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[交差は一瞬。金属同士のぶつかり合うような音が響く]
[すぐに両者の距離は離れ、相手は空中に留まり、こちらは重力に従い落下していく]
[左手のワイヤーを伸ばして再び適当な建物に結びつけ、それを中心に円を描いて滑空するようにように地面に降り立つ]
[足を着いても、落下の勢いのまま数歩進んだ…ところで、唐突に足の力が抜けたように、崩れ落ちた]
[じわり、とその胴体の下から血溜まりが広がる]
―西エリア―
動きも柔らかい。
[肉までは刃届かず、軽い手応えで鎌が振りぬける。
捩られた相手の身体の戻りが予測よりずっと早い。後方へ下がるのは間に合わない]
…つっ。
[意識を集中させる。左手の鎌が崩れて砂のようになり、右腕へと巻き付いた。岩のようになって強度を増す。
その腕で槌の一撃を受ける。重たい。浮かぶように吹き飛ばされる。
離れる寸前、鎌を離した左手をロミの顔へと向ける。酔いそうなほど甘い香りが流れる。手元が少しは狂うだろうか]
もう少し離れた場所から使えれば。
[空中で身を丸めて体勢を整えながら、岩から戻り零れる砂を左手に受け止める。
肩から右腕全体に響く痛みに顔をしかめた]
[右手に伝わったのは、手応え。
同時、感じたのは脇腹を掠める熱さ。
空白の刹那を経て、落ちてゆく死神]
……さすがに、ただでは、堕ちねぇ、か。
[そんな呟きと共に、二つの羽音を響かせて舞い降りたのは、死神が崩れ落ちるのとほぼ同時]
悪い、ねぇ。
コレ……『龍翼』を直接見せた相手には、堕ちてもらうのが、俺の流儀なもんで。
勝ちは、譲れねぇんだわ。
[広がる赤を見やりつつ、向ける言葉はどこか、軽い]
―西エリア―
防ぐだか……っ
[相手の武器が変形し、腕を守る形となる。
手応えは硬く、ダメージはあったろうが決定打とはなり得ないだろう]
(だども、圧しているのはオラの――)
…………!?
[振り抜いた槌を戻し体勢を立て直そうとした刹那、脳の奥を痺れさすような一撃に足元がふらついた。
それが鼻腔を突く甘い香りのせいと気付けば、反射的に左手を槌から離し、腕で鼻を押さえる]
なんだこりゃ……毒だか……?
[さすがに片腕だけでは、満足に武器を扱えない。
匂いの正体がわからぬ事もあり、警戒するように一度距離を取った]
……おっと。
[意識を手放す様子に、がじ、と頭を掻く]
ま、こっちはスタッフに任せりゃ大丈夫、だろ。
[そんな呟きを漏らしつつ、意識を凝らして、右手を握る。
舞い散る黒の光。
龍の右腕と翼は姿を消す]
……さて、これで最後の手の内もバラしちまったし。
後は、総力戦、か。
[呟く刹那、常磐緑は深く、冥い]
[負傷の度合いの問題か、『遊戯』スタッフが駆けつけるのは早く。
応急処置の後、青の死神は何処かへ]
……そーいや、負けた連中って。
どこ、行くんだ?
[そんな呟きを漏らしつつ、一つ息を吐く。
ダメージは、残っているが。
他の参加者たちの動向も気になるため、一まずモニタールームへと足を向けた]
─中央部・廃墟─
まったくそのとおり。見た目なんて、その本性を窺い知るには頼りなさ過ぎ。
幼い子の皮を被った悪魔……なんてざらにいますしねぇ。
[その言葉からは、何やら実感を伴った響きが感じ取れたか。]
[ステップを踏みぎりぎり銃弾を避けるオクタヴィアに、チッと舌打ちをする。
二挺拳銃の銃弾は、いつの間にか抜いていたカードを挿入し、]
「フォームライド ババババリアァッ!!」
[同時発生したシールドがきんきんと銃弾を弾いた。]
─中央部・廃墟─
貴女から同意を得るのは本意ではないけれど…。
それが事実ですものね。
[牽制で放った銃弾は甲高い音に弾かれ。弾かれた銃弾は地面へと転がる。防がれるを構わず射撃を続け、徐々に距離を詰めて行った]
はっ!
[一足飛びで近付ける距離。相手が防御に徹している間にその距離をも詰め、体勢を低くしてカルメンの足元を払う。フリルスリットから覗いた脚が、地面を滑り円を描いた]
─中央ビル・一階モニタールーム─
[他は全員出払っているのか人の気配は感じられない。
その事自体はさして気にした風もなく、モニターを操作し、各所の様子をチェックする]
……お。
[映し出される戦いの様子は、二つ。
短い声の後、手近な椅子を引き寄せるとそれに腰掛けて。
二箇所で進む戦いの様子を、常磐緑で追いかけた]
―西エリア―
[着地。今度は足元まで変化させている余裕は無かった。
泥濘に足先が埋まる。動くには一拍どころでない間が必要だったが、香が功を奏して追撃はなかった]
流石に一度では効きませんか。
続けて食らってはこちらがもちませんし。
どうしましょうね。
[幻覚作用を含む香の濃度を高めたもの。
集中を乱せば相手が優位を保つ足場作りも崩せないかと狙っているが、その為には風に乗せた程度の作用では無理だと判断した]
ああ、致死毒など使いませんからご安心下さい。
[警戒し身構えるロミに微笑を浮かべる。
手の中に生み出したのは長鎌ではなく、鉄鎖。
泥の中を一歩踏み出し、ロミの右脇から叩きつける様に伸ばし迫らせた]
―西エリア―
[香の発生源が離れたと気付いて、腕を離し一度深呼吸する。
しかし頭の中はすっきりとはいかず、影響は免れないようだった]
ああ、そっか。『遊戯』だもんなあ……。
……オラは力抜いてる余裕なさそうだけんども。
[槌の柄を握り直した矢先、こちらへ攻撃が伸びる。
香の作用で判断が鈍ったか、それが鎌ではないと気付くのに一瞬遅れた]
しまっ……
[寸前で回避したつもりが、攻撃の届く範囲は予想より広く。
鉄鎖は槌を振り掛けた格好の右腕へ絡み付く]
─中央部・廃墟─
くっ……。
[きいんきいんと銃弾を弾く。
だが、相手の射撃に隙はなく、こちらも攻勢に出るに出られない。]
あーもう、面倒な。
[徐々に距離を詰めるオクタヴィア。そうして、その距離は一足飛びで近づける距離まで詰められ。]
うわっとぉ!?
[足元を払われ、そのままぐるりと回転し……]
…………なぁんてね♪
「フォームライド ククククククロゥ!!」
[いつの間にか新たなカードを手にしたのを挿入。
瞬時に組み変わり、爪の形になり腕に装着されたそれを、腰から腕への捻りによる遠心力で強引に身体を縦軸一回転させ、足払いをして低い体勢のオクタヴィアに地面すれすれから振り上げる。]
―西エリア―
いえ。
実の所、私も加減に苦労しています。
振り払うだけ、殺すだけなら簡単なのに。
[自在に扱っているように見える香。だがこれは本来持っている力ではなく、後から取り込まされたもの。
固定物質を変化させるよりも何倍もの負担が掛かる]
何が見えました?
[だから仕事では自分の力を引き上げるためにしか使わない。けれど今はそれをせず相手の力を削ぐ為に使っている。
チンピラを振り払う時の何倍もの負荷を抱えながら]
何が見えます?
[鎖がロミの腕に絡みつく。動く邪魔となるようにぐっと引いた。
ついで惑わすように囁きながら、再び香が効果を奏する範囲へと進む。そして空いている右手を伸ばした時、異変が起きた。左手の中で鎖が砂となり崩れてゆく]
─中央部・廃墟─
[払った脚を戻すには多少のタイムラグが発生する。その間に放たれる下からの振り上げは避けるまでは至らない]
くっ…!
[咄嗟に翳したのは二丁のハンドガンの銃身。かち合せるように近付けると、それは瞬時に一丁のライフルへと変じた。翳した銃身に相手の爪が迫る。振り上げられたそれはライフルを捕らえ、上へと跳ね上げた。足が地を滑り僅か後ろへ下がり、手からライフルが離れる。振り上げの余波でドレスの裾に爪の数だけ切り込みが入った]
貴女に似て煩い武器ですわね。
[鳴り響く声も、多彩な変化も。ある意味でカルメンに相応しいと感じた。主にマイナスな意味で]
[転がるライフルも捨て置き、次いで手に握られたのは一丁のハンドガン。けれど、引き金を引いて飛び出したのは、サブマシンガンの如き掃射された弾丸。然程離れていない距離で無数の弾丸がカルメンへと迫った]
―地底洞窟―
さっきのひとは、何処のひとやろなぁ。
見た目は都のに似てたけど。
[すっかり傷も癒えた後。
連れて来られた新たな舞台で、娘は虎を見る。
口振りは相変わらず緊迫感のないもの]
――あら。
今んは、何やろ。
[遠くで聞こえた何かの叫びに、まず虎が反応し。
娘も遅れてそちらを見た]
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