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かもな。
今の俺は死場を彷徨いながら制約に踊らされる繰り人形みてぇなもんだ。
けど制約以外は俺の意思で動いてる。
[別になじられたとは思っていない]
[事実その通りなのだから]
[だから抗えぬ分、自由に出来るところで己は自由に生きている]
[続いた問いと子供の向かう視線に]
[己も隻眸を一度だけ流し]
…さてな。
誰が犯人だろうと俺は同じ行動をした。
喩えそれがダチだとしても。
いや、もう”元”ダチだな。
[彼はどうだったか知らないが]
[男は身勝手な友人認識をしていた]
[故に既に彼に対する感慨は無いに等しい]
俺が言ってんのは一般論だよ。
獣か。
[顔を覆っていた手を降ろし、届いた声に微かに笑った。
直後傷が痛んだか、少し眉を顰めるが。
それは他がよく知る『修道士』の顔に近かっただろう]
[向けられた視線には気がついているけれど、眼を向けることもない。
“元”だと言われても、何を言い返すこともなかった]
[自分の意思で動いている、という男。
帽子のつばを引き下げてマフラーを口元から上げ、
表情を隠すようにして少女は少し俯いた。
「元ダチ」だという声がなんとなく自身の中に染み込んだ気がして
手錠が、ちゃらり、音を立てる。]
…オレ、頭悪ぃから一般論とかわかんねぇや。
[嘘をついた。
踏み躙っている事なんて、痛いほど、判っている。]
[元友人に意識は向けていなかった]
[僅かな変化を見ることもなく、隻眸は子供を見る]
そうかい、だったら覚えておくんだな。
[雰囲気から全く分からないと言うことはないだろうと]
[漠然とだが感じるも]
[慰めの言葉なぞ持つはずもなく]
[再度突き付けるかのように言葉を紡ぐ]
[その後は隻眸も水盤へと移り]
[しばらくは外の様子を*眺め見る*]
[返された台詞にはどう違うんだと苦笑する]
[ゲルダから視線を外していた僅かな隙だった]
[まるで被害者たちのようにその姿は消え]
[暫し探すもエルザの提案には頷いた]
そうだな。
無事ならば会いにも来るだろう。
[でなければ今ここで探しても同じだろう]
[歩き出してエルザの話を聞き]
[目を瞬いた]
場所は分からないけれど止めた?
……ああ。
[アーベルが何を出来たのかは知らない]
[だが繋がるものがあった]
[もしゲルダがもう一人ならば]
[その邪魔をしたのがアーベルなのならば]
それならアーベルは確実に向こうにいるか。
教会だと分かったのは聞こえてきた声の響き方からだ。
魔法に慣れていれば会話の内容も取れただろうし。
[普段より低い声で返しながら]
どうしても後手に回るな。
[大した差はないと苦笑を返す]
[足を止めずに進めば神の家のシルエットが見えてきた]
『通してくれ』
[追い払おうとする自衛団員を逆に追い払う]
[今度は咳き込まなかった][痛みは当然強くなったが]
[後で起きるかもしれない厄介事は今は考えない]
[隣からは怒られたか呆れられたか]
[声は出さず誤魔化すように手振りで促して奥へと向かった]
レナーテさんが一緒だったか。
[礼拝堂に入れば軽く息を吐いて]
[血痕を見れば眉を寄せる]
ヴィリーは。
[姉弟のやりとりも横目に入れながら]
[掠れ気味の低い声でレナーテに*尋ねた*]
…うるせぇ。
[隻眼の男の言葉に、やはり敵意はむき出しにしたまま
呟いた声は口の中、くぐもったような音になった。
眼をライヒアルトに一度向けそれから養父へと向ける。
自警団長は、語ろうとしない。
ゆらり、翠は揺れる。]
[それから少女は、隅に行ってしまったベッティの出来るだけ近く、
でも逃げられない程の距離までゆっくり歩いて。
「端末」に話すとき程の小さな声――ベッティだけには届く程のそれで
ぽつりと]
オレ、本当は孤児院に居た頃から裏の仕事、やってたんだ。
だから、爺っちゃんは関係ない。
[呟いた。
翠の大きな目は、じっと、目を閉じた少女を見詰める。]
―――礼拝堂―――
……。
[慎重に、アーベルとライヒアルトの様子を見つめ続ける。
―――正直、ライヒアルトが無理にでもそこから逃げ出そうとするならば、どうしようかと考えあぐねてはいた。風の束縛を解く訳には行かない。さりとて、ライヒアルトを傷つける気も無い。
なら、その時自分はどういう行動をするべきか。それを考えながらも、指の先一本にいたるまで些細な動きも見逃さぬよう、二人の様子を見つめる。
まあ……アーベルの集中が切れ、風が暴走しそうならば、迷わずブン殴って止める気ということだけは確実だったが]
[―――そのような思いも杞憂に終わり、やがて自警団がやってきて、ライヒアルトの周りを囲み、アーベルが風の束縛を解くと、彼らと協力してライヒアルトの身柄を押さえた。
押さえた後に連行するのは自分のやるべきことではない。やるべきことの終わったレナーテが振り返り、覇気の無いアーベルの姿を見つけると、ゆっくりと近づき、その頭をポン、と叩いた]
……お疲れさん。
よく、頑張った。
[いつもの体育会系な調子ではなく、どちらかというならば、子供をねぎらう親のような調子でレナーテが笑う]
……もう一度言うが、一人で突っ走んなよ?
[そんな言葉を吐き、新たに礼拝堂にやってきた人影を見つめる。
一人―――エルザは自分にしきりに感謝の言葉を述べていたが、それは口実だと思った。彼女は、レナーテを通し、アーベルの安否を心配していたのだろう。
レナーテは笑い、たいしたことはしてねえよ、とだけ返し、その後の二人の様子を見守った]
[そして、次に自分に話しかけてきたもう一人―――ハンスから質問を受けると、困ったように笑みを浮かべる]
アタイに聞かれても、自分自身ちゃんと分かってねえから、ちゃんとした答えは聞けねえぜ?
ただまあ、ライヒアルトが犯人で、ヴィリーがここにいたというのならば、誰でも出来る想像くらいは出来るかな。
まあ―――。
[そこで、床に染みた血痕をチラリと見つめ]
不安材料はあるかも知れねえが、アイツのことだ。例え爆発しても、自分がなんとか出来るようにはしてるだろ。
一人で行くと聞いたときから……心配はしてねえ。
─礼拝堂─
[肩を叩く感触と、穏やかな言葉。
一つ、瞬いた蒼を向けた先から向けられたのは、突っ走るな、という言葉で]
……え、と……。
[しばしの沈黙、後]
……うん。
[一つ、頷いた]
[それから間を置かず、やって来た姉とハンス。
姉がレナーテに礼を言う様子を、しばし、ぼんやりと見つめ。
側にやって来た姉の、短い問い。
答えるより先、伸ばされた手が髪に触れるのに、思わずきょとり、とする]
…………。
[撫でられたのは、いつ以来だったか。
少なくとも、それはすぐには思い出せないくらい前の事。
いつからか、周囲に向けていたのは拒絶だったから]
[覗いて居た水盤は場面を変え]
[己が先程まで居た教会の礼拝堂が映される]
[そこに一堂に会する、己が犯人では無いと判じた者達]
[遺された血痕は彼らの不安を煽っているようで]
[こんな己でも心配されるのかとくつりと笑う]
どうにも、避けるんじゃなくて止める癖は直らんなぁ。
[昔からの癖]
[それ故に腕に残る傷が最も多かった]
[心配していないと言う女剣士の言葉にも薄っすらと口元に笑みが浮かぶ]
……まだ、終わってない。
爺様が掴んだ情報によると、実行犯は二人だっていうし。
[小さな声で、話し始める]
あの、ローザって子が違うのは聞いた。
それで、カヤが違うんなら、あと一人いる、って事だよね。
……さっき、俺をここに呼んだヴィリーのにーさんの呼びかけの対象は、ここにいる四人。
そして、にーさんは、ここにいる四人は違う、って判断したって言った。
[声は、少しずつ確りとして行く。
何気なく使われる『にーさん』という呼び方。
同じ呼ばれ方をするハンスであれば、気づくかも知れない。
それが、強く信を置く者に対してのみ使われるものである事に]
[眺め見るだけで何も出来ぬ場所]
[あの場に居ればもう一人も見つけることが出来ただろうが]
[ここでは視ることすら叶わない]
[けれど奴らなら何とかするだろうと]
[高みの見物の様な心持ちで水盤を見やった]
……で。
今、この事件に何かしら関わりを持ってて。
それで、にーさんがまだ調べてないのが、人形師のゲルダ。
……俺には、風に手伝ってもらう以外の能はないから、この判断が正しいかどうかなんて、わかりゃしない、けど。
当たってみるつもり。
終わらせたいから。
[宣は、小さな声ではあったけれど。
それでも、確りと、響いた]
ふ…んんーっ!
[薄く目を開けて、大きく伸びをした。]
ふわー、おはよー。
[寝すぎてたりするかなー、と目をこすりこすり]
そういえば、カヤがなにかしちゃってて、
ラインヒアルトさんはまああれだから、
冤罪は私だけかぁ。
自衛団員さんたち変だけどけっこ頑張ってるの!
[腕を組んで偉そうに、うんうんと頷く。]
[水鏡を覗けば、先程彼を捕らえた者たちの動向が、もしくはもう1人の同業者の様子も映るのかも知れない。
だが壁に凭れ眼を閉じる彼はそれを見ようともしなかった]
Es ist unser Vater im Himmel, die Kunst
Er hatte erwartet, dass in den verehrten Namen
[代わりに微か零れるのは、幼少時から当然のように口にしてきた聖句。
そうして聞こえてきた声に、薄く眼を開いた]
―礼拝堂―
……そうだな。
[同じように血痕を見ながら]
[レナーテの言葉に小さく頷いた]
つまりは。
[声が途切れ喉に手を当てる]
[その間にアーベルは決意を示す]
[息を吸い直す]
解決したいのはお前だけじゃない。
ここで逃げられるわけにいかないのは同じだ。
彼女はお前を探して、直接会いたがっていた。
だが一緒に居たのに途中で姿をくらませた。
何をしようとしていたかは、想像に難くないな。
[確認するようにエルザを見る]
[続けたのはあくまでも推測でしかない]
[けれど確信にも近いもの]
それだけの手段も準備もできているんだろう。
何か対抗する手段はあるのか?
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