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―台所→広間―
伸び盛りの子たちも居るし、ねー。
沢山食べてもらわなきゃ。
[エルザが瞬く様子に気付けば、にっこりと笑顔で言う。
パスタが茹で上がった端から炒めたり味付けしたりして、大皿に山盛りにした数種類のパスタを広間に運んでいく。
マカロニとポテトのサラダや、スティック野菜なども中にはあるだろう]
ええ、大丈夫ですよ。
すみません、お手数おかけして。
[差し出された皿の中身を確かめてから、エルザに頷く。
同居人の都合で菜食が多かったせいか、猫は嬉しげになぁう、と鳴いた。
礼を言っているらしい]
……僕、嘘つくの、苦手だよ。
[知っているだろう、とばかりに、笑いを滲ませた口調。
泣かせた、と言われれば咄嗟に謝罪が口をついて出そうになったが、それより、イレーネの方が早かった。
きょとん、とまなこを丸くして瞬かせたあと、表情はまた微笑みに戻って、目を伏せて首を振る]
僕にも、悪いところ……あったから。
……………お互い、さま。
ごめんなさい。
それから、……ありがとう。
[緩く掴んでいたイレーネの手を離し、自らの服の袖口を引っ張りながら濡れた頬へと触れて、涙の跡を拭う。努めて、優しく]
落ち着いたら、……戻ろう? 心配、かけちゃった、から。
―広間―
ありがとう。
こっちは個別にしてあるから、手渡してもらってもいいかしら。
[近寄ってきたウェンデルに頷いて、ヘルミーネ達へと運ぶのを頼んだ。ユリアンはローザを手伝っていたりしただろうか]
―集会場・2階の部屋―
[開きっぱなしのハンドブックと、廃坑地図。地図には新たに最奥部分に大きな○がつけられていた。
煙草の煙でうっすらと白くけぶる中で、真剣な面持ちでペンを走らせているそれは
それは自分の師である人物へ向けた報告書。
廃坑内部、最奥の壁を削って出てきた化石から推定した地質。
それはある特定の年代のもので…その層の下には鉄を含む堆積物の層がある可能性が高い。
報告書には鉱床調査の結果と、かつての産出物についてと、
更なる発展の可能性と、本格的な調査の必要を記していた]
まさか、こんなものに出会えるとはな。
[報告書の最後に自分のサインを入れ、ペンを置く。
白い石の欠片―化石の一部の入った小瓶を振って、満足げに煙を吐き出し―
充満した煙でけぶる室内に気付いて険しい表情で窓を開けた]
ええと、こちらもお手伝いします、よ?
[しかしローザの手際はかなり良い。
申し出だけはして、
エルザに頼まれたことに、はいっと良い返事をした]
ええと、どうぞお召し上がり下さい。
[最初に渡す人は言わずともがな。
もちろん、すぐに他の人にも運ぶ]
良かった。
作っている間に分けておいただけだから、手間ではなかったの。
お口に合うといいのだけど。
[嬉しそうな黒猫の声に楽しそうににっこりとなって皿を置いた。
食べる邪魔にならない程度に数回頭を撫でる]
俺は食べ物はいいや…、飲み物だけくれ。
[ローザとエルザが、出来た料理を配る様子にそう言って]
悪いな、せっかく用意してくれたのに。
[二人に謝った]
―広間―
おや、そんな風に言って貰えるとは。
[曲のことを褒められれば口許も綻ぶ。
ウェンデルの力説も一度見ていたからか、今回は飲まれることは無かった。
暫し思案の後]
じゃ、今まで通りに呼んで貰えると嬉しいね。
此処にいると、そっちで呼ばれるコトなんざ滅多にないから。
…サイン?
嗚呼、構わないけど。
そこまで言われるのは初めてだよ。
[小さく笑った。
オトフリートの名が出れば、そちらに目を向けたりもしつつ]
ん?それって気絶してたって事じゃぁ無いのか?
[エーリッヒの言葉にちょっと真面目に考え首を捻ったが、運ばれてきた料理にすぐ意識がいった。]
お、凄い量だなぁ。
[これなら多少食べても問題ないだろうかと思った。一応、朝はそれなりに控えめにはしていたらしい。エルザやローザの弁に、遠慮なく食べることにした。]
─二階階段傍─
…そうだね、そうだった。
[返された言葉に、ほんの少し、口端に笑いが乗った。驚くフォルカーの顔を見、それが笑みへと戻り。謝罪と感謝の言葉を聞くと、縹色を瞬いた。涙の痕を拭われると、少しの逡巡の後に、頷く]
ん───。
でも、先に一回顔洗って来るよ。
フォルは先に戻ってて。
[いくら涙の痕を拭われたとは言え、このまま皆と顔を合わせるのには抵抗があった。ちゃんと戻るから、とフォルカーに告げて、移動を促す]
じゃあ、台所にあるパスタのお皿運ぶの手伝ってもらっても良いー?
[ウェンデルの申し出にはそう応じた。
台所には、3〜4食分ずつくらいが盛られたミートソーススパや明太子スパなどの皿が4〜5皿ほど残ってる他、オーブンの中のラザニアもそろそろ焼ける頃だろう。
ウェンデルが料理を運んでくれるなら、自分は食料庫に向かってジュースやお酒を運んでくるつもりだ]
…さみぃ。さみぃ、さみぃ……。
[空気の入れ替えをするために窓を開け、流れ込む外気の冷たさを耐える。
そこでふ、と何の脈略もなく、ウェンデルの言葉を思い出し]
研究が多くできるのは俺にとっていいこと、か。
――間違っちゃいねえんだろうけど。
[すこし複雑な表情になって、開いた窓の外を見た。
視界に、思い出の中の長い髪が揺れた気がして首を振った]
アイツはもう―…。
[どん、と窓枠を叩いて手を握り締め、窓を閉めた。
それが永遠の別れになるとわかっていたら―突き放したりはしなかった]
は、何をいまさら…
[自分自身を笑い飛ばすようにしてから、机の上を片付ける。
片付けを終えたらベッドに横になって、ぼんやりと*考え事*]
それにしたって、本来は俺のやる事ですから、ね。
[手間ではなかった、という言葉にはこう返し。
撫でられ、嬉しげに喉を鳴らす猫の様子に口元をほころばせる]
さて……それでは、俺もいただくとしますか。
誰かの手料理を頂くというのも滅多にありませんし、味わっておかないと。
[どこか冗談めかした口調で言いつつ、食卓へ。
ヘルミーネから視線を向けられれば、なんだ? という感じで首を傾げてみたり]
[向こうは真面目に考えている様子で、
それもすぐに料理に意識が向いたようだ。]
ダーヴィーって幸せな生き方してるよな。
[しみじみとした呟き、それは呟きにしては少し大きな声だったが。]
ッと、ありがとう。
[食事をウェンデルに渡され、礼を述べた]
悪いね。
片付けは手伝うよ。
[エルザやローザに向けてそう言いながら、適当な席に着く]
あら。
いえ、無理に召し上がることはないですけれど。
[エーリッヒの申し出に、孔雀色を瞬いて首を左右に振った]
本当に大丈夫なんですか?
[考え事に没頭していたのも、不調もあってなのだろうかと。
皿を戻しながら少し心配そうにエーリッヒを見た]
……ぁ、
うん、わかった。
[気遣いが足りなかったと、心中で反省しつつ少年は頷く。
告げられる台詞に、やくそく、と小さく返したあと、イレーネから手を離した。
階下の廊下まではともに歩めたとして、その先は言われた通り、広間へ向かう]
ああ、心配かけてすまない。
体調は問題ない、と思う。
[こちらを見るエルザに、心配させまいと微かに笑いかけながら]
あまり体動かしてないから、お腹が空いてないのかもな。
まぁ、ずっとここにぼーっとしてたわけだしな。
[それは平時の自分にしては、結構珍しいことで、
自分でもそんな様子だったことに驚いてもいるのだが。]
[オトフリートには笑いながら、何でもないと手を振り]
…それに関してはまったくの同意見だ。
[話の前後はまったく聞いていなかったにも関わらず、エーリッヒのダーヴィッド論に同意した。
エルザが心配そうに話し掛けるのは、何となく視界に入れつつ]
[料理を運ぶ時のお礼には、嬉しそうにしてみせて]
それじゃあ、ヘルムートさんって呼ばせていただきます!
――良いんですか!?
[サインの許可には、ものすごく嬉しそうな顔になる。
舞い上がってしまいそうだ。いや、もう舞い上がっている。
料理をちゃんと全部置いて、]
後で、楽譜取ってきます!
僕は本当に、ヘルムートさんの音楽が大好きです、愛してます。作り出したヘルムートさんもです。
本当に、今、お会いできて嬉しいんですから、ずっと大切にしたいんです!
[そしてローザの言葉に、はい!と勢いの良い返事。テンションはあがったままらしい]
お手伝いします。
料理の順番とか、ありますか?
─二階階段傍─
タオル取って来るね。
[そう告げて一度自室へと戻り、一枚のタオルを手に戻って来る。その後は共に階下へと降り、広間の前で別れて。イレーネは一人廊下の奥へと向かって行った]
そうかぁ?俺はごく普通の生き方をしているだけだが……というか、そういうグラーツ殿は違うのか?
[運ばれてきた料理を前に、一度手を合わせてから、口をつける前にエーリッヒにそう逆に問いかけた。]
いやヘルミーネさんもちょっと。
何かその言い方だと、俺が何にも考えなくても幸せな何にも考えてない子に聞こえるのが。
[まさにそうなのだが。本人は否定したいらしい。]
共同生活している時はお互い様です。
[オトフリートに緩く首を振り]
思う、なんですか。
…エーリッヒさんだから信用します。
[笑顔に不審は感じなかったのでそうエーリッヒに笑い返した。
信用できない人もいるらしい。違う理由で二人ほど特に]
お気になさらず。
でも手伝っていただけるのは喜んで。
[朝よりも多い洗い物が出るだろう。
ヘルミーネの申し出は断ったりしなかった]
はい、わかりました!
[ローザに返事をして、台所に入る。
中にはたくさんの料理があった]
全部、お作りになったんですか?
すごく美味しそうです!
折角だから、皆、あったかい時に食べられるといいですね。
[取り置きするならそれを待ち、ローザに言われるまま、全部を運ぶ。
美味しそうな匂いに、やっぱり食欲は増した]
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