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[足早に向かったのは詰所だった。
駆け込む勢いに団員が気圧されたように引く]
ぎ、ギュ、ギュ、っター、だん…は?
あ、アノ、た、伝え、ナきゃ、
[慌てて話すが、どうやら通じない。
音は滑る。眉を顰める団員もいて。
だがどうやら今ここには居ないようだと察すること出来て
ゲルダは刺繍の布を手に、長い息を吐いた。
だが、待てないといった様子で。
詰所の出入口の脇に、じっと立って外を見る]
─ 翌朝/自住居穴 ─
[薬を飲んだ翌日の目覚めは遅い。
深い眠りを遮ったのは、小さな居候の威嚇する鳴き声が聞こえたからだった]
───……ん。
パ、ラッシ…うるさ、い…。
[文句を言いながらゆっくりと身を起こす。
寝乱れた髪は右目を覆っておらず、異眸が暗闇の中に浮かんだ]
……灯り……。
[自然光の入らない洞窟では、室内は常に灯りを必要とする。
寝る前に消したそれを求め、手探りで火をつけた瞬間]
………パラッシ、どきなさい。
[「ギーギー」と騒いでいたリスが跳んで来て、両目を覆い隠している。
首根っこを掴んで引き剥がすと、点けた灯りが右目に強く突き刺さった]
っ………。
ホント、不便ね。
[右手で右目を覆いながら、溜息混じりに言葉を零す。
迂闊に外では暮らせない理由の一つ。
光に弱い、色素の薄い瞳。
暗緑の左目に対し、右目は鮮やかな赤色を示していた]
全く、どうしたっていうの、パラッシ。
[落ち着きの無いリスをベッド脇へと置いて、先ずは身だしなみを整える。
髪も右目が隠れるよう、きちんと整えた]
ご飯は……食べてるわね。
それにしても様子がおかしいわ。
[食べかけだったマカロンは食べカスを残して平らげられている。
リスがそれを食べたのは明白なのに、落ち着く様子は全く無かった]
そう言えば、昨日も…。
[トンネルが通行不可になった時も何やら忙しない様子だった。
また何かあったのか、と思考が巡り、リスをコートのポケットに入れて自住居穴を出る。
向かう先は何かあれば動く、自衛団の詰所]
―自衛団詰所前―
[長身の男が見えて、目を瞬かせる。
聞いたことのない音に、視線はリスへと落ちたあと
彼の顔へと上がり、ん、と首を傾ける]
だ、団長、を、まま待っテて…
み、み見てな、イ?
[それに、そのリスの声はどうしたの?
続く問いは、言葉でなく視線と首の傾けで示す]
─ 自衛団詰所前 ─
[歩きながら巡らせる想いは多々。
あまりにも多岐に渡り過ぎて、まとまりに欠く。
ともあれ、やって来た詰め所の前には、団員の他にも見知った姿があり]
……何、してんだ、お前ら?
[首を傾げて問いかける。
呼びかけの声はやや、かすれていた]
…、ら、イヒアルト。
[見えた姿に、視線を向ける。
胸元に畳んだ布握りしめたまま、掠れた声に首を傾けた]
わ、ワタしは、団長、ま、待っテぅ。
[知らない?と問を言外に添えてじぃと見た]
─ 自衛団詰所前 ─
……団長、を?
[ゲルダから返された答え>>86に、翠を伏せる。
落ち着こうとする時の癖で、ベルトから下げた紐飾りをきつく、握り締めた。
エーリッヒからの問いかけ>>88には、一つ、息を吐いて]
そう、か……。
俺は、ひとを、呼びに。
……団長が……。
[ここで一度、言葉を切る。
過ぎるのは、凄惨な光景]
……団長が……死んで……た。
それも、普通の死に方じゃない。
なんていうか……そこまでするか、っていうか、なんというかな、状態で。
[掠れた声で紡ぐものの、さすがに状態の仔細は告げられない]
……ヨハナさんが、傍にいたんだけど……ちょっと、話とか、聞ける状態じゃないし。
俺だけじゃ、どうにもできないから、とにかく、人手を、って、思って……。
[ぽつりぽつりと告げた言葉に、団員たちがざわめく。
場所はどこだと問われると、玉泉への道、短く答えておいた]
…ッ
[ライヒアルトの言葉に、ゆっくりと目が見開かれる。
ざわりと全身に鳥肌立てて口を開くも、
ざわめく団員たちの声に、言葉は埋もれて]
じ、ろロウ、のの、し、しわざ?
[やっと届けられたのは、それだけ。
握っていた布がはらりと足元に落ちて広がる。
描かれているのは、ロミだと見れば分かるかもしれない]
─ 自衛団詰所前 ─
……ああ。
少なくとも、俺には、そう思えた。
[ゲルダ>>91とエーリッヒ>>92、それぞれから向けられた言葉に、返すのは肯定。
ゲルダの手から布が落ちるのは見ていたが、それに対して動くより先に、騒ぎを聞きつけてきたらしき自衛団の副長に名を呼ばれた]
……いや、だから。
俺も、玉泉に行こうとしたら、そうなってるのを見つけただけだから。
とにかく、団長と……ヨハナさん、あのままに、できないだろ。
……かなり、酷い、状態だったし。
[ぽつり、と告げたなら、わかっている、と返された。
これからどうなるのかとか、聞きたい事はあったが、問える状況でもなく。
指示を受けた団員たちが忙しなく動く様子に、は、と息を吐いた]
あ、
[エーリッヒの言葉に顔を向けて。
拾ってくれようと伸ばされた手が止まるのを見る]
あ、あノ、ありがと、う
そ、そ、レ…見せに、き、キタの…
[息を吐き出す。その相手はもういないらしい。]
─ 自衛団詰所前 ─
[影落とす表情>>96と、冷静な言葉>>97と。
それぞれの反応に、僅かに翠を細めるも、何かいう事もなく]
……案内?
ああ、わかった……。
[現場までの案内を請われ、頷く]
てわけで、付き合わされるみたいだから。
また。
[ゲルダとエーリッヒには短くこう告げて、再び玉泉への道へ向かった]
― →ロミの住居―
……。うーん。
[僕たちは手を繋いで、まずは彼女の住居へと向かいました。
追いかけてきた時とは違って、今度は辺りの様子に気をつけながら歩きます。そうして見れば、確かにいつもとは様子が違いました。
顔馴染みのお姉さんも、近所のおじさんも、誰も僕らに話しかけては来ません。よく知らない人ですら、僕らを見るとぎょっとした顔をしたり、言葉もなく睨みつけてきたりしました。
それでも直接的な危害を加えられなかったのはせめてもの救いでした。彼らの良心だったのでしょうか]
……無理しちゃダメだよ。
[2つ目の申し出は断られてしまいました>>41が、道中で何度か彼女にそう囁きました。
怯えているようなら頭も撫でました。
だけどそういう僕の顔は、少しだけ強張っていたかも知れません]
……。えっと、泊まろうって言ったの、僕なんだよ。
村の人たち、僕らを怖がってるみたいだし……ロミも怯えてた。
だから、あんまり外に出ない方が、いいんじゃないかなって思ったんだ。
[彼女とお父さんの会話に口を挟んだのは一度だけでした。
彼女が言っていたもう一つの理由――家に帰りたくない、ということに関しては何も言いませんでした。
それが後押しになったのかどうかは分かりませんが、ともかく宿泊は許されて、準備を終えた彼女と一緒に今度は僕の家へ向かいます]
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