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あり…がと……
[力を貸してくれるらしい皆に揺れる瞳から涙がこぼれた。
揺らぐ暖かい感情に、わずかに内に眠る力も弱まり]
ベッティ…でいいかしら……
お願い……します……
[彼女に、すがるようにそっとその手を握り、
今頃ゲルダは心配しているかなと、ふと脳裏にそんなことがよぎった]
―ハルナのところに行く前―
[あたいは何か何も動じてないリッキーにちょっと瞬いた。
あれ、リッキーなんで、あたい言ってたっけ!?いやいやそんな記憶はねーぞ。多分。
ってリッキー…なんかすげぇ嬉しい事言ってくれてるんだけど。]
リッキー、わたし、隠し事……
[雪色のあたいは、ちょっとハルナんとこ行く足とめて、リッキーのほうを見ていたのさ。あ、逸らした。
姫扱いにはぶんぶんって、雪色があんまりやらないような勢いで首振ったんだ。]
リッキー、あり、がと。
うれしい、よ。
[やっぱリッキーは親友だな!とあたいは言えない変わりにすっげーにっこり微笑んだのさ。
爺さんが何かリッキーに言ってたけど、それはちょっと睨んどいた。
リッキーが爺さんやり込めてるっぽいから、そっちに任せてあたいは危険域っぽいハルナの所に向かったのさ。]
だいじょぶ。まだ。
切れてないから。
[握った瞬間に背中がゾワッとした。
けれど出来るだけ顔に出さないよう努める。
事実、それだけで蔓環が完全に崩壊してしまうこともなく]
ずっと休ませてもらってばっかだったもん。
榛ちゃんが困ったことになってたら、早く助けてあげたいし。
[マテウスに向けた顔は仕事をする時の、衛視の表情。
翡翠は断固とした意思を持って]
だからこれは、ボクが運ぶ。
ま、話の続きはこれが終わった後な
[ベッティの反応にこちらもにたりとした笑みを返し]
……さて、手を加えるなら
[そう呟くと、キャンキャン吠えてるエーリッヒに目を向け]
ここだよな
エーリッヒ、ちょっと手ェ加えさせて貰うよ
ちょっとくすぐったいが、我慢な
[そう言うと、返事を待たずそのちっちゃい背に手を置いて、力注入
さて、流し込んだ時空の力は彼にどんな影響を齎すのやら]
そうか…残念だ。
[強い意志を持って、きっぱりと男の申し出を断ったゲルダに、男は目を細める。残念、と、口では言いながら、その笑みは柔らかく]
すまぬが、どうしても渡してもらう。
[剣の柄に男の手が触れ、薔薇色の光がゲルダの持つ薔薇色を包む。一気に二倍程にも強まった秘宝の力に、綻んだ蔓環は、耐えられようか?**]
うん。
じゃあ、ナタルって、呼ぶ。
[頷くのを見れば安心したようにふわり微笑んで。
ベッティたちが榛名の封印しようとする様を側で祈るように見つめ。
幼い自分の力も使われるなら、捧げるように手を伸ばした。**]
[騎士の持つ剣から伝わる感触と。
今手の中にある感触は、あまりにも似すぎていた]
マテウスさん。
[どうしてと。そう尋ねるより前に、ドッと秘宝の力が膨れ上がった。プチプチという音が続けて鳴る]
う、わ…っ!
[一度に弾けなかったのは材質の幸運か。
それでも耐え切れなくなるのは時間の問題となりそう*だった*]
ありが、とう。
[ビーチェと、リッキーにはそう言って。他にもてぇかしてくれる奴が居たら礼を言った。
でもめいっぱい使っちまうのはナターリエとエーリッヒの分になるだろうな…均衡の関係で。
それでも他の手があるのは有り難い。
ふぅ、っと一回息をついて、あたいは少し気合入れたのさ。]
そう呼んで下さって構いません。
少し我慢しててください………。
[開いた口からは、淀みも途切れも無い、流れるような言葉が零れた。嫌いな言葉、だけど今は一番、伝えるのに適してる言葉だ。
ハルナに手を握られたまま、あたいは呪文を織り上げたのさ。]
―――――――汝、榛名よ
真白の王の名の御名下に、月の均衡を破りし物へ
太陽と星の嘆きを聞き、底深き常闇の夜の門を閉ざさんことを
我は力の代行者として
『封印』を―――――――――
[封印は一気に、ナタルとエーリッヒの力をあるだけ搾り取って、ハルナの中に入っていった。それの影響を抑えるように、ビーチェの力が薄い膜みたいにハルナに落ちていく。]
[頭の上でベッティが呪文を織り上げる。
最後の言葉が紡がれると、リディの手を借りて作り出した力の球が榛名へと向かって行き。
それでも足りなかったか、自分の中に残っている力も引き摺り出して封印と為した]
………きゅう。
[十分に力のある状態からでは無かったために、ベッティの膝の上で気絶してしまったのは仕方のない事だったかも*しれない*]
[ベッティを通じて流れる自らのうちを封じようとする力、
対となる二つの属性が合わさり、さらに包むようにして元の呪の力を強める力]
なんとか……なりそうです……
[完璧なものではないのかもしれないが、通じる道をふさぐにはそれ十分で、
静かな笑みを浮かべる]
ご迷惑…、おかけしました……
[先ほどよりもだいぶ落ち着いた様子で、鼻血はまだ流れたままだったのでいろいろとしまらない状況だったけども]
お、おおおお?
[エーリッヒ経由で割と自身の力も吸われていくのに思わず声を漏らす]
…………ふぅ、なんとかなった、のかね
ん、よかったよかった
[そうして、封印が為されたのか落ち着いた様子で礼を言う榛名ににかっとした笑みを向けると]
だがまあ、まずその鼻血をどうにかしろ
別の意味で恐ろしいから
[さっきからずっと流れっぱなしの鼻血で、そりゃもう彼女の服は凄いことになってるわけで]
とりあえず、これで鼻押さえとくといい
[そう言ってポケットからハンカチ取り出して、ん、と手渡した**]
[リディから受け取った、ハンカチで鼻血を押さえながら]
そういえば…ゲルダは大丈夫でしょうか……
[不安げに、まとっていた衣服は血染めの浴衣という、あまり視覚的によろしくない状態でいながら、彼女のことを心配していた。
自分を封じるためにエーリッヒも気絶しており]
いえ、本当に皆さんに…ご迷惑かけてばかりで……
[ぺこりとわびるように頭をさげながら、
さすがにまだ完全に抑えられてないとか、そんなこと皆にいえなかったので*黙っていた*]
[エーリとナタルの、出されてない分の力は取らないように注意してたんだけど、エーリッヒの方はちょっと足りなかったっぽい。すまぬ。ナタルは大丈夫か、と思ったけど歩いてゼルギウスんとこ行ったから大丈夫かな?]
エーリ、っ
[気絶しちまったエーリッヒは、そのまま膝の上で寝かしといた。あ、ちょっとでっかくなってんな。
なでてれば少しずつでも回復するかな……。
ついでにあたいは癒しの力をそっと送っておいたんだ。
おっさんのよりも更に弱い癒しだけど、無いよりマシだな。うん。
……"ちゃんと元に戻れば"、もっとマシなもんが使えるんだけど。それはやんなかった。うんまぁ理由はもにょもにょ。
ってか爺さんがエーリッヒをどかそうとするから押し留めたんだぜ……。いやいや不敬罪ってねーから!
わんこくらい膝で寝かせてやってもいいじゃんなぁ?]
[その辺は頑として譲らなかった。爺さんはあたいが頑ななのにしょんぼりしてたけどな。
…まぁ、そうだろうな。誰かに逆らうとかって雪色のあたいにゃ殆ど無かった事だしな…。
爺さんには、あたいはどこまで「いい子」に見えてたんだろう。
ハルナの封印パーペキじゃねーのは、あたいが完全に氷破じゃねーからか、それとも力そのものが足んねーからのどっちかかな。
まどっちにせよ、暫くは問題ねーだろと思ってあたいは何かえっらい状態のハルナを見たんだ。
リッキーがハンカチ渡してたから、ちっとはマシになってたけどさ。
礼とか侘びには首ふっといた。]
大丈夫、少し疲れた、けど。
[そう言ってハルナにゃ微笑んだ。
ビーチェもリッキーもあんがとな!って雪色が雪色っぽく言ったんだぜ。]
ゲルダ………。
イヴァンも、大丈夫、かな……。
[ハルナがゲルダっていうから、あたいもそっちが急に気になったけど、あたいは水鏡の所には行かなかった。エーリッヒがいたからな。
それから……多分一番、おっさんの事が気にはなってたけど、それを口にはしなかったんだ。
なんでおっさんは、あんな顔してまで秘宝欲しがってたんだろ?
そんな疑問があたいの頭を掠めていったんだ。**]
[鋭い榛名の声に、身を起してぎょっとした顔で其方を見る。
熱無き炎は自らの意志に従い、彼女の方へとまっすぐに]
…何、…?
[ナターリエのいっそ綺麗とも思ってしまう程の姿や
エーリッヒに危害を加えたのであろう予測や
今まで消えた者たちの事や
いろいろが頭を巡り、体は動かないまま
大丈夫、熱く無いし痛くはな…
[言葉を紡いだ時 光の矢が大気を裂いた]
[動揺するゲルダと 驚くマテウスに顔を向け
身を起して 低い声]
…オレの、せい、かな…――?
あいつを飛ばした時、いやがってた…ような。
逃げた…んかな
[この場を去りたいと思う程の]
[肩を落とし 少し情けない表情でふたりを見上げ]
[それから、自身の手を離れた白引を ゲルダが手にするのを見る。
マテウスが剣の柄に手を触れるのを見て ぁ、と小さく声を上げ
蜥蜴の男は一度頭を横に振る]
…そこに…あんのか。
じゃあ、お前なんだな…――マテウス。
[自分が 信用しようと思った時と奇しくも同じポーズの彼に
苦々しい声を掛ける]
[あっそういや]
……ナタル、体、大丈夫?
さっきの、変なのは、治った?
秘宝、使わないと、駄目って…
[なんかふつーに手ぇ貸してくれたからすっかり忘れったけど、変なのはどした?
と色々分かってねぇまんまのあたいは、ナタルに聞いたのさ。
でもってナタルがゼルギウスに何か言ってたのは、あたいも気になって見てたんだ。
ビーチェはエーリッヒかハルナを心配してたかな?
リッキーが、後でってた話は気になってるけど…ってか、せめてリッキーには色々言っときたいな。黙っといた事とか…。
そんなこと考えながら、あたいはやっぱもふいいなもふ、とエーリッヒを撫でてたんだ。**]
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