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[琉璃の白いワンピース。
胸元に紅い紅い花が咲いて]
俺は謝罪も弁解もするつもりはないけど。
琉璃は…俺に何か言いたい事は?
[傾ぐ身体を支え、琉璃の口を自身の耳元へ持って行く。
その場で浮かべた表情は何だったか]
[事切れたのを確認すれば、百合を一輪近くに添えて。
旅籠への道を歩む]
気のせい、とは。
この状況では言えないよね。
[眉を寄せる。左足が微妙に熱いけれど]
行きましょう。
[傘を開き、小走りに旅籠の方へと]
[傘をささずに、降られるがまま、道を歩んで]
…小百合?
[旅籠の近く。道の中央に横たわる姿]
ああ、また…からっぽだ。
[視線を落とし、呟いた。
開いていた瞼を閉じさせて、けれど、運ぶ事はせず旅籠へと進み、扉を開ける]
誰か、助けて…。
ああ、そうだな……。
って、落ち着いたら足、診せろよ?
[一応、釘を刺してから。
微かに感じる、焦燥めいたもの。
それに急かされるように、旅籠へと走る]
……なんにも起きてなきゃ、いいが……。
[走りつつ、ジャケットの上から内ポケットに忍ばせたものがある事を確かめる。
いざとなれば使う事に躊躇いはない、*銀色の存在を*]
…うん。
琉璃兄に、私も怒られちゃ…。
[息が詰まった。小さく咳払いをして]
大丈夫。まだ走れるよ。
[二人の視線に首を振って。旅籠へと急ぎ]
皆、居…る!?
[扉が開いたままになっている。どうして]
[血と、それ以上の雨に濡れた服のまま、その場にべたりと座り込み]
…榛名先生は…、旅籠の皆は、まだ無事、か?
[熱に浮かされたような眼差し。
少しぼんやりとした声で]
俺の周り、皆……聡も琉璃も小百合も、一人ずつ居なくなって…っ。
小百合、は…そこに居たんだけど、もう……。
[ゆるゆると首を横に振る]
琉璃兄、が…?
[慌てていた心が。どこかでスッと冷めた]
どっち。
軽かった?それとも普通?
[淡々とした口調。蓮実が何かを言いかけたのも気付かずに]
小百合さんは?
[裕樹の姿に、思わず椅子から立ち上がり、駆け寄った]
その、格好…!
…ここに居る、人は、大丈夫。
今、涼ちゃんと、孝博君、が、厨房に、行ってる、けど。
[旅籠に居た者達のうち、姿が見えない者の居場所を教えて。続く言葉に僅か息を飲む]
居なくなって…って。
え…待って、それって…。
[おそらく頭の中に浮かんでいる可能性は、正しいのだろう。しかし否定したくなり、蒼白になる。
ぐるぐると考えていると、玲達が戻って来ていて]
玲ちゃん…史人、蓮実君…。
どうしよ──。
[言いかけて、玲が裕樹に訊ねる言葉に固まった。彼女の立場として、その行動は間違っているわけではない。しかし、自分にとっては衝撃的で。言葉が続かなくなる]
[聞こえてきた新たな声に視線を上げる]
…助けて。
あのままだと、小百合が可哀相……、
[なんとか腕を持ち上げ、道の方を指差す。
けれど、すぐに力が抜けて]
…軽い、って……何、が?
[身体がいやに熱い上に、瞼も重くて。
意識が*遠ざかって行く*]
[息を吐き出す。]
面白くねェの。
[取り乱した様子の涼とは対照的に、冷めた声を洩らし。
がらりと窓を開ける。]
・・・行くか。
[振り返りもせずに窓枠に足を掛け、雨降る中へと降りた。]
[やがて小百合の遺体が発見され、裕樹や他の者が旅籠へと戻る頃。
かれは既に、元の通り厨房に居る。]
・・・どーか、しました?
[表の騒ぎに、何喰わぬ顔で*扉を開いた。*]
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