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ん? …………あぁ
[ライヒアルトの視線を受け、僅かに首を傾げるが、すぐに思い至って、ポンと手を打つ
そも、今日眠いのを我慢して出てきたのもそれが目的だったわけで
しゃんと威儀を正して営業モードに入り、エルザに視線を向ける]
えっと……話はライくんから伺いました
一応、相応の報酬をいただけるのであればお受けさせていただきたく思います
ただ、先に決まっている私の方の公演もありますので、構成など多少妥協していただかなければならないと思いますが、それでもよろしいでしょうか?
[ジッとエルザの目を見つめて、こちらからの要求を伝える]
…………。
[姉から向けられた視線。
短いはずなのに長いそれには、きっちりと固まっておりました]
俺も、自衛団の詰め所で聞いた事しか知らないから……。
[それから、気を取り直して、ライヒアルトの問いに答える]
ただ、爺様、例の失踪事件追っかけてたし。
……それ絡みのトラブルの可能性は、高く、見てるよ。
むしろ、祭り前の大事な時期に爺様が戻ってこないなんて状況……他に、理由なんて思いつかないよ、俺は。
[だが、すぐに苦笑を浮かべると]
とはいえ、まあ現状はそれどころじゃなさそうですよね
下手すると、私のと楽団の両方の公演がおじゃんになる可能性もありますから
んー、ギュンターさんかぁ
私は昨日は見てないなぁ
[顎に指をあて、そう呟く]
― 翌日・宿 ―
[目を覚ますと、いつの間にか毛布を被ってベッドの上]
……あれ、アタシあのまま寝ちゃってた?
[窓から外を見れば、今日もよい天気のようで、差し込む明かりに目を細めて]
今日もお仕事日和みたいね。
[着替えをすませ、師匠を食事に誘う。宿で朝食を取ると、荷物をまとめて露店へと向かう]
― 大通り ―
[露店への道すがら、人が沢山集まっているのが見えた]
おっはよー。
……どしたの、朝からみんなで何の相談?
[近づいて声をかける]
…そうか。
[青年からの答えに目を伏せた。
そのまま言葉を紡ぐ]
失踪事件を追っているのは知っていたが…
そうだろうね。あの団長なら、事件もあるのに急に居なくなるわけがない。
…団長がいなくなれば、自衛団の統率も危うくなるだろうし。
[最後はやや小声だった]
[仕事モードのゲルダに見つめられ、はたりと瞬いた]
……ああ。
件の方って、ミューラさんだったんですね。
周り道をしてしまいました。
でも、ホフマイスターさんの紹介なら安心だわ。
[苦笑から微笑に変え、先とはまた異なる真剣なものになる。
その間にカヤの手が離れたのには、気づいていたか]
報酬の方は、私の一存では何とも言えませんが。
「皆に楽しんで欲しい」――その気持ちを抱いて、
共に舞台を創り上げて頂けるのでしたら、惜しむつもりはありません。
[次いだ言葉には、確かに、と一つ頷く]
長年続いてきた祭りですから、早々中止になることはないと思いますが、
中止にならなければ良いという問題でもありませんね。
あ、ベッティ…!
[た、と旧友の所に走り寄る。
翠の眼の上、眉うはひそめられて、悲痛な表情が作られていて]
爺っちゃんが、いなくなったんだ。
――何か、見たりしてねぇか?
[声を震わせる。]
ん。おはよーさん、と。
[かけられた声に、ふ、とベッティの方を見やり。
ひら、と手を振りながら軽く、挨拶を投げる。
それから、蒼は再び、ライヒアルトの方へ]
あー……その可能性も、あり、か。
[自衛団の統率、という言葉に、がじ、と蒼の髪を掻く。
昨日見た、団員たちの動揺する様。
あの姿は、場合によっては、少しの衝撃で弾け飛んでしまう可能性も感じさせた]
……色んな意味で……ヤバイ状況?
しかし。
皆で一緒に回るのは、少し人数が多過ぎるかな。
[辺りを見渡して、やや苦笑を洩らす。
眉は寄せたままだったが。
そうこうしているうちに新たに増えた露店の少女には頭を下げて挨拶をする。
説明は少女がしていたので、彼は言葉を控える]
こんにちはー……。
[声をかけてくれたエルザとアーベルに片手を振る。駆け寄ってきたカヤの顔を見やり]
え、ブンタさんが?
……ううん。昨日から見てない。
[首を横に振った]
[頭を下げる修道士に、軽く挨拶を返し]
そんなっ……まさか。
[失踪の二文字が頭を過ぎる。カヤの悲痛な表情が事態の深刻さを物語り]
[場に漂う深刻な雰囲気に、口を噤んだ。しばらく耳に入る言葉を拾い集め、それを形にしていく]
自衛団自体、団長の統率力で保っていたようなものと聞くし。
あまり悪い方向に行かないといいけれど。
[目を上げて青年に頷き、懸念を口にした。
やはり声は小さく、溜息混じりになる]
……ま、あんまり馬鹿はやらない……。
と、思うけど。
[否、思いたい、と言うべきか]
早めになんとかしないと、な。
自衛団の連中が落ち着かないって事は、警備も甘くなりがちだし。
そうなると……。
[失踪事件の犯人たちに、付け入る隙を与える、と。
そんな懸念もちら、と浮かんだ]
[弟と修道士の懸念を、そんなことはない、と断じられはしない]
……悪い方向にばかり考えるのは、よくないわ。
心配ばかりしていても、しょうがないもの。
少しでもよくなるように、動きましょう?
[少し小さな二つ年上の少女の頭へ、そっと手を伸ばす]
……絶対、大丈夫だよ。すぐ帰ってくるって。ブンタさん、強いんだから。
それに自衛団だって。カヤだって知ってるでしょ?あの人たちの執念深さとか。ね?
[エルザの言葉にはにこりと笑って]
ええ、よろこんで
すみませんね、報酬とか意地汚い話を持ち出してしまって
何分寄宿させてもらっている身の上に、色々と入用が多くて
[苦笑を浮かべつつ、そう話す]
[ギュンターの失踪については、僅かに視線を落とし]
……上が優秀であるほど、それが欠けた時の影響は計り知れず
失礼な話、もはや自衛団もあまり頼りにならないかもしれませんね
[何気にど真ん中ストレートで酷いこと言っている]
っと……あ、うん。
そう、だよ、な。
[姉の言葉に、軽く、首を左右に振る。
そのために動く、と決めたのは昨日の事なのだから、と。
ふわ、と。半ば無意識に風を手繰りながら、改めて自分に言い聞かせ]
とはいえ、どう動くか、かな。
情報集めに行くにしても、姉さんとかベッティとか、さすがに下街には行かせらんないぜ?
―回想―
[宿に戻れば連れは既に夢の中の住人]
[ベッドに運んで毛布を掛けた]
[食事のついでに聞けた噂もそれまでと大して変わらず]
[夜は更け朝となった]
おっと。
すぐ追いつくから先に行っててくれ。
[途中で呼び止められ]
[立ち話で遅れてから追いかければその姿はまだ大通りに]
[見知った顔もその場に多数揃っていて]
[どうしたのかと足早に近づいた]
いいえ。
正当な労働に対して、報酬をお支払いするのは当然の事です。
志を同じくして頂けるのなら、尚のこと。
[苦笑を浮かべるゲルダに、首を振った]
……正当でない、それは、何の為なのかしら。
[ふと零した呟きは、今の流れとは異なり、先の流れに添う]
―大通り―
何が……。
[詳しく聞くまでも無かった]
[自衛団][悪い方向][すぐに戻ってくる]
[嫌でも予想が出来てしまう話が交わされていた]
え、アタシ?
[アーベルの言葉に自分の名前が出てきて、目を瞬く]
ブンタさん探すなら、アタシも手伝うわ。
事情が事情だし、このままじゃ商売どころじゃないから。ね、師匠?
[後から合流してきた師匠を振り返った]
ベティちゃんやカヤちゃんはともかく、私は平気だわ。
……アーベルとホフマイスターさんだけで行くつもり?
そっちのほうが、心配よ。
何をしでかすことやら。
[しれっとした顔で、アーベルに言う]
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