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容疑者の一人ってことは、僕以外にも疑われてる人がいるんだね。
どんな人が呼ばれてるんだ?
[集会所の筏に渡り、同行する自衛団員に疑問を投げた。
相手が答えるより先に少女の声が届いて]
…今のって公衆浴場の。
あんな子まで、容疑者?
[眉が八の字になった]
それは大丈夫で、
…わぁっ。
[言われた先から手が滑って、バランスを崩しかける。
幸い窓の外に落ちることはなかったけれど、上半身がかくんと折れた形に]
村の設定が変更されました。
「子供かどうかは関係ないんだそうだ」
訳が分からないよ。
団長さんも何を考えているんだろう。
「あの人は陸の神に傾倒してるからな」
理由になるのか、それ。
まあ、疑われてる僕が言っても何も聞いてもらえそうにないけどさ。
「そういうことだ」
[言いながら団員は紙を渡すと集会所には入らず戻ってゆく]
あーぁ、本当に面倒なことになりそうな雰囲気。
参ったなぁ。
[建物に入ろうとすると再び小さくない声が届いた。
何があったのかと入口から横へと回る]
て、だからあぶねって……!
[かくん、と折れた上半身に、前髪をかき上げながら額に手を当てる。
上に回って引っ張りに行くにしても、その間に落ちる可能性は否めず。
どうしたものか、と周囲を見回した所で、ふと、こちらにやって来る姿が目に入る]
あ、ちょーどいいっ!
手ぇ貸せ、手!
[カルメンが身動ぎしたのは離れたところで声が上がった頃。
伏せていた身体を起こし、椅子の上で小さく伸びをした]
───……。
[何かに気付き、両手の甲で両眼を擦る。
視界をはっきりさせるための動きでは無いことは、カルメンの状態を知って居れば明らかだったろう]
んー…。
[まだ少し眠そうにしながらも、顔を左右に動かす。
眼で確認するためでは無く、音源をはっきりさせるための行動]
[窓辺の方から幾人かの声はするなぁ、とは思えど、何をして居るかまでは聞き取れず、見ることも出来ず。
ましてやロミルダが落ちかけていることには気付くはずも無い。
一度首を傾げ、窓辺の方へと顔を向けたが、何事も無かったように別の方へと顔を向け。
椅子から立ち上がると傍の壁に手をあて広間から出て行く。
目指すのは、飲み水があるだろう台所]
……うぅ。
ごめんなさいです。
[そのままの姿勢で困ったような声を返す。
自分でなんとか身を起こそうとしているらしいが、うまく行かずに]
謝んなくていいから、動くなよっ!
引っ張り上げに行くから!
[駆け寄る姿を認めると、上へ向けて呼びかける。
行く、と言っても、入り口側から回る、などという悠長な事はしていられない]
てわけで、間に合わなかったら、受け止め頼む!
せっ、と!
[身体をかがめ、勢いをつけて跳び上がる。
丸太の隙間につま先を引っ掛けつつ器用に駆け上がり、窓枠の横を掴んで身体を支え。
もう一方の手で、ロミルダを支えようと試みるが、間に合うか]
手だけは離さないで。
もう少し頑張れ!
[最短ルートを取る青年に眉を上げながらも再び頷く。
真下まで行くと両腕を広げて万一に備えながらロミに声を掛けた]
─廊下─
[壁を伝って広間を出た先の廊下で、カルメンは一度立ち止まる。
台所には滅多に足を運ばない。
故に集会場のどの位置にあるのかがかなり曖昧だった。
しかしそこは考えよう、普段行かない方向へ行けば良いのだと思い、周囲の壁を何箇所か手で触れる]
…んー、と。
こ、っち、かな。
[現在地を認識すると、普段は向かわない方向、正しく台所がある方向へと壁伝いに進み始めた]
わ、分かったです。
[返事したのはどちらにか、その間にもずるずる落ちている。
振動が伝わってきたのもあって、両手を壁につけてなんとかこらえる。
足が浮きかけたところでユリアンの手が届いて、わずか上に上がる]
[どうやら差し伸べた腕は間に合って。
力を入れて、少女の体を広間の中へと押し戻して行く。
自分とロミルダと、二人分の体重を支える左腕にかかる負担は、推して知るべし、か。
それでも、そこは気合で凌いだ。
鸚鵡はばさばさ、心配そうな様子で落ち着きなく羽ばたいて]
……っとに、なに、やってんだ、よ。
ふぅ、間に合ったね。
[二人ともが窓の向こうに戻ると大きく息を吐いた]
大丈夫かー?
僕も中に入るよ。
[窓から入るなんて器用な真似はせず、玄関に回る]
いきなり驚かされたな。
なんか喉渇いたかも。
[押し上がって、片足が床につき、もう片足もついた。
窓枠に手をかけて、息を吐いた]
はふぅ。
ごめんなさいです、ユーリにぃ、クロさん。
ロートスも。
[ロミルダはしょんぼりしたようすで、もう一回謝る]
─ →台所─
[時間をかけてようやく台所に辿り着く。
けれど問題はここから。
カルメンは慎重に手を動かして、飲み水が汲み置かれている場所を探し始めた]
た、ぶん、はし、っこ……。
[家の置き場を思い出しながら、壁際を中心に飲み水を探すのだった]
あー、いいから、いいから。
「ロミー、へいきー?
だいじょうぶなら、いいのー」
[はあ、とため息をつくのに重ね、鸚鵡が歌うよに言った]
それより、どしたんだよ、急に窓から乗り出したりして。
なんか、あったか?
いや、無事だったからいいさ。
まあ次は気をつけて。
こんな呼ばれ方して怪我したらつまんないよ。
[広間に入ると謝るロミルダに笑いながら首を横に振った]
ここって台所とかもあるんだよね。
ちょっと水貰って来る。
[二人の無事を確認するとすぐにまた出て台所へ]
6人目、妊婦 ブリジット がやってきました。
[何の変哲も無い平和な日だった。
窓から差し込む太陽の光を体に浴びながら、ブリジットが優しげな顔で、イスに座ったまま自分の腹を愛しげに撫でている]
『……』
[その前には、彼女の旦那であろう男が同様にイスに座ったままその姿を眺めている。
その表情は彼女と同じ様な幸せそうな───いや、なんとも言えないような表情で、ただジッとその腹を眺めている]
〜♪
[鼻歌なぞを口ずさむ彼女の姿をどれくらい眺めていただろう。
やがて彼は、長かった沈黙を破った]
『なあ……本当に、産むのか?』
大丈夫です。
今度から、気をつけるです。
[ロートスとクロエの言葉それぞれに、ロミルダは眉が下がったままの顔で笑って返した]
こんな?
[続いたクロエの言葉には少し首をかしげたけれど]
あっ、そだ。
忘れてたです。
[慌てたようにユリアンに向き直る]
[男のその唐突で、聞くものが聞けば非道な言葉に、彼女はコロコロと笑いながら返す]
あら……。
また、その話?
[つまりは、その言葉は今まで幾度と無く行われていた、ということだった]
『何度だって言うさ。
俺はまだ……正直、迷っている』
じゃあ、私も何度だって言わせていただくわ。
私は産みます。
この世に授かった大切な命ですもの。
『……』
[彼女のその言葉に、彼はやはりなんとも言えない表情で深いため息を吐いた]
『……分かってる。俺だって分かってるよ。
その子は、俺たち夫婦の大事な贈り物だ。そんなことは、ずっと分かっている』
―台所―
あれ、誰か居るのか…ってえぇぇ!?
[間取りから予測した場所に台所は確かにあった。
ガタゴトと音がする中を覗けば、カルメンが手を彷徨わせていて。
思わずひっくり返った声を上げる]
─台所─
[時折手を何かにぶつけながら探索を続けていたのだが]
……?
…クーリェ?
[聞こえた声に名を紡ぐ。
クーリェとは勿論クロエのこと。
彷徨わせるものを手から視線へと変え、カルメンはクロエに対し耳を向けるような姿勢で首を傾げた]
話……って。
あ。
[先ほどの、自衛団員との会話。
それを聞かれていたのか、と思い至り、決まり悪げに頭を掻く。
どうするか、としばし悩むものの、後から聞かされる事でもあるし、と思って]
……外れに住んでる、漁師の旦那。
朝に、見つかったらしい。
[死体の状況についても、一応は聞いていたけれど、そこはぼかした。
自分でも、理解と整理が追いついていない部分だから]
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