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[笑みを返されると安心し]
騎士様のことはよく分からないけど、でも、やっぱり騎士様は頼りになりそうだ。
お姫様のこと、お願いしますね。
[アナの視線に、これまた緩い笑顔を返した。]
仕立て屋サンはいっつもそーね
でも女の子に気遣うは、いーこと
[うん、と頷く
年が近い方が、という言葉に]
アッ
そうね
ワタシなんかより
アナのほーが、よかったのカシラ
[手をつなぐマリオンに首を傾ぐ。]
[優しく握り返される手。
片膝をついて口付けの真似事をされると]
……ぁ
[解り易い程に顔を真っ赤にして俯いた]
おね、
おねがい、します
[もう一度、今度ははっきりと口にして
恥ずかしくて向けられない視線をヴェルナーへ逃すと]
……先生は?
[首を傾ぐ]
でもわくわくするのは、
ワタシもおんなじ!
月も綺麗だし!
[ふふっと笑って空を見上げた
銀の月明かりが森に降り注ぐ]
ルイ
音楽頼んだら、ひーてくれるかしら!
[居るだろうルイに声をかけたけれど]
アッでも
ひーてると、さすがに誰とも手をつなげない
ルイあぶないから、今は諦めるするのよ
[ツィンカの言葉が聴こえると]
ううん
[未だ赤らんだ顔のまま、優しく笑った]
アナより、ツィンカさんの方がいいよ?
[優しく 優しく]
あと、ワタシ
色々 はしゃぐのすきだから
マリオンふりまわさないか、心配
ちゃんと抑えててね
[ばつが悪そうに笑って、
マリオンにそう声をかけた
片手はマリオン
片手はランタン
歩くとしゃらんと 荷物の中で 音がする
それはずっと持ち歩いている、―――*]
[転ぶ音が聞こえ、一瞥
ふ、と呆れた様に息を吐くと]
せんせ。
……医者のふよーじょーって、知ってる?
[知った顔には憎まれ口。
マリオン相手程ではないにしろ、割と鋭い刃だった。]
[顔の赤らみも落ち着いてきた頃合。
姫と呼ばれた少女は、
姫と呼んだ騎士に、再び視線を戻した。]
ねぇ、おじさん。
えぇと…
[相手にだけ聴こえる程に身を寄せると、
辺りを見回し、少しだけ言い淀んで]
おじさん、幽霊とか怖くないの?
[思い切った風で、*問い掛けた*]
[幾度も"姫"と呼ばれ、其の度に視線を逃す。
悪い気はしていない。むしろ照れ臭かった。
手の甲への口付けの素振りにせよ、
そんな風に呼んで貰った事など無かったからだ。]
……わかんない。
[幽霊の問い掛けに対しては、そう答える。
繋いでいない方の手にあるランタンで森の闇を削る。
少女の視界から見た森は只管に暗く、
灯りが作る影は不気味に高く、伸びている。]
……でも。
幽霊を見たって言う人もいれば、
ホラントお兄ちゃんみたいに"妖精"だなんて
言い出す人まで、居るの。
[幽霊の存在を完全には、否定出来ない子供の視線]
ねぇ、おじさん。
[てく、てく、とゆっくり歩く度に
灯りが小さく上下に揺れている。]
良い幽霊なんて、居るの?
[そんな事は考えもしなかった。
怖がる人ばかりを見るから、
"怖い"、"悪い"という印象が強かった。]
……おじさんは、どんな幽霊なら良い幽霊?
良い幽霊なら、会って見たい?
[子供だから聞けた事かも知れない。
大人によっては、残酷な*問い掛けかも知れず*]
[同行者達の最後尾を、アナと手を繋ぎ歩く。
彼女が灯りを高く上げると、木々が優しく影を落とす。]
ほう?誰が幽霊を見たんだい?
ホラント兄ちゃんは、幽霊と妖精どっちを見たんだろうねぇ?
[少女の歩調に合わせ、小またでゆっくり歩く。
歩みと共に灯りが上下すると、
応えるように剣の柄がきらりと光る。]
悪い幽霊がいるなら、良い幽霊もいるだろうさ。
君を守ってくれる霊がいるかもしれないよ?
[いつぞや聞いた、"守護霊"とやらが良い幽霊かと記憶を辿る。]
そうだなぁ、会えるものなら会いたいな。
あの方はきっと、良い幽霊になっているだろう。
[目を細め、思い浮かべるは前の主君の気高き姿。]
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