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こわくない、ケネスおじさまはすごいと思います。
……アーヴァインおじさまは、どうしてこんなところに住んでいらっしゃるのかしら。って、いつも、思うんです。
[軋む音をたてて、風に揺られるつり橋の前まで来ると、ウェンディの表情はよりいっそう強張る。
だけれど、一緒に進んでくれるケネスの姿を見上げて、もう一度大きく頷くと、恐る恐る足を踏み出した。
木でつくられたつり橋が軋む。二人分。
ぎゅうっと綱を握って、一歩一歩進んでいくけれど]
……きゃあ!
[横風の音に、思わずぎゅっと目を瞑る。もちろん掴む手に力も入って。
それから恐る恐る目を開けると、差し出された手に気付く。
ケネスを見上げて、彼に近い方の手を、そっと掴んだ]
ごめんなさい、ケネスおじさま。
ありがとうございます。
[揺れる音、風。そんなものにびくびくとして、時折手には力が入る。
だけれど、一緒にいてくれると安心したのか、これからは足が止まることはなかった。
対岸に辿り着いても、離されるまではぎゅっと握って、ほっとしたように、嬉しそうに笑っていた**]
─ 2階 客室 ─
[執事からの指示を受け真っ直ぐに向かったのは客室、ではなく水場。
そこで桶に水を汲んで、布と一緒に持って2階に上がる。
扉が開いている部屋を覗き、中にいた使用人を見止める。
自分の母親と一番仲が良かった人だと気付くと、微かに甘えたような笑顔を浮かべて声をかけた。]
あのね。
ヒューバート様から、お部屋の準備に、まわってって、言われたの。
だからね、お手伝い、して良い?
[無意識に素のままの口調で問いかけると、笑顔で返された了承。
それを受けて、表情がまた少し嬉しそうなものに変化した。]
─ 2階 客室 ─
今日、いらした…お客様の、人数?
えぇと、ね。
私は、オードリー様にしか、お会いしてない、けど…
オードリー様のお部屋と、もう一部屋、って言われた、から。
少なくても、お二人は、いらっしゃると、思う。
[掃除の手を止めないまま、今日の来客の人数を問う使用人に返答してから少し思案。]
こういう時って、お客様、重なる、よね。
あと二部屋、くらい。
準備、しておいたほうが、いい、かな。
─ 2階 客室 ─
[呟いた言葉に、まずは指示されたことをしてからと言われると、小さくこくりと頷く。]
うん。
もちろん先に、オードリー様の、お部屋から…え?
あ、もう、準備、出来てるんだ。
…うん。
それじゃあ、私、もうお一人のお部屋、準備してくる、ね。
[そう言って他の部屋に向かおうとして、あ、と小さく声を上げ。]
そう、いえば。
ケネス様のお部屋も、整えるように、って。
…先に、ケネス様のお部屋。
行った方が、良い、よね?
[いつ戻られるか解らないから、と使用人からも同意を得るとケネスの部屋へとまず向かう。
ここ暫く滞在されている御客人で、あまり話したこともない方だけれど…お酒の臭いがして、少し苦手に思う方。
鉢合わせても気まずいから、彼の部屋を整える手つきは丁寧ではあるが幾分急ぎながらのものになった。**]
のんだくれ ケネスがいたような気がしたが、気のせいだったようだ……(のんだくれ ケネスは村を出ました)
のんだくれ ケネス が参加しました。
こんなもん、怖がるもんじゃねェからなァ……
[軽く肩をすくめ。
アーヴァインの考えなど分かるはずもないから応えることもなく。
少女の足取りがゆっくりなのは仕方がないと諦めていた。
横風に驚いて立ちすくむ少女を見ればやれやれと小さな吐息をこぼし。
ここで見捨てていくのも後味が悪いとばかりに手を出した]
――礼はいらねェよ。
[荒れた男の手には少女の手はかなり小さい。
時折強く握られても痛くも痒くもなくて、ただなれない小ささに居心地が悪い。
さっさと渡りきろうとしたけれど、少女を引きずることも出来無いから結局はあまり早くはない。
対岸について安心したように笑う少女を見やり]
……帰りはがんばるんだなァ……
[握られていた手を話して、そんなからかいをする。
屋敷にたどり着いたときには、玄関先に人がいたかどうか**]
─ →アーヴァインの部屋 ─
旦那様、失礼致します。
[ノックを4度行い、扉の外から声をかける。
入室の許可を得ると、静かに室内へと入った]
バーンズ様がお見えになりました。
今年もワインをお持ちくださったようです。
後程、挨拶にいらっしゃると。
[来訪の旨を知らせると、主はワインの言葉に表情を崩す。
今夜試飲すると言われ、それに対しては承諾の意を向け一礼した]
[それから直ぐに主の表情は曇り、入用が出来たので金庫を開けて欲しいと金額の書かれた紙を渡して来た。
この屋敷には家令が居ないため、財政管理も自分が行っている。
告げられた言葉と渡された紙に、極小さく息を吐いた]
───畏まりました。
では後程、お運び致します。
[誰に、と言うのは聞かなかいし言われない。
けれど回数を重ねられた今では、ある程度の予測は立っていた。
それでも何も言わないのは、最終決定権は主にあるため。
またか、と言う思いのみを抱いて、一礼の後に主の部屋を辞した]
─ 厨房 ─
[主の部屋から戻ってくると、再び厨房へと足を運ぶ。
オードリーが持ってきたワインの入った鞄を見つけると、静かに鞄を開けた]
旦那様が試飲なさる前に少し寝かせておきませんとね。
[ワインは繊細な飲み物。
故に適した場所で静かに保存しなければならない。
一度鞄の蓋を閉めると、それを静かに持ち、厨房の隣にある保管庫から地下のワインセラーへと降りた]
─ ワインセラー ─
[然程大きくも無く、かと言って小さくも無く。
屋敷に適した規模のワインセラーの中で再び鞄の蓋を開け、中に入っていたワインを棚へと静かに並べた。
ワインは振動にも影響を受ける。
故に扱いは懇切丁寧に行う必要があった]
………彼が来てからだいぶ減りましたねぇ。
[二ヶ月前から滞在している、主の知人。
元々の貯蔵量が多かったことと、毎日大量に飲む人が今まで居なかったため、酒が枯渇するということはなさそうではあるのだが]
随分と、飲み過ぎの節はありますよね。
[不満とも案じともつかない呟きが零れ出た。
封を切ったワインの残量の確認を行ってから、軽くなった鞄を手にワインセラーを出て行く。
保管庫から厨房へ戻り、鞄は後程オードリーに返すことにして厨房のセンターテーブルの上に置き。
他の業務に移るべく、廊下へと出て行った]
─ 玄関 ─
[一番人目につき易い、玄関内周辺にある窓の桟や絵画の額縁などを乾いた布巾で乾拭きする。
埃が積もらないよう手入れするのも自分の日課であった]
……おや。
[ふと窓の外に視線を向けると、大きな人影と小さな人影が吊り橋を渡り切り、こちらへ向かってくるのが見える。
片方は直ぐに、この屋敷に今滞在している者だと言うのが見て取れた]
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