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……もし狙ったのだとしたら。
どうして、ユリアンを?
[疲れたように目を閉じると、視界はまた暗闇に。
今度の回復は早く、すぐに翠の目で、ナターリエと獣の子の様子を見た。]
僕はそんな勝手に行動しないよ。
クレメンスじゃあるまいし。
[比べる場所もどうかと思う。
それでも積極的に逃げようとしないのは、そうする体力を無駄だと思うくらいには、疲れているから。
まだ内部の力を制御しきれていないため、少しでも温存しておきたいのは苗床の本能。
それでもナターリエの言葉に、アーベルを見る。]
……。
まあ、いいけど。
[そうしてクレメンスと出くわして、魔獣がほえているのを見た。無言。]
……嫌われたものだね、クレメンス。
何をしたの?
[尋ねながらも、己の状態――即ちアーベルに運ばれている状態については、語らずに。
広間へ向かったアーベルが自分を離すときに、少し待ってと引き止めて、耳に口を寄せた。]
僕はまったく役に立たないから、君の糧にならせてくれないかな。
ユリアンがもし、誰かの意図で、ここから消えたのなら……なんでかきいてみたいけど、僕には何も出来ないから。
君なら、わかるでしょう? ……だから、万全でいてほしいって思うんだ。
僕はすぐに回復するから、大丈夫。
……お願い。
[体内での力は既に作られ、瞳は翠。
真摯な色で、*じっと見る*]
…………面白くない。帰る
[それは唐突な一言。パチンと指を鳴らすと部屋から消失]
むー、もうちょっと楽しい展開になると思っていたのにねぇ
[屋敷上空に腰掛け、不服そうに呟く]
……まあ、いいや。『カメラ』は仕込んだから、こっちにいる必要はなくなったし
[そう言うと、幾重もの魔法陣が彼女の周辺を旋廻し、次の瞬間には『こちら』の世界に彼女の姿はもうなく]
……、僕に、望むな。
[見詰めて来る翠][返す眼差しは青]
僕が信を置くに値すると何故言える。
――僕は僕の、思うようにする。
[承諾も拒否もせずに言って視線を外した]
……そう。
何にせよ、“戻る”だけなら、そう、害は無い。
考え過ぎ――かな。
[呟きの間、魔獣の仔は彼方此方を行ったり来たり]
[人が気になるか風使いの臭いを嗅いだり忙しない]
でも、覚えておいてね
[それだけ言って、広間へと。
それから話を聞いて、……しばし、考える顔をする。]
でも、突然戻されたら、けがをしてしまわないかな?
[心配そうに*呟いた*]
麒麟殿、リックもアーベルも、ご無事で何より。
[出迎えを喜ばれてはいないことには相変わらず頓着せずに、三人と連れ立って館への帰路につく。警戒し吼えかかる魔獣には、笑みを深めた]
実に愛らしい仔ですねえ、アーベルのお友達ですか?
はて、この仔に出会ったのは初めてだと思いますが、私が皆さんに嫌われているのを察したのではないでしょうか?
こういった獣は傍にある方の心に敏感ですからねえ。
[リックの問いには、しらじらしい答えを返す]
[広間に戻ると、ユリアンが「戻った」ことは間違いないと請け負い、聖獣やリックの不安そうな様子に肩をすくめる]
あちらには力のある精霊王方がいらっしゃいますし、万一にも危険などは無いと思いますよ。あまり心配し過ぎては、却ってユリアンも気を揉むのではないでしょうか?
ほら、あちらに時空王も戻られたことですし。
[時空王を含めた精霊王が揃っているのなら、こちらの様子を覗き見ることくらいは出来るようになっているかもしれないと告げて微笑んだ]
……見知らぬ場所に落ちたり…はしてないのですね。
[心の魔の言葉を何処まで信じていいのか。
躊躇いながらも、そう呟いて。
覗き見ることすら可能かもという声には、ぴくりと肩を震わせる]
[心の隙間にするりと入り込む"魔の囁き"
手に取ったカップからは、眠りを誘う林檎の花に似た香り]
………ありがとう…ござりまする。
[小さな呟きは、香草茶への礼のよでいて。密やかな囁きへ応え]
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