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― 翌朝/黒珊瑚亭一階 ―
[エーリッヒ>>109がきて、ゼルギウスの目を閉じさせるまで、その瞳が開いたままであったことにすら気づかず。
震える手はまるで昨日のカルメンのようで、ただぎゅう、と自らの手を組み合わせて握り締めた。
カルメン>>125に視界をふさがれてゆるりと瞬き]
かる、めん……?
役目、って……
[駄目だといわれても、動く事もままならないから。
ぼんやりと問い返した]
― 前日夕方/黒珊瑚亭 ―
[それは確かに知ってる人の声だったのに、
全然知らない声にも聞こえて戸惑った。]
…ナタねー?
[鳴き声や嗚咽は不安をくすぐり、
子供も不安そうなまま、するりと廊下へ向かっていった。]
うわ、なんだこれ、肉屋くせー…。
[村で精肉を扱う店の前を通った時と、同じ匂いがして顔を顰めた。
子供は後のほうにきたらしく。
いろんな人が其処にいたせいで、奥の様子はよく見えなかった。
仲間と呼べるロミが、知らない大人に宥められていて、
よくわからない不安は余計につのったが。]
─ 翌朝/教会・聖堂 ─
[昨日同様、夜明けを聖堂で迎え。
ナターリエは伏せていた顔をゆっくりと上げる]
………主よ……。
[呟きは短く、顔は目の前の像を見上げた。
その上、ステンドグラスからは弱いながらも光が降り注いでいる]
[昨日泣き腫らした目はある程度治まっていたものの、連日の睡眠不足で疲れた目元は隠せなくなっていた]
……あぁ、今日も、また……。
[人の死ぬ日がやってくる。
人狼に襲われる者と、人の手によって殺される者が現れる。
1人を手にかけたことで、もう既に後には引けぬ状態になっていた]
[ゲルダを刺したナイフは彼女の胸に残ったまま。
籠も落としてきたために手元にひとを傷つけるものはない。
黒珊瑚亭へと向かう前に、自室へと戻り出かける準備をした。
別の籠の中に忍ばせるのは昨日と同じ形状のナイフ。
何本も持っているわけではなかったから、部屋にある分はそれが最後だった。
聖職者が持つには似つかわしくないものを籠に潜め、それを手に自室を出る。
途中、神父と顔を合わせることとなったが、弱々しく笑み頭を下げるのみでその場を辞した]
─ 翌朝/→黒珊瑚亭 ─
[島民の冷たい視線に晒されながら、黒珊瑚亭へと向かい足を踏み入れると、入って直ぐの床に紅いものが長く伸びていた。
それが伸びる先へと瞳を向けると、人が数名居るのが見える]
……どなたか、襲われたのですか?
[問う声は然程大きくはない。
紅く染まる床を避けるように進み、人の集まる場所へと歩み寄った]
― 翌朝/黒珊瑚亭 ―
[差し伸べられた手をぎゅ、と握り返す。
カルメン>>130に支えられてよろよろと立ち上がり。
ゼルギウスに近寄る前に立てなくなったから汚れてはいないけれど、震える手はおさまることなく]
……ありがと
[笑みを返そうとして、くしゃりと顔が歪む。
いままでに亡くなった人を見た事がないわけじゃない。
それでも、ゲルダの、そしてゼルギウスの死に様には衝撃をうけるしかなくて。
上手く笑顔を作れなかった]
─ 昨日/教会への帰り道 ─
[帰り際、紅を綺麗に拭い取った手を小さな手が掴んだ>>133。
引くその手の主を見て弱く微笑んだのは一瞬。
ナターリエの表情は憔悴したような状態を維持していた]
………。
[訊ねられた直後>>134、直ぐには声が出て来ず、しばし反応に間が開く。
何度か言葉を紡ごうと唇が動くが、音としては発されず。
働きの悪い頭の中でカヤへの説明を整理していた]
……誰か、1人、 疑いのある人を、殺さないといけなかった、から
私が、選んで ────
[そこまで言って、喉を詰まらせる。
言葉を紡ごうとして唇だけが動き、またしばしの沈黙が流れて]
── 私、 には、護る義務が、あるか ら っ……!
[手に蘇る刺した時の感覚。
繋いだ手が震え、手を握る力が強まった]
― 翌朝/黒珊瑚亭・1階 ―
[その夜、ゼルギウスの部屋を訪ねて痛み止めを分けて貰った。
火事の熱気にやられた気管は治りが遅い。街で処方されていた分も見せて、他の者には言わないでくれるよう頼んでおいた。
朝の目覚めは相変わらず遅い。けれど悲鳴が聞こえれば流石に目は覚めて。一番近い部屋を借りているのに、少し遅れて一階へ降りた]
先生か…。
…俺が聞いてこよう。
[カルメンには>>125どう反応したものか分からなくて無表情になり。
まずはカルメンの代わりに>>130エーリッヒの求めに>>111応じようかと、ゼルギウスの無残な姿は遠目にしただけで踵を返そうとした]
─ 二日目 夕刻 ─
[ナターリエの事はゼルギウスやヘルムートに任せるのが良いだろうと、足を止める事無くゲルダの部屋へと入っていったから彼女が零した言葉>>114を耳にすることは無かった。
部屋の外、ユリアンが居るのは見えたけれどそちらにも声はかけず─かけられず。
カルメンが落とした呟き>>89も耳に捉えられず、エーリが彼女を気遣う声もどこか、遠く。
やってきた自衛団員に気付くまで、ゲルダの傍から動けなかったのだが]
…ちょっと、ユー坊の様子見てくるわ。
[ゲルダの身体が運び出され、空虚になった寝台に視線を落としたまま誰にともなく告げ。
その足で、ユーディットの部屋へと向かった]
─ 翌朝/黒珊瑚亭 ─
[歩み寄った先>>144で襲われた者の名を聞き、人が減っていくことで開けた視界にその姿が映れば、籠を持たぬ手が口許を覆い隠した]
ゼルギウスさん、が……。
[凄惨な現場を目にして少しえづくも、胃の中は空っぽ。
出るものが無いため惨事には至らなかったが、喉奥に酸っぱいものが込み上げた]
ゲルダさんは違った、と言う事なのですね…。
[被害が出たなら自身が手にかけたものは違ったのだろうと、単純な思考で言葉を紡ぐ。
昨日カルメンが口にしたこと>>89は耳に入っていない。
その余裕はありもしなかったのだから、当然といえば当然だった]
─ 二日目 夕刻 ─
……別に、いいんじゃねーか。
無理、しなくても。
その方がお前が楽なら、とめねーけど、さ。
…俺は。
無理してまで、笑うのは、きつい。
[そういった自分への返事はあったか、なかったか。
ごめん、という呟きにそれ以上言葉は重ねようと思えなかったけれど]
…俺こそ、ごめんな。
[開かぬ扉の向こう、少女へと向けた謝罪の意味は胸の内に秘めたままその場を立ち去って。
その足で部屋に戻った後、朝まで出ることはなかった*]
― 三日目朝/黒珊瑚亭 ―
[やってきたシスター>>138の声に、小さく震える。
ゲルダが死んだことを思えば、彼女のほうを見ることはできなくて。
カルメン>>144につれられるまま食堂の隅の席へと腰をおろす]
……ありがとう、ごめんね。
[人が増える気配を感じながらも、まだどこかぼんやりとしたままで。
父親がいつのまにか置いていったお茶にも気づかない。
庇いだてをしない父親はそれをすれば死が近くなるだけだと知っているかのように、何も言わぬまま。
食事を求める人がいるかどうかも気にせずに普段どおりに動いている]
─ 三日目/黒珊瑚亭 廊下 ─
[駆けつけた先、カルメン達がユーディットの傍に居るのがまず見えて。
微かな安堵に足の動きが少し弱まる。
それから、倒れている人に視線を移して]
…ゼル、先生…か。
[広がる赤に横たわるその人の、恐らくはギュンターと同じような亡骸になっているのを見て、淡々と呟いた]
ゲルねーより、知らない金髪のにーちゃんたちのが
おれ怪しいって思ってた。
ゲルねー、どっか人狼っぽかった?
[ぽつっと呟く言葉には、ただ疑問ばかりが含まれていた。]
― 前日夜/宿舎 ―
[ナターリエとロミと、ロミが拒否する気配がなかったら
3人で帰った後、やっぱり夜は馴染んだ宿舎で過ごした。
血の匂いやナターリエの泣き顔や、
非日常に囲まれて、神経が高ぶってしまって。
夕飯を残したうえにその日はなかなか寝付けずに、
子供は遅くまでベッドの中でごろごろしていた。]
…。
[悩んで悩んで、悩みながら――――ようやく夢に身をゆだねた。]
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