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[熱が冷めていく。
正常であったことが、異常だと、次第に理解出来るようになる。
ハインリヒの言葉も、蘇った。
その、意味するところは――]
嫌だ、なあ。
[きっと、麻痺してしまった思考能力のせいだ。
パタりと、手がシーツの上に落ちる]
[目を閉じた。
闇に包まれて、銀と藍は見えなくなる。
*それでも、赤はこびりついて、否、更に鮮やかに映えて、消えない*]
[目に映るのは、エーリッヒに黙祷を捧げるマテウスの姿]
・・・ありがとう。
[両の瞳から流れるは紅き涙]
[視界が紅に染まっていく][終焉の時は*まだ遠く*]
[階下の喧騒が収まった頃、浮く様だった熱もまた引いて行った。
一つ息を吐いて、扉を背に座り込む。
ポケットの内側から脚に当たる堅い感触。部屋を出る直前に入れたそれを思い出し、取り出して掌に置いた。]
これ、まだあったんだ。
[ずっと昔、父親が幼い少女に与えてくれた物。幼馴染みたちに負けたくなくて、無理にねだったものだった。
これを使わずに済んだことには、正直安堵していた。]
・・・・昔は男の子になりたかったんだっけ。
[何かと格好良いアーベルに憧れ、多少弱々しくとも結局は彼と同じユリアンを羨ましがっていた。あの頃彼らに影響を受けた、自分を「ぼく」と呼ぶ癖は未だ抜けてはいない。]
ねぇ。
もしぼくが男の子だったら、
もっとちゃんとやれたのかな。
[今は、彼らすら信用することは許されない。
――殺さなくてはいけないかも知れない。
だから、変わらず自分の名を呼ぶ彼らが怖かった。
だからこそ逃げてきたのかも知れなかった。]
ぼくはもう、リューディアでいちゃダメなのに。
そうしないと痛いのに。
だから、選んだのに。
[疼く左肩を押さえて、顔を立てた両膝に埋めた。浮かんできた涙を零したくはなかった。
どうしてこんなに弱いのだろう。]
なんで、ぼくなんだろう。
・・・・・・もう嫌だ。
[小さく小さく呟いた。]
[ミハエルの呟きは届いたが。][薬師の業しか知らぬ少女に、その名が意味する所を知る事は出来ずに。]
[同じように黙々と片付けて。][掃除が終わると、ミハエルから布を受け取り、台所へと向かう。]
[布を洗おうとして手は止まる。][布に染みた赤に。][染まった掌に。][ユリアンの、エーリッヒの。][姿は鮮明に思い出されて。]
人殺しをしなければ出られない。
でも、私は…人を…人を、殺せ、
――っ、痛っ。
[殺せるだろうかと。][疑問に思うと同時に頭が痛んだ。][昨日のような、鋭い痛み。]
[眉根を寄せながら。][それでもまた、考え続ける。]
…他に、方法はないのかな…システム…って、どうし―――ぁ、っぅ。
………痛ぃ…あたま、痛い…。
[訪れる痛み。][頭を押さえようとして手を見れば。][両手は紅色に染められたままで。]
[そのまま、その紅に唇を寄せて。][掌を齧るように、口を開き。][舌でほんの少しだけ、赤色をすくい取った。]
[以前、口にしたのと同じ味。][鉄の味。][それはとても。]
あま、い。
[呟けば。][痛みは消えた。]
[瞬く。]
…あ、れ…?
[不思議そうに両手を見て。][痛みは今は欠片も無く。]
[ふとクレメンスの言葉が思い出された。
『お薬が合ったのですかね?』
と。]
薬
これ、
[が?と、呟こうとして。][ぐらりと体が軽く傾ぎ。][だがすぐに持ち直し。][何事も無かったように、血塗れた布とと手を綺麗に洗った。]
[台所から出ればミハエルに、ねぎらいの言葉をかけられて。][それには言葉少なげにいいえと返し。][そのまま二階へと上がってゆく。]
[足取りはしっかりとしていて。][儚い印象派どこか薄れていた。]
[右腕が痛んだ]
……っつ、
[微かに声はあげて、左手を添える。
袖に残った赤が映った]
[夢を見ていた。
昨夜の繰り返しの夢――ではない]
[カァ、][鴉が鳴き声をあげ、羽ばたく]
[顔を顰めながらも、そちらを見た。
赤の残る、不鮮明な視界。そこに浮かび上がる黒。
見えるようにも、視えるようにも、なっていなかった]
そりゃそうだよ、ね。
[目の奥が熱い。
痛みに似た熱を持っているようだった。
添えていた左手を離して、顔に当てる]
いつまで…… かなあ。
[ポツ、と呟きが零れた。
色々なものに、宛てた言葉]
[ベッドから降りて、机へと向かう。
ぼんやりとした頭のままに、袋から作りかけの飾りと石を取り出した。
今更、自己満足かもしれないと、*そう思ったけれど*]
―自室―
[それは、唐突に訪れた。
夢も見ずに薄闇の中に沈んでいた意識を、鋭く斬り裂くように]
――ッァアッ!
[右肩から全身へ。
いい加減慣れてきたかと思っていた痛みを、軽く凌駕するそれ]
ぅ、あ…。
[右肩を抱え込む。
半端ではないそれに、暫し息を整えようと]
――そん、な。
[荒い息の中、呟く。
ベッドから滑り落ちるように降りる。
燃えていた炎は殆ど消えかかっていた]
…ま、さか。
[まだふらつく足で。
それでも壁に縋って扉へと。そして部屋の外へと]
[あの時のように。
不安と恐怖にかられるように歩く。
辿り着いた先の部屋]
…リディ、ちゃん?
[小さな小さな声を掛けて。
そっと目の前の扉をすかした]
[視界に入ったのは、ベッドで休む人影。
一瞬の安堵。
しかし次の瞬間には]
こ、の…匂い……!
[部屋の中に満ちていた、錆付くような臭気が押し寄せた]
[扉を大きく開く。
部屋の中は多少乱れていて。
ガタンという音を立てて何かが倒れた。
けれどそれにも気を払うことなく一直線にベッドへと]
あ、ぁ…
散って、しまった……
[伸ばした指先には、千切られた蒼花。
紅に沈んだそれはもう何も伝えてこない]
緋に沈んで。
それが欲しいと思ってしまったのは。
私、なのに…。
[肌蹴られた衣服。
左の胸に一際大きな傷。人の命の核となる場所が、無い]
なの、に……
[熱いと、痛いと思った。薄らとした記憶に残るのはそれだけ。
今は熱くも、寒くもない。音もない。匂いも、臭いも。
それに疑問を覚えることもなく、ただ漂う夢の中にいた。]
[祈りを]
[そう言われ、聖句を口にのぼらせた昨夜]
元神父であって、今は本当は違うのですけれどね。
[苦笑したのは祈りの合間に]
十字架を落としてきてしまっているので、俺は神父じゃないんですよ。
でも、祈りのことばは同じですしね。
[神様には少し我慢してもらいましょうと]
あおいはな、ちらそう。
[ふと口をついて出たのは。
つい先日、視る力を持っていた青年が言っていた]
咲いた花は。
散るがさだめ。
[ベッドの脇に座り込んだまま。
手を伸ばしてリディに触れたまま]
それでも花は、咲く。
…運命なんて、知らない。
知らないままで、いたかった…!
[全身を駆け巡る痛み。
慣れることなんて出来るわけがなかった。
そんなものでは、なかった]
[バサリ、][急に視界に影が下りる]
ザフィーア? どうしたの。
[この賢い鴉が、そうして他者の邪魔をするのは珍しい事で。
顔を上げて、窓の外を見る。
新たに雪が積もったのか、真白に塗りかわっていた。
それと自分の姿とを見比べて、着替えてもいないことに、今更気づく。赤はもはや黒ずんでいる。鼻も、麻痺してしまったのだろうか]
……。風呂でも、入ろうか。
[そう「理由」を付けて、部屋を出る]
[皆が部屋に戻っていく]
[自分もまたそうだった]
本当は湯を浴びようとしていたんですけどねぇ。
…ああ、おかしい
[くすとわらった]
[夜の闇が落ちた]
[静寂]
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