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[掠れた声に、ほんの少し眉を寄せ]
……霊亀から、少しは聞いたけど。
お前も大概、無茶したろ。
[呆れたような口調で言って、ため息一つ]
ああ、そういやまだ何かあるって言ってたな。
わざわざ俺に、って、一体なんだよ?
まあ…仕方ないだろうけど
[だが、あまり納得いくわけでもなく嘆息。
少なくとも普通に動く分には問題なさそうだが、本性変化の負担が半端ない上に威力も悪いようなのは試さずとも理解できてはいるし、そもそも自力で出れん以上どうしようもない]
天魔か…それって…あいつ…だよなぁ
[言いよどむ様子とここに来る前の話でだいたい察せられ、自然と浮かぶのは複雑なもの。敗北した以上仕方ない。と思いつつも、納得できるほどでもないが]
イトコて…あ、ミックん?
そう言えばあれからどない……
[なったんか、は訊けませんでした。やってオーラが。オーラが!
こーゆー時は逆らってはいけないと保身を図り、お口チャック。
あ、共犯者なオトモダチとはこんなトコ(笑顔がとっても恐いイトコ)にも共通点あったんやね。発見しても嬉しゅうないけど]
………ご講義、タイヘンありがとうゴザイマシタ。
[ながーいながーいお小言の半分は確実に、恐怖でのーみそ上滑ってった気がします。
生徒会長の服を出来るだけ見ないんは、眼鏡ない自分の今の格好という現実から思いっきり目ぇ逸らしたかったせいですが。
あ、キョウヤんはプールで素顔見てるから気にせーへんかもやけど]
しゃあないしょ!
皆使い慣れてない力に振り回されてる感もあるし。
ま、他人のこと言えないケド。
[ムッとした顔で言い返し。それからハァと息を吐いて]
一つはその辺り。
保護された相手の治癒終わったら、こっちも頼めないかなって。
マリィも相当消耗してるしさ。
私は…ちと喉もヤバくて。
[目を逸らす。無茶をしすぎた自覚はあります、流石に]
もひとつはさ。神社繋がりとか出来るのか知らないケド。
祖母への目晦ましを手伝って欲しいんだよね。コレ終わった後。
─『隔離の陣』→学校屋上─
[金に近い黄の粒子を纏い、『隔離の陣』から屋上へと出てくる]
さて、やることやらんと、ね。
[待たせている九尾の下へ行く前に、屋上に吹き溜まった火気の均しを行う。火生土、過剰な火気は土気へと転換され、力として蓄えられた。まるでこの後起こることに対し備えるように]
さ、九尾。
一旦ここから離れよう。
[先に出た光邦には上手い具合に見つからなかったようで。屋上入り口を開けて、そこに待機していた九尾の手を取る]
[『隔離の陣』の中で光邦をからかったのは、作戦だったのかもしれない]
や、それにしてもミックんが会長とイトコやったなんてビックリやわ。
言われてみたら、なんとなく似てへんコトないんやけどな。
[話題の転換を試みたのは、正解やったか失敗やったか。
タマキちゃんとうちが似てるんと同じ程度には血筋あるなーて素直な感想込みやってんけど。
あと、一応あれからどないなったんかの探りも入れたかったとか。
無理してるんは黄龍のおかげで理解してるんで、それなりに気にしてたり。どこぞの誰かさんみたく泣きはせんやろけどな]
……ま、それに関しちゃ、俺にも責任あるわな。
[慣れてない、との言葉にぼそり、と呟き。
一つ目の『頼み』に、軽く引きつりました]
ま、まあ……そこらは、頼めば……なんとか、なる、だろうけど。
[思いっきり歯切れ悪いのは、なんなのか。
先ほどの無茶+諸々で、従姉とは接しづらいのが本音、なのだが、状況的にはそうも言えず。
わかった、と頷いて]
は?
……神社繋がりの……目晦まし?
[もう一つ、の方に、きょとり、と]
あ、そなんだ。なんというかそういう情報もほとんどないままやることだけ言われるってのはかなり問題だと思うぞ。
[一応こちらにきてさらってなかった知識を少し咀嚼したつもりだが、少なくとも天魔何人とか知らなかったりするが]
それが本当に救いになるんならいんだけどな。…そもそも昨日今日降って湧いた知識を全部信じることは俺はできん。
[知識をさらいつつもそれはばかりは本心であり、久鷹が他を害するのを喜んでするかといえば否。であるから得られた知識と齟齬が生じているが、従姉の顔を見て嘆息して、目をそらし]
…まあ、あのご老公の言うことは信じれんし、この知識もいまいちわからんが…幸貴のことは信じてみる
[というかそれしかないわけだったりする。]
私が反発はしても悩まなかった理由。
つまりはウチも本来は関係者みたいなモンだったりするわけだ。
[きょとりとなるミツクニにケラと笑う]
白羊の楽師、或いは奏上の巫女。それが私の祖母。
五十嵐は姉さんが嫁いだ相手の苗字なんだよ、本当は。
私は普通の生活が送りたくて家出してきたってね。
ま、本気で知らないわけでもないんだろうけれど。
騒ぎに巻き込まれたとなったらこれ幸いと連れ戻されかねなかったりもするわけで。それは避けたいんだ。
だから隠蔽工作を手伝ってくれませんかと。
それと、こないだ言ってたじゃん。
人の封印ならどうとでもできるものだって。
時間掛けて白虎の力使えば抑えも外せるだろうし、そうすればもう少し協力できるはず。
後で隠蔽工作手伝ってくれるなら本気出すよ。
…聞いたんでしょ?ヒサタカがどうなったかも。
ことこうなった以上、少しでも早く終わらせたいんだよ。
マリィのためにもね。
[一気に話すと、喉がピリピリした。
上から押さえて溜息一つ。まったく困ったものだ]
ま、それにしても喉が治らないと無理ですが。
というわけで二つほど、条件飲んでくれないかな?
……なるほどね。
それで、あのタイミングであの攻撃ができた、と。
[出会い頭の金属球を思い出しつつ、頭を掻……こうとして。
走った痛みに顔をしかめる]
まあ、そっちのお家事情に口挟む気はないが。
白虎を宿した、を口実に連れ戻されたくはないから、そのための手助けをしろ、と。
[言いつつ、振り返るのは、社務所兼自宅。
両親の……というか、母と九条院の叔父に頼めば、多分どうにかなるだろう、という予測はあって]
……どこまでできるかはわからんが、一応、助力の打診はしてみる。
『五神』の力を整えるのは、現状の急務だし、そのために必要なことなら、仕方ねぇ、わな。
……どっちにしろ、俺が生贄になりゃすむことだし。
[最後のそれは、なんなんですかと]
あれは説明する気がなかったようにしかみえんのだがなぁ。大雑把なだけかもしれんが、混乱する様を望んでるようにも俺は見えたぞ
[ちと真顔。であんな説明を思い出す]
…ん、任せた。んでここに送ってくれ。とりあえず何も言わんかったのを問い詰めでもするから
[これも結構真顔。なんれあれそれは己の中で確定事項]
ああ。いってらっしゃい…って。むっ
[普段と違う柔らかい笑み。それを見るのもどこか久しぶりに感じながらも最後は子ども扱いされたみたいでちと不満げになりながらも、見送った]
[そう言えば、麒麟は麒麟でも黒麒麟ってのもいたよーな気が。
あと美しい黒髪を緑の黒髪とかも言いますな。閑話休題]
はあ…あんま詳しい話は互いにしてへんもんで。
面倒やし。
ってーか、気ぃなんて許されてんのかなー?
あんまミックんって気ぃ使わんでもええから、うちは楽やけど。
[残念そうな声音にも、あっけらかんとした答え。
話したかったら話すし、興味なかったら聞き流す。そんな繰り返しで互いの間にある情報はえっらく偏ってるっぽいです。
イトコの話も互いに気持ちよくスルーされたんかもしれません。
なんという似たもの同士なオトモダチ]
[元々、九尾という妖怪は、天界と地界に溜まった、行き場のない気が集まって生まれたものだった。天界の気が陽となり、地界の気が陰となり、互いが両義――つまり陰陽道でいう太極図となり、尾という形でまとまっていた。だからこそ、強かった。
一の尾には陰陽の力が。
二の尾には陰陽の理が。
三の尾には陰陽の技が。
四の尾には陰陽の知が。
五の尾には陰陽の善が。
六の尾には陰陽の邪が。
七の尾には陰陽の然が。
八の尾には陰陽の宙が。
そして九の尾には陰陽の心がそれぞれ封じられていた。
九本に天と地。合計十八の力を宿した獣。それが九尾であった]
[またその他にも十八を分解すると、完全を意味する三。それに実在を示す二が生み出される。それもまた九尾を最強に仕立てている要因でもあった。
しかし、優しき心は人として生きたいと願い、変化の力を使い時の権力者に取り入り、幸せに暮らしていた。だが、悪しき心はそれを許さない。人々の断末魔こそがソレの幸せだった。
歴史を紐解けばわかるだろうが、九尾は常に当初は大人しく、良妻賢母の一面を示す存在であったが、突然性格を変えて、国を滅ぼす大妖となっている。有名なのは殷周革命で名を轟かせた妲己が良い例である]
[その後、日本で鳥羽上皇の寵愛を受けるも、正体がばれてしまい、数万の軍勢に討ち取られた。その後、玄翁和尚によって打ち砕かれ、そのかけらが全国3ヶ所の高田と呼ばれる地に飛散した。
ヒサタカに助けを求めたのは、その中で三の尾と四の尾、そして九の尾が封じられた越後国高田に飛んだ殺生石から、ある程度の力と記憶と知恵、そして優しき心が転生に成功ものだ。
目的は静かに人に寄り添って生きて生きたいという事だけ。それ以上は望むつもりはなかった]
「……ただ、石の中で切り捨てた筈の、悪しき心が、どうしてか、残してきた技をもってこっちに、出てきてて、それが、ヒサタカに憑いた、んじゃないかと、妾は、思うの」
[自分を隔離せずに、話を聞いてくれているサキの手を両手で握りながら、九尾はそう自分のことを説明した]
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