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―→Kirschbaum―
[町の中から隠れるように、人のいない道を選んで辿り着いたKirschbaum。
時の竜の部屋は知っている。一つ上の階なのだ。
影の王と一言、二言。
それだけ告げて三階に。
多分梟はついてきてるのではなかろうか。
ベッドの上に、かれを眠らせる。]
う、うん。
[困ったように自分の手とミハエルとを見比べて]
えーと。ナターリエさん大丈夫?
[まだ膝を突いたままの彼女の方を振り返った]
[元々、昨夜無理をして倒れたばかり。
しかも、十分に回復することなく調べ物をしていた。
そして友人と精霊の仲間が消えたことへの喪失感を、押さえつけて支えようとする大地の力――それに対する反動。
それは、彼女の血を大地へと還した安堵と共に訪れて]
…ぁ 「ヂヂッ! アンッ!」
[アマンダの身体は前に傾いだ姿勢のまま、ゆっくりと*崩れ落ちた*]
封は大丈夫か、時の竜。
今は眠ってくれたまえよ。
……かの女は封印の地の中で、少しくらいかの子らのことを考えてくれたろうかね。
[そっと呟いて、かれを置いて部屋を出る。
それから苗床は、階下へと]
―Kirschbaum3F→1F―
[森の奥へと歩み、その先の川へ飛び込むように、その身を沈める。
鱗の浮いた肌は、じゅぅと音をたてたかもしれない。
流れる水に、熱くなった身体を沈め、
見上げた水面には細い月が揺れた。]
−Kirschbaum・一階−
[ティルがオトフリートを連れて上がってゆくのを、ベアトリーチェは黙ってみていました。ぼうとした様子はいつもと変りないのですが、いつもよりも騒がしくはありませんでした。
もう一度降りて来たのに、にこりと微笑いかけます。]
……こんばんわ、ティル。
[首をかたむければ、金いろの髪はふわりと揺れました。]
今日は、誰が、居なくなったの?
こんばんは。
[聖なる気の少女へと、苗床は微笑んで。]
今日は、水の……アーベルと
命……イレーネ、だったかな。
二人がいなくなったよ。
あまり長く放っておかない事だ。
[Kirschbaumへ向かうのであろう人々へ背を向けて、森の中へ入って行く。まだ醒めやらぬ冷気を抑えながら、醒めやらぬ炎の気配を辿り、やがて川へたどり着く。]
[水を浴びるダーヴィッドの姿を見付け]
[河面に手をつけ、ちからを流す。
水面は凍てつき、火竜を目掛けてその範囲を広げていく]
水……、命……。
アーベルと、イレーネ。
[属性のことを云われても、よくわからなかったでしょうか。けれども名前はきちんと憶えていましたから、こくん、と肯きを返しました。]
ああ、約束は、駄目になってしまったのだね。
[指きりをした自分の手に、眼を落とします。ふっと顔を挙げると、じっとティルの腕を見ます。せいかくには、腕のある筈の場所の、なんにもないところを。]
腕。どうしたの?
―墓地―
[ふんわりふわり。三つ花を風で弄んでいると]
[ばさり倒れる音と静寂を切り裂く叫び声]
アマンダさん…!
[慌てて駆け寄ろうとする...に、
千花が前に回りこみそれを阻止しようとする]
…!
そうか、対極の僕が近づけばアマンダさん傷つく。
でも、このまま放置というわけにもいかないし。
[噛み付きそうな勢いの千花を前に、思い悩む]
約束……?
[少し、意識を他へむけていた苗床は、その言の葉にかの女を見やる。
それから、尋ねられたことに、あぁ、と見やり]
これは、終わりの時間がきたから壊れただけだよ。
困ることはないから、大丈夫。
[水面から顔を出し、しばらくぼんやりと流れの中に佇む。
流れがその身体を冷やし、力は静まっていく。
失ったものを補うように、その身を晒す。]
取り戻さなくちゃ…な。
[構造までは知らないが、あの結界のなかには、捕らえたものを逃がさぬ迷宮があるらしかった。]
再封の時に、救出できるだろうか…。
[しかし悩むのはあっさり止め]
とまあ、悩んでも仕方がない。
やったことないからうまくいくかどうかわからないけど。
ティル、はなの力をちょっと借りるよ。
[つうと腕を掲げ、優しく蝶の名を呼ぶと、
薄紅色の光は彼の中指の上に止まり。
その羽を振るわせる]
[ふんわり彼の表面を覆う風。
しかしその風は彼本来の束縛を嫌うものではなく。
大地に根付く、樹の力]
[冷気に気付いて、目をやれば氷の気配。]
…居たのか。
[部分的に鱗に覆われた身体を水の中から引き上げる。]
…だいぶ、落ち着いた。
うん、ありがと。
[森の方へと向かうミハエルを見送りながら手を振って]
ナターリエさん、そろそろ戻ろう?
[声を掛ければようやく彼女も回復してきたようで。
アマンダが倒るのには再び歩みが止まったが、すぐにユリアンが駆け寄り、優しい力を使うのを見て]
お任せすればいいね。
[そう言うとナターリエと一緒に町へと戻って*いった*]
うん、変な人が居たら、教えるのだって。
約束を。
[困らないとの言葉には不思議そうにティルを見ていましたが、椅子に座ったままで、前のように触れることはありませんでした。]
終わりの時間。
……ああ、かたちあるものは、いずれ、壊れるのだね。
[花は散るからこそ、美しい。そう云ったときと、おんなじように。]
変な人?
[困惑の眼差しで問いかけようが、
少し、疲れの色は見えるだろか。]
そう、形あるものは。
僕も、君もかな。
[そう笑った。
*区切りがつくか何かすれば、部屋に戻り眠るだろう*]
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