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五神で突然降ろされたんなら、驚くんじゃないですかね。
でも先輩は泰然自若としすぎてるから無さそうだなと。
こっちはこっちなりにサッサと終わりにしてもらって、立ち回りたい事情ってのがあるんで。
後悔してる暇、ありゃしません!
[黒の球体の正体も見破れず、残っていた数歩を縮めるためにリズムを刻んで踏み込んで。
右下から左上へと薙ぐように右腕を振るった。爪の長さがちょっとした小刀並まで伸びて迫る]
[しゃこしゃこと、金属の車輪は夏の暑い中を走っていく。
と。
神社に向かう途中で何やらふらふら歩いているのが見える。
ちょっと追い抜いて振り返ると、先日神社で見たような覚えがある気がしてぴた、と自転車が止まる。
人違い、ということもなさそうで試しに声をかけてみる]
おい。
[でも、まるで絡んでるようにしか見えません先輩]
[矢継ぎ早の問い。周囲の火気を受けてか、紅を帯びる瞳がやや、細まる]
……天魔の気、は、一つじゃない。
そして、あの場に四瑞は全員いなかった。
……明確な答えを出すには、生憎とまだピースが足りんね。
[言いつつ、ひょい、と手を差し伸べる。
空へ向けて放つ、『音』。
呼び寄せられるよに、貯水タンクの上に止まっていた紅鴛が手に舞い降りる]
おぉい。
それくらい言っとけよ。
俺が聞いてなかっただけかもしれんが。
[ 大分変わりそーなんですけど。
やはり知らん顔で言って、伸びる手の先を見やる。
すぐに行かなかったのは、突っ込みを入れないためだが。
舞い降りる紅の色彩に、眩しそうに目を細めた ]
……この結界?って、どれだけ持つん?
お前が倒れたら消えるとか、そういうオチ?
まあ、身ぐらい自分で護るだろうけど。
なら、バラしたらやばくねーのかなって。
[やったら、終わったらやなく今やめんかい!
とは思ったが口にしたら間違いなく舌を噛むと無言で突き出す。
身を沈める動作に合わせ剣先をしならせようとするが、縦にしてあったんで果たせず掠ったんは肩口のみ。それでも手に返る衝撃に、レンズの奥で目が揺れる。
やから武器が消えた驚きに反応が遅れ、剣を引き損ねた。
間に合わへん!と腹部に来る衝撃に後ろへ浮遊すべく地を蹴るが、その勢いに跳ね飛ばされる]
ぅぐっ!
[木に背が当たり、前へと体がのめる。
たたらを踏んで膝をつくのは耐えるも、攻撃の動作は取れず、辛うじて剣を引き横に構えた。荒い息が零れる]
――おや。僕も驚きましたよ?
[尤も、随分昔の話だが。
浮かべた笑みは変わらぬまま、おや。と不思議そうに瞬いた。]
なるほど。そちらに事情があるのは把握しましたが。
…此方も、予定を潰される訳にはいけないんですよ。
今からタイムセールもありますし、何より。
――これから、“面白く”なりそうなんですから。
[邪魔はしないで頂きましょうか。
笑みが、消える。同時、球体が掌の中で棒状へと形を変えた。
棍棒と呼ばれる形状へと漆黒が形を成すと、ぱしりと両手で受け取って。
繰り出される爪を横に構えて受け止める。ガキン、と金属に近い音がした。
相手の腕が止まった瞬間、相手の腕を弾く様に棍を振り上げると
ひゅ、と空気を裂く音と共に、撓りを加え。相手の右肩口目掛けて振り下ろす]
ち、声だけじゃ止めようが無いな。
[淡い期待は脆くも崩れ去る。もはや止めようが無いと判断し、近付きすぎない場所で地面に座り込んだ。気を集中し、消耗した分を補おうと試みる。何かあった時のために力が繰れるように、と]
[ダラダラと歩いていると、何か追い抜いた自転車から声をかけてくる奴がいる。]
…………あー?
[暑さで参ってるのか、半眼で睨む様な形になっている。
水気は火気を剋するとはいえ、強すぎる火気は水気に反剋する。彼女の水気は『まだ』そこまで強くはないのだ。
一応、「あー、昨日神社に居たネ」とは思ってる。]
誰が天魔で誰が五神か。
そこが明確でない状況で、カードを全部見せるほど、考えナシじゃあないんだが。
……っつーか、俺がいる間に来てなかったんじゃねぇの、そちらさん。
[さらりと言いつつ、自身の力より生まれし使い魔を撫でて]
……結界自体は、天魔との一件が片付いたら解く。
ついでに、これでも『天』の『護界操手』。
容易く倒れるつもりはないんで、心配御無用。
……。
[ものすごく機嫌が悪そうな顔をされたので、軽くこちらもそれにうっかり乗りかけてしまったのだが。
どうやらよくよく見てみれば、暑さでぐってりしているだけだとわかり。
日本人ぽくない顔に、どこかの阿呆と同じような出自なのだろうと割と簡単に推測すると、呆れたように肩をすくめて。
ちょうど自動販売機があったのでそこで二本烏龍茶を買って、一本を少女のほうに放り投げる]
…行き先によっては、乗せてやるけど。
[かき氷を食べてきたあとでしっかり水分を補ってはいるが、止まるとそれなりに暑いので皿に水分補給。
あくまで態度は尊大]
タイムセールは諦めてください。
でもって、そういう態度が怪しいんですよ、と!
[ニッ、と唇の端だけを上げ。
相手の笑みが消えるのと同時にこちらの笑みも掻き消えた。
弾くように外へと軌道を変えられて。その付根を狙ってくる一撃に小さく舌打ち]
容赦ないですなっ!
[外への軌道に身体全体を乗せて。半身を捻るように身を翻す。
寸部の差で棍を躱しながら、回転そのままに回し蹴り。
相手の下腹部を狙った一撃]
天魔は複数くらいは言った方がよかったんじゃん?
いたらその場で聞いてるわな。
ついでに蹴りの一つや二つくらい入れてたかも。
いなかったから、他の奴らから聞いたんだが。
[ そんな疑問は、別段抱かれても困らない範囲。
そも、嘘は口にしていないのだから。
後の言葉には、さよーで、と軽く相槌を打ったのみ。
当然というか、得たかった情報は
「頭を叩けば解除されるのか」ということだけれど、
あまり深く突っ込んでも怪しまれるだけだろうし、
解除したところで、他者を倒さねば追われる事は予測がつく ]
言って、まともに通じる状況じゃなかったからな。
[それは説明の不味さのせい、というのはさておいて]
ま、あの状況で蹴り入る彼我距離に入れたんなら、俺はあんたを騒音耐性持ち、と認定するが。
[何せ、女の子二人のサラウンドシャウト。
今思い出しても、耳に来るとか来ないとか。
じー、と見られた紅鴛は、首をこてり、と傾げ]
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