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[きゅう、と肩で小動物が鳴く。
ちらりとそちらを見た]
…お前も外に会いたいやつがいるのかねぇ。
[ちょいちょいと鼻先を撫でて。
階下を見下ろしながら少し物思いにふけるような顔をしていたが]
うん、そうみたい、だね。
[多少は薄れた時空の気。
それに、こくりと頷いて。
少しだけ思案したよに、首、こてし]
えと、時空竜、お願いして、いい?
ボク、火炎の若兄ちゃんも、心配なの。
[会えば何かと構ってくれる火炎の竜は、近しき兄の様に慕う存在で。
二人の保護者には僅かに劣るものの、安否を気遣う気持ちは強かった。
……別に気を回してるとか、そういうんじゃない辺り、いいとこ天然]
[示された上に視線をやって]
上、か。
……外出てくれ、って言っても素直に聞いてくれるかねぇ……。
俺が切り出すとまた不機嫌になりそうな気がするが。
[話をしに行くことに気が重そうに息を吐く]
[こくりと同意し、なにやら思案するのを見守って。
飛び出た言葉に内心で慌てる]
え、あの、お願いって…そなた、
[誰よりも時の竜に懐いているのを知るだけに、驚くものの。
続く言葉に、嗚呼、と声が漏れる]
焔竜の若君も、そなたをとても可愛がってくれていますからの。
……わかりました、気をつけてゆくのですよ。
[兄弟のよに仲の良い様子を思い出し、止められもせず。
気を回すとかそんな事をしない素直な仔と信じるが故に、行かせた]
うん、大丈夫。
時空竜、怪我してたら、いっぱい怒ってあげて、ね!
[にこぱ、と笑って、とたとたとた、とかけて行く。
どこにいるかの予測はついてないけれど、気を辿れば見つけられると思いつつ]
……はい。
[本当は、怒らずにすめばよいのだけれど。
そう思いつも、頷いて。
姿が消えるまで見送ってから、呼吸を整えて対ならぬ対の元へ]
[時空王が去った後、しばしその場に佇んでいたのは、短い問答で乱れた想いを制するためか。
それでも、近づく気配に気づいたなら視線をそちらに向け]
……や。
無事だったようで、何より。
[上空で事の成り行きを見つつはぁと溜息]
あー、らしくないことしたな、と
それもこれも時空竜が煮え切らないのが悪いんだ
まったく、柄じゃない
[眼下を見つつ、*ブツブツと愚痴ダラダラ*]
……オト殿。
[しっかりと立つ姿に、安堵の息を吐く。
かけられた言葉には、無事で在るを示すよに頷いて]
お怪我は、ありませぬか? 痛い所なども…。
[手を伸ばせば触れるか触れないか。
そんな距離で立ち止まり、まだ赤さの残る目で異眸を見上げる]
[ちょいちょい、と小動物の鼻を撫でていた手は下ろされ、足は階下へと向かう。
まさか自分の話になっているとは思わないから、至極めんどくさそうないつも通りの表情で。
階下につくと、そこにいたらしい翠樹のほうへと小動物は駆け出して行って、その後ろ姿を見送った後、皆の集まる広間のほうへと足を向けた]
[上空の愚痴は知る由もなく。
聞こえていたって、スルーするしかないのだが。
ともあれ、肯定の頷きに、零れ落ちるのはこちらも安堵の息]
ああ、怪我はない。
おっさん送り出すのに、少しばかり力を余分に使ったけれど、影響出るほどじゃないしね。
[軽く返しつつ。
赤さの残る様子に、僅かに眉を寄せ]
ならば、良うございました。
…怒らずにすみまする。
怪我をしていたなら怒ると、セレスと約束しておりましたゆえ。
[使ってしまった分の力は、預けたままの時の腕輪が癒してくれるであろうと、まだ返還を求める事なく。
僅かに眉を寄せる様子に、どこか――未だ背の傷が痛むのであろうかと密やかに心痛める]
なれば、背の傷は…いかがなりや?
[後ろへと回り、その背を見ようと]
[ブリジットの少し途切れた言葉には、「だよなぁ…」と小さく溜息。彼女の視線が扉へ向かうのにつられるようにして視線を移し]
とりあえず行って来るか。
とにかく言わなきゃ始まらん。
[そこまでヘルガが来ていることには気付かず、二階へ向かおうとソファーを立った]
セレスが?
[思わぬ言葉に、きょとり、と瞬き。
それから、風穴を穿った時の約束の事を思い出して、やや気まずいものを感じとる]
ん、ああ、そっちは大丈夫、相方にきっちり治してもらったから。
[そういや、見られてたか、と今更のよに思いつつ]
……すまない、心配かけて。
[小さな声で告げるのは、短い謝罪の言葉]
と…。
[広間の扉へ向かおうとしたところでヘルガが顔を覗かせる]
行かずとも来たか。
……ヘルガ、ちぃと頼みがあるんだが。
[みょーに真面目そうにヘルガに声をかけた]
…はい。今はダーヴ殿の元へ行かれてまするが。
[瞬く様子に言葉を足して。
避けられぬ様子に、そっと後ろから傷の横へと手を伸ばす]
えぇ、とても痛そうでした故……心配いたしました。
[短い謝罪に、いいえとは返さず。
セレスに言われたよに、ぽつりと気持ちそのままを伝える。
顔を見ていないから、出来た事かも知れぬなれど]
……?
[妙に深刻そうな気配に軽く首をひねる。
何か言おうとしたのだが、ハインリヒの気持ち悪いくらいまじめな様子に胡散臭いものを見るような視線を投げながら]
…事と次第によるな。
[先に逃げ道を用意して]
[相変わらずな物言いに思わず苦笑が漏れる]
そこまで難しい話じゃねぇとは思う。
……お前、この空間の核なんだろ。
皆がここから出るために外出てくんねぇか。
あの胡散臭ぇおっさんはもう外に出た。
後はお前だけだ。
[表情を戻してからはっきりとヘルガに告げた。相手がどう返してくるか、見逃さないように注視しながら]
……。
[まぁ、ある程度は想像できた内容だったのかしばし無言のまま。
少しの沈黙の後に言葉は音になる]
…嫌だと言ったら?
[すー、と葡萄酒色の瞳が細まる]
若竜の所に? ……あいつも落とされた、か……。
[無事だといいが、と思いつつ。
返された言葉に、ふと、と異眸を伏せて]
心配かけたり、苦しませたくは、ないんだけど、ね。
[その気持ちに偽りはないから、それは素直に言葉にできて]
……とにかく、もう大丈夫だから。
傷は塞がってるし、痛みもない。
[だから、と言いつつ、振り返り。
逆らわれぬなら、片腕でそう、と抱き寄せて]
……今は、苦しまないでほしい。
大丈夫、だから。
[囁くように、こう告げて。
対ならざる対の気の感触に、*束の間、意識を安らげる*]
[本心からかは分からないが、拒否の言葉が聞こえると、ふぅ、と息を吐いた]
嫌だっつーなら、それなりの対策は取らせてもらうさ。
[いつもならば相手の態度に怯えたりなんだりするのだが、今回ばかりはそれも無く。真正面からその視線を受け止める]
この空間もかなり不安定になってきてる。
クレメンスとか言うおっさんが揺らしてくれたらしくてな。
直ぐにここから出るためには、お前に出てもらうのが一番早い。
[引かない様子を少し睨んでいたが、やがて息をひとつはく]
……めんどくさ。
[呆れたように呟く。
不機嫌そうな気配も確実に混じっていて]
……寝る。
[じゃ、と短く残して広間を出ようと]
心配してしまうは、私が性分でもありますゆえ。
――そなたが無理をしてしまうのと同じよに。
[心配も苦しみも否定せず、いつか交わしたのと似た言葉を告げ。
長い黒髪の尻尾を避け、痛くないよに傷の横辺りに指先を置く。
いつもの如く、避けられたなら直に引くつもりで、
獣の習性のままに鼻先を寄せ、傷の辺りの様子を確かめた]
………良かった。血の匂いは…しませぬ。
[安堵からか力が抜け、その背にことん、と額を預けかけて。
振り返り、伸ばされた片腕に、抱き寄せられる]
…………っ、
[ずるい。
そんな想いは刹那。こくりと頷く、微かな動きだけが答えで。
逃れる事など考えもせず、抱き寄せられた腕の中で*瞳を閉じた*]
あ、おい!
結局どっちなんだよ!
[めんどくさいで片付けられてしまい、はっきりとした返答は得られていない。不機嫌そうな気配に不安は覚えたが、答えを聞こうと広間を出て行こうとするヘルガを呼び止めた]
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