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こういうときこそ、落ち着くことが一番重要だ。
冷静に考えることが一番重要だ。
どこに落とし穴がわながあるかわからない。
[それは暗にイヴァンを信用していないことを示しており]
そうだな、二人にとっては心いたいことか。
[二人の反応を見ればそう応える、対照的に冷静な自分はよりその場に際立ったことだろう]
[今は亡き者に謝るゲルダの姿、
信じることを純粋に口にする姿]
やっぱり、俺の自慢の家族だな。
[くしゃりと再度ゲルダの頭をなでて、
ゲルダの注文に笑いかけながら]
了解、ナターリエはどうする?
冷静に考えることは確かに大切だけど。
でも。
あたしは…感情に走る人が間違ってるとも思わない。
そういう人間らしさを全部捨てられたら、何を信じたらいいか分からなくなるもの。
[マテウスの言う事が分からないわけでもないけれど。
手を、そっと自身の胸にあて]
落とし穴も。罠も。
自分が引っ掛かって痛いだけなら、いい。
間違って疑う方が…ずっと、此処が痛いもの。
分かった。
[既に眠りそうな少女に小さな笑みを漏らし]
それじゃあ色んな場所を回った時に聞いた話でも。
とある街で伝わってる話。
昔、身寄りのない少女が居て──。
[簡単な民話の様なもの]
[それをゆっくりとしたペースで語って行く]
[今の雰囲気を和らげるように、内容は楽しげなものを選んだ]
[静かに、優しい声色で]
[少女が安堵して眠れるような状況を作り上げていった]
[目を閉じる。手は、腕を握ったままで組む事は出来なかったが。
祈りだけはその内に。
ぎゅっと更に強く、腕を握り締めた後、ゲルダの声にはっと顔を上げた。]
そうだな。エーリッヒは違う。
…何だろう、あいつが狼だなんて思ってはいなかったが。
それでも、保障されると心強く感じる。
[そう、ゲルダに穏やかに告げた。]
…薬師殿は。
あの子以外の何物も信じず、全てを退けるつもりなんだろうか。
[イヴァンが信じられず。姿無き見極める者を信じ。
そんな果てに訪れる結末は、とても暗いもののように感じられた。]
落とし穴、か。
[マテウスが何を思っているのか、深い部分は読めなかった。冷静に立ち振舞う様は、傭兵だからといった思いが大半だったが。]
…まぁな。
ウェンデルの事も、幼いときから知っている。
それが、こうなってしまうのは。
[良い気分じゃないと呟いた。]
ん…そうだな。一杯だけもらう。
食欲は無いが…喉は渇いて仕方ない。
[こくりと頷き応えた。]
うん。やっぱり、いたい。
[乏しい表情では、親しくなければ伝わらないだろう感情。
頭を再度撫でるマテウスを見上げ、首を傾げた]
マテウス兄さんに褒められるのは嬉しいけど。
何か、あたしそう言われること、した?
[マテウスがナターリエへ問いかけるのに、翠玉の視線をそちらに移した]
たしかにゲルダの言うとおり、
感情は普通の人ならばしかたがないことではあるんだけどな。
[深く息を吐き]
今は、どんなことから疑いがいざこざがはじまるかわかったものじゃない…。
かといってどこまでも慎重に時間をかけられる状況でもない。
難しいな…。
[自分の胸に手をあて応えるゲルダの言葉に]
そうだな、自分だけなら…か…。
[しかし今この場における状況では、
自分だけがというわけにはいかない思考を巡ったその言葉は紡がれることはなく、
そっとゲルダの頭をやさしく撫でた]
[ゲルダの視線を感じ、小さく笑んで返し。]
今と変わらないままでいればいいさ。
理解する必要はない。
ゲルダがゲルダのままでいることが、大切。
…という事だろう?
[マテウスに同意するように]
[ナターリエが穏やかに告げた言葉に、ふわ、と柔らかく笑う。
酷く無自覚で、それゆえに本心の表情]
…信じてる。
[ゼルギウスの事に話が移れば、少し考え込む態。
微かに睫毛を伏せて、沈黙を込めてから口を開いた]
あたしは、薬師様の考え方…分からなくも無いな。
だからこそ、譲れないし。
譲りたくない、とも言ってしまうけど。
同じミルクティーでいいか?
[ナターリエの返答に尋ねながら]
そういうことだ。
ゲルダはゲルダらしくが一番。
[くしゃくしゃとナターリエの頭も撫でて]
お兄ちゃんはナターリエも自慢の妹だと思っているぞ。
うん。きっと…あたしが普通の側にいるから、そっちに気持ちが偏るんだと思う。
あたしは、感情で動くもの。
[立場や経験が違うのは、分かっている。
それでも言葉のやりとりは、此処でなら成り立っていて]
難しいから、考えなくちゃいけなくて。
でも其々でやっぱり答えが違うから、ちぐはぐ。
[瞼を閉じても、それぞれの思いは見えない。
せめてできるのは、馳せること程度。
マテウスが言外に告げたい事は理解していたけれど。
それでも今は、頭を撫でられる優しさに心を委ねた]
そして少女は──。
と、寝ちゃったか。
[頷きが減り、寝息が聞こえ始める]
[きちんと肩まで毛布をかけてやり]
[さらりと一度髪を撫でてやった]
[椅子から立ち上がると暖炉へと近付き]
[火を灯して薪を入れる]
[本当なら入って直ぐ火を入れたかったのだが、少女の傍を離れるのは忍びなかった]
[徐々に部屋が暖まり始め]
[その暖かさに安堵するように大きく息を吐いた]
あたしが、あたしのままでいること。
[ナターリエ、マテウス、其々の言葉を反芻する]
あたしがあたしらしく…。
それで、守れる幸せが1つでもあると良いな。
[酷く小さな呟き。
マテウスがナターリエを妹と呼ぶから、つい]
ナターリエ姉さん、ってこと?
[普段と変わらぬ乏しい表情で呟いた]
さっきゲルダが言ってた、人間らしいという奴か。
そうだけど。
…ああ、譲りたくはない。たとえ…
[彼女を手にかける事になっても。
核心的な部分は黙したまま、ぎゅ、と手に力が入った。
誰かを守る為に誰かを殺す事。
したはずの覚悟、だったが。
それが現実味を帯びてくると、喉の奥がちりと乾き荒れた。
恐れは、何に対する恐れなのか。
人狼か、それとも、命を奪おうとする己自身か。]
考えて答えがでてくれるのが一番いいんだけどな…。
[肩をすくめてから、すぐにゲルダに笑いかけて]
少なくとも俺はゲルダが、ゲルダらしくいてくれるとうれしいな。
[ナターリエに同意を求めるようにして]
なぁ、ナタリーお姉ちゃん。
頼む。
[マテウスに頷き返しながら。
ゲルダらしい、には珍しく、笑みを見せ同意した。]
…私は、妹だなんて思った事はない。
[ふいと視線を逸らし、呟く声はむっと不機嫌で。
だがそこには微か、拗ねる響きが見え隠れもし。]
ゲールーダー。
[自分の事を姉さんと、呼ぶゲルダに。
珍しくむぅと、子供のような顔を見せると。]
真顔でからかうなら容赦しないからな?
[そう言い、がばりと抱きつくと。脇をくすぐった。
そうしている間は、嫌な事は忘れていられるのだが。**]
たとえ――…うん、そうだね。
[言葉にならない響きを拾ってなお、深く頷く。
そっと掌が探ったのは、ゼルギウスから貰った薬箱]
人狼も眠るのかな。
[思い出したのは、導眠剤のこと]
[自分らしく。
それが一体どのような状態であるのかは、はっきりと分かっているわけではないけれど、]
マテウス兄さんが嬉しいなら、うん。
そう…ありたいかな。
[ナターリエからも同意があれば、再度頷く]
…ナターリエは、妹…嫌?
[自分の立ち位置に不満が無いゆえか、不思議そうに尋ねて]
[ベアトリーチェが眠ってしまってもしばらく部屋に留まり続け]
[窓から外を眺め、天を見やる]
…綺麗な月だな。
[先日より少し欠けた月]
[その色は紅を伴っていたが不思議に思うことは無く]
[真紅が魅入るように月を見つめた]
[記憶の錠前は崩れ落ち]
[記憶のページがはたはたと揺れる]
[今は捲れることは無いが]
[それは狂気へと誘う序章]
[しばらくは月を眺め見て]
[時間が経った後に一度部屋を出る]
[人が少なくなったのを見計らい、向かうは食糧の置かれている厨房]
もしかして、ナターリエ。
[一つの思い付き。
口に出す前に、威嚇のように名前を呼ばれ、つい押し黙る]
え。ううん、からかっ、
[否定の言葉を言い切る前に抱き着かれ、言葉を失う。
声になるのは、意味を成さない響きばかり]
…っ!…、…ゃ。
ゃあ……っ、待っ…!
[この時ばかりは、表情も声も、常とは異なる様相を見せる。
堪えようとするかのように、ぷるぷると身体を震わせた]
了解。
[ナターリエの返答に、厨房へ向かいミルクティーを用意して、
戻ってくるとそれぞれに配る。
不機嫌そうなナターリエには]
なんだ、それじゃあもっと別の親密な扱いがお好みか?
[じっとナターリエを見つめて、その言葉の意味することは伝わる出あろうか?
ゲルダの呟きが聞こえると]
どうだろうな、寝るんじゃないか?
普段は人と変わらないんだろう?
[ナターリエとゲルダの様子に笑みをこぼして]
本当に仲がいいな、おまえら。
[油断してたところに鼻をグーでおされて]
痛い、痛いですナタリー。
お兄ちゃんは涙でそうです。
[しばらくお茶を飲みながらゆっくりしたであろうか、
いくばくかの時が過ぎた後]
ナタリー、俺がいないときはゲルダのこと頼んだぜ。
俺はちょっと一人でいろいろ考えてくるわ。
[二人と別れて広間を*後にした*]
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