情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[大きな紙袋はドサリと待合室のソファーに置いて、うーん、と伸びをしている所に]
ん?あぁ、そうなの。
繕い物用品とか、日用品をね。
今日はどうせ学校も休みでお店も暇だろうし、ソフィさんにお店番任せてあるから。
[話しながら、不意に朝の事を思い出した]
ね、ニーナ、アーヴァインさんって来てたりするかしら?
…ん、そろそろいいかな。
[砂が大体落ちただろう時を見計らって、きゅ、と軋んだ音を立てて蛇口を戻す。
濡れた掌をタオルで包む。余分な水気を軽く吸い取った後、
染みるけどゴメンね、と一言声を掛けて、消毒液を含む綿を
傷口の部分へ手早く何回か押し付けた。それなりに染みる筈なのだが、
少し眉を寄せるだけで、声を上げない少女に小さく笑みを零して。
その上からガーゼと紙テープで傷口を覆う。素早さは慣れたもの。
と、投げられる問いに、掌へ落していた視線を上げて。
ゆるりと首を傾げた。今日は朝からここに居るけれど──]
えと、アーヴァインさんですか?…いえ、私は見てませんけど、…
──先生、今日ってアーヴァインさん見ました?
…え、誰、じゃなくて。先生、物忘れには早いですよ。
[口許へ手を当てて、暫く考え込んだ後
お世話になっている診療所の主に問いを投げてみる。
しかし、返って来た言葉に、緩く瞬いた。
何度か問答を繰り返すも、周りの看護婦の反応も総て一緒で]
…えっと…あら?
[ニーナの問いに同じ反応を返す周りの人たちを、きょとんと目を見開いて見た]
やだ、皆朝帰りを知ってて隠してるのかしら?
それはもう分かってるから、いいんですよ?
[くすくす、と笑いながら手をぱたぱた振りつつ、話に加わる。
が、否定する人たちの表情を見てそのくすくす笑いは口に張り付いたまま、固まった]
…え?本当に?
アーヴァインさんの事…え?あら?
えっと…あら?
[頭の中の整理が全く追いつかず、眉尻を下げながら座ったままニーナを仰ぎ見た。]
よく我慢したね、はい、ご褒美。
[少女の前に戻ってカルテだけ書き終えると、
どうぞ、とキャンディを二つ手渡した。
数日前にサーカス団の銀髪の青年から貰って以来、
ポケットに入れたままのものだけれど。折角だから。
治療を終えて、周囲の人たちを交えながら
レベッカと共に問答を繰り返していたものの、矢張り何か可笑しい]
…──。…いえ、何でも無いです。ごめんなさい。
[同じ反応しか戻らないことを悟ると、話を切り上げた。
ふと、怖くなる。…昔、同じ事があった。あったけれど。
余所者を嫌う彼が、行ったとは思えないし──何より]
…あの、アーヴァインさん。
昨日、何処かに出かけられたんですか?
……たとえば、──サーカスとか。
[ぱちぱちと目をしぱたいて居たが、ニーナの声にはっと思い出す。]
そうそう、朝ラッセル君が探してたから聞いてみたのよ。
サーカスに行ってから戻って来ない、って言っていたわ、確か。
[昨日の店での出来事を思い出し、ヘンリエッタに気がつかれないよう、治療費の為の銀貨をニーナに渡そうと手に握って差し出した。]
えぇと…どういう事なのかしら?
でも、サーカスなら私も行ったわ。そして、ちゃんと家に帰ってるわ。
サーカスで揉め事があったとか…話しこんでるとか…
…でもそれじゃ、皆が名前すら知らない理由にならないわ。
[周りのひとたちの話はわからなくて、
手当てを終えた掌の上に
置かれた飴玉を見ていたけれど、
ふと顔を上げて緩く目を瞬かす。]
あ。いえ、これぐらいの治療は当たり前ですし。
[受け取れません、と差し出された手を軽く押し返して。
しかしそれと同時に返される言葉に、思わず、青を見開いた。]
…アーヴァインさん、本当にサーカスに、…行ったんですか?
[彼だけは行かないと思っていたのに。
でも、彼がサーカスに向かった事が、驚愕の理由ではなくて
──ああ、この仮定がもし合っていたら。
けれど、どう説明すればいいのかも、判らない。]
理由に、なる、と言うか…。いえ、あくまで、推論の話で。
皆が、集団物忘れをしている、かもしれませんし。
[何とか適当に取り繕おうとして、自分で言って滅茶苦茶だと思った。
…推論を確かめる術はある。彼の身体がどうなったか。
確かめに行けば、いいけれど。──見に行くのが、怖い。]
あのひと、
……いなくなっちゃったの?
[小さく、尋ねて、確認して。
それから、手当てをしてくれた彼女のことばに、]
見たよ、行くの。
[幼い声は、自身の見た、事実を告げる。]
集団物忘れ…?
あら、そんな病気があるの?やだ、じゃあそれじゃないかしら?
[銀貨を返されてちょっぴり困り顔、ふと逆の手に残っていたアップルパイの最後の一口を思い出し、ポイッと口に入れて平らげた]
じゃあ、もしかしてアーヴァインさんが迷子とか?
例えば動物のオリに間違って入っちゃったとか…そういうのもあるのかもしれないわね?
私、荷物置いたらちょっと見てこようかしら?
[手についたパイのくずをペロリと舐めて、ふいとヘンリエッタの声に目を細めた]
あ、やっぱり。
探しに行った方がいいわね。
自警団長が迷子になってちゃ、世話ないわねぇ?
[くす、と微笑む顔は少しぎこちないようにも見えた。]
[甘酸っぱい林檎とバターの香りに気を取られつつも、慣れた様子で診断をし、薬を処方していく。
待合室の話の内容までは聞こえないものの、聞き覚えのある声がいくつかある気がした]
はい、ではまた一週間後に。
飲み忘れないように気をつけてくださいよ。
[頭を下げて出て行く老人が診察室のドアを開けた時、"集団物忘れ"]という言葉が耳に届いた]
…は?
──、本当に。
…うん。えっと、ありがとう。
[少女の言葉に、目を見開いた。
短く返すお礼の言葉は、少しだけ、震えたかもしれない。
…目撃証言まであるのなら、彼は実際にサーカスに行ったのだろう。]
……迷子じゃなくて、
戻って来れないのかも、しれません、よ。
[レベッカの言葉に、ぽつりと呟く。
過去に重なる部分が多くても、まだ、信じたくなくて。
彼女が今できる精一杯の、予測を告げる。]
あら、ヴィンセント…先生こんにちは。
あぁ、もうちょっと前だったらアップルパイが…
[そこまで言った所で、ニーナの声が届き]
…「戻って来れない」?
それは、どういうことなのかしら?
ニーナ、何か知っているの?
[ちょっぴり自分より低い位置にある蒼い目を、覗き込んだ]
[女主人の声には頷かず、
ゆるゆると頭が傾いて、
赤の眼差しは目の前の、
様子の違う彼女を捉え、]
……だいじょうぶ?
[そう尋ねてから、
少し考えて、
ポーチを探って。]
[その驚きも、レベッカの告げた言葉にかき消されたか]
アップルパイ…ああ。
あ、はいはい、次の方どうぞ。
[明らかに落胆している表情は、再びドアの向こうへと消えた]
[覗き込まれて、咄嗟に僅かに身体をそらす。
ふるふると顔を勢い良く横に振って、否定の意を返す。]
…っいえ、ただ、何となくっ!
何か有ったのかも、と、思って。……迷子かも、しれませんし。
[そうだ。あくまで、まだ予測でしかない。
現実味の無い話をして、不安を煽る必要も、無いのだし。
…予測で終わって欲しいという、希望観測も混じってはいるけれど。]
[ふいに、服を引っ張られて、きょとりと瞬く。
少女が引っ張ったのだと気付けば、
無理矢理にでも笑みを浮かべて、緩く首を傾げた。]
…ん?どうしたの?
[少女へと目線をあわせるように、しゃがんで。]
[その頃。
サーカスの広場では、新入りのピエロがパントマイムを行っていた。
何もない空間に見えない壁があるかのように手を這わせたり、身体ごとぶつかっては跳ね返されて尻餅をつくなどの大げさなパフォーマンスを繰り返している]
そうよね。迷子かもよね。
[診察室に戻るヴィンセントに微笑みつつ、ニーナの言葉に、ひとつ頷いて]
やっぱり、私探してこようかしら。
もしかしてラッセル君とか朝から探してるのかも。
じゃあニーナ、ヘンリエッタちゃんを、よろしくね。
[ヘンリエッタが嫌がらなければ頭をひとつ撫で、荷物を置きに*診療所を後にした*]
手、
[出して、と小さく言って。
差し出された掌に、
ゼリービーンズをみっつ、
そっと落として。
人工の光が照らすのは、
鮮やかなピンク色。]
元気の、もと。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新