた**]
─村の通り─
ふ、ふ、ふ。
イレーネからも…レナーテからも聞いてみたいのだよ。
それに、最初からなんでも上手くできるものはいないのだろう?
[上手い下手などは気にすることはないぞ、と。
走っていった先で一度振り返りレナーテに笑い答えて>>63。]
─村の通り─
[エーリッヒの家に向かう途中、茶の髪の友人が手をふるのにとととっと走る勢いを殺した。]
ユーディ。
ああ。…うん。
うん。哀しかったり、辛かったり……
苦しかったりしていなかった、と。
言ったら嘘には、なるけど
[心配の言葉に、真顔を向けてから──たは。と情けなく笑った。]
うん。でも。
今は──大丈夫だ。
ちゃんと……逃げず向き合えている、と思う。
[自分の胸に手を置いて。だから、大丈夫。と、そう答えて、]
[ただ、先に出た、ユーディの、自分に向けた大丈夫、と言う言葉には翠を眇めて]
……、…ほほう?
[逃げ腰の様子には、じとり。と目を半眼にした。]
…ユーディー?
[ひょい、と手を伸ばして、撫でるのではなくて押えるようにわしわしと頭を──少し乱暴に揺すって]
当たり前だ。ちゃんと、
ゼルギウスのところにも行くのだよ?
それと。
ユーディも、……、
……無理はせずに。
辛かったら辛い、とちゃんと言っていいのだよ。
無論。友としてはユーディが苦しくない事を願うが。
けれど、ユーディが苦しいと思っているなら、
……それに蓋をするよりは。ちゃんと向き合いたい。
[ぽん。と。軽く撫ぜて、茶色の頭を離し]
甘えてもらえると、嬉しいんだと言っていた。
それも、…ちょっとは、わかるからな。
……足。
痛いのを治す方法がわかっているなら、
無理はしないことなのだよ?
[じいちゃのかたつむり。のところに行く、
というのには、やや心配気に、うん。と頷いて]
…わかった。約束、を、信用しよう。
[腰に手を当てて大げさなくらいに大きく頷いて、また。と、それに手を振って]
─エーリッヒの家前─
[駆け足で到着すれば家の前に兄の姿]
エーリ兄!
[名前を呼んで走りより]
うん。
……語り部たるものとして伝言を伝えに。
そこで、ユーディに会ったから
もしかして、もう聞いたかもしれないと思うが
[息を吸って、一拍の間をおいて、
自分よりも濃い翠を見上げて]
死神の刻がきて。
……ギュン爺様が、連れて行かれた。
[押えた声で、兄へ向けては避けた話を伝えて]
いつ……、
誰がどうなるかわからない。
「後悔のないように。」
[兄に伝えるのは二度目の言葉。
言い終えて、胸に手をあて──息を吐き出す。]
今は、それだけなのだよ。
エーリ兄の顔が見れて安心した。
[笑って、ふわ。と洞窟の中では、あまり感じない空気の流れに不意に後ろを振り向いた。]
────、
[ゼルギウス?と、声ではなく唇の動きで呟いて
ぱち。と翠が瞬く。びく。──と、一瞬だけ、肩が揺れて]
……
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