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[とぼとぼと、闇を彷徨っている。]
ここは、どこなんだろう。
どうして、ここにいるんだろう。
私は、だれなんだろう。
私の、名前…………ユーディット?
[告げられた名前を、呼んでみる。]
[闇は薄らいでいる]
Kyrie eleison ――
[紡がれる音は、低い旋律。
主への祈り。
ステンドグラス越しに注ぐ光を目に映しながら、
人気の無い聖堂にて、口遊む。
傍らには、弟殺しの農夫の名を持つ、白い猫の姿が在った。
死者が教会で、聖歌を口にするだなんて、馬鹿げた話だ。
そんなことを、思う]
[工房の風呂場で、喰らい損ね乾き切った紅を洗い流す。
甘いその雫も、乾いてしまえば食指が動かず。
半端に終わった襲撃に衝動が燻ったままとなる]
…喰らってやる…。
俺の邪魔をする、あの忌まわしき守護者め。
貴様の血肉で、この渇きを潤してやる…!
[ぎり、と握られる拳。
その身体は度重なる転変と喰らうことの出来ぬ消耗により、人型でありながら鋭き爪を宿していた。
薬を飲んだとは言え、身体には銀の毒も未だ残っている。
時間が、無い]
[書斎に立っている。散らばった本にかかった朱の飛沫。]
血。
[呟く。目の前に持ち上げた右手は、血で濡れている。
白いワンピースの前面は、朱に染まっている。]
ううん、ちがうの。私じゃないよ。
[激しく首を横に振る。消えるイメージ。
朱の色は無くなる。]
[残された鳶色の左眼が紅く染まる。
それは力の顕現を意味し、身体の各機能は人狼のそれとなる。
研ぎ澄まされた聴覚と嗅覚は、忌むべき相手の気配を捉え。
工房を出ると真っ直ぐとその場所へと向かった]
[そこは、己も好んで通っていた、あの村はずれの丘──]
[自衛団の詰め所。並べられた遺体。
目を閉じたユーディット。その前に佇む少女。]
私……ねえ。あなたは、私?
[答えはなくとも、そうだと言われた気がした。]
どうして私は死んでるの?
私は、何を好きになった?
私は、しあわせだった?
私は、何のために生きた?
[視線を転じる。アーベルの遺体がそこに在る。]
この人、誰だったの?
[入り口の方で下ろされ、奥に行くユリアンをそこで待った。
主が弱ってきているのは分かっていた。
だがこの身を差し出すことは出来なかった。
主がそれを、拒絶していたからだ。
一族の血が、叫ぶ。主のための生贄となれと。
それは自分の悲願でもあった。
だけれども。
もう、出来なかった。
主が真っ直ぐ向かう先に、自分も少し離れて付き従う。
願わくば、せめてあの約束だけは守ろうと。それだけを胸に誓って。
主の気配をたどり、着いた先は見慣れた丘。]
[丘の上の木に寄りかかり、物思いに耽る。
幼い頃、幼馴染たちと遊んだ場所。
しかし、その幼馴染も一人はおらず、一人とは距離を隔て。
今は、一人、そこに佇んでいた。
一人でいるという事、それ自体は自ら望んだ結果ではあるのだけれど]
……ん。
[不意に、左腕に走る、疼き。
伏せられていた緑が開き、やって来た者へと向けられる]
……や、どーも。
[投げた言葉、それ自体は常と変わらぬ物]
─エーリッヒ宅・客間─
おっちゃん…
[ユリアンの襲撃を受け重傷のハインリヒの前で、しばらく呆然としていた。エーリッヒの治療の甲斐もあったか、息はしている。生きている。
ほっと息をついて、首をあげれば、窓の外が見えた。そこには見慣れた人影が]
エーリッヒ兄ちゃん…?
……っ!
[何かに気がついたように、バネのように飛び上がった。そのままこっそりついていく。
程なく歩けば、丘にたどり着いた]
……随分と、暢気に居たものだな。
[返す口調は人狼の時のそれだが、浮かぶ表情はいつもの無表情で。
今までとの違いと言えば、欠けてしまった右眼と、残された左眼に宿る、紅き色]
[問いかけが終わると、闇から光の欠片が飛び出した。
ふわり、少女の周りに浮かんだのは、幾つも幾つもの水の泡。
七色に光って、ユーディットの過去を、少女の未来を映し出す。
少女のすべての問いに答えるかのように。]
慌てて騒ぎ立てても、疲れるだけだろ。
……己が成すべき事、それが見えるんだから。
[さらり、と返す。
緑の瞳は静かなまま、紅を見据えて]
にしても、まあ。
村から逃げた先で人狼に出くわして。
その後戻ってきたらまた出くわして。
……とことん、呪われてるもんだ、家の血筋ってヤツは。
ああ……。
[嘆息する、少女。]
そうか。私。私は、
[水の泡がくるくると踊る。
少女を戒めていた鎖が、ぷつり、と切れる。
光は力を強くした。]
[永遠に綺麗なものなどない。
決して穢れぬものなどない。
血塗れた此の手でも、
聖別された銀を持つ事が叶う]
神様とやらは、如何なんだろうね――?
死んだら、視えるかと思ったんだけど。
[問いに、答える声は無い。
さて。
求めていたものは、何だったか。
視たいと思っていたものは、何だったか]
[やがて聖堂には、常と変わらぬユーディットの姿があった。
首輪だけは、未だ嵌められたままだったが。]
アーベル。
[丘の上には守護者の姿があった。
真っ直ぐそちらに向かう、主からは少し離れた。
邪魔になるのは分かっていたから。
ある程度離れた所に静かに立ち二人を見ていた。
微か顔色は青かったが、表情は無かった。]
[名を呼ばれ、振り向く。
変わることのない容貌の中で、
右の眼だけが、罪の象徴のように赤く染まっていた]
……、ユーディット。
[白猫が、小さく鳴く。
距離を置いた青年の代わりのように、
声の主のもとへと寄った]
成すべき事、か。
[それだけ繰り返し、一度隻眼を閉じる]
へぇ、俺以外の人狼にも遭遇してたのか。
道理で騒ぎが起きても慌てる様子が無いと思った。
…俺が成すべき事とお前が成すべき事。
その内容は正反対のものだが、どちらも譲れない。
そうだろ?
我らに仇成す忌まわしき守護者!
[閉じた瞼が叫びと共に見開かれる。
そこにあったのは先程よりも紅い光を宿した瞳。
ざわりと、ユリアンの髪が逆立つかのように膨らんだ]
[足元へ寄ってくる白猫を、身を屈めて撫でる。]
死んでる者同士だから触れるのかな。
アーベルは、どう思う?
[目を上げて、アーベルに微笑みかける。]
戻るのが遅くなっちゃった。えっと、ひさしぶり?
[丘にたどり着けば、エーリッヒと、異形と化したユリアンの姿。
下手に見つかっては、逆にエーリッヒの足手まといになるかもしれない。そう考えて、慎重に姿を隠して様子を見守る。
丘全体を見渡せば、もう一人、人の姿が見える]
…イレーネ姉ちゃん…
[ゆっくりと、イレーネの方に向かい移動する]
ま、そうとも言う。
それ以前に、親父殿から護り手の血脈として、色々と叩き込まれていたのもあるが、な。
[軽く肩を竦めつつ、言って。
ゆっくりと、木の幹から身体を離す]
確かに、完全に相反するな。
……俺は、知り合いが無駄に死ぬのは好まん。
それが、人の手によるものだろうと、異端の手によるものだろうと。
守護者の役割とか、そんなもんは、ついでに過ぎんが……。
[す、と懐に入る手。抜かれたそこには、柄に紅を燃え立たせる、銀の短剣が握られて]
使える力は、使う。それが呪いだろうと、異端の証だろうと。
[白猫は喉を鳴らして、心地好さげに眼を細める]
さあ。
流石に死んだことはないから、わからないね。
[腕を組み、片側に体重を寄せた。
若干斜めの姿勢になりつつ、視線を転じる]
……久し振り、でもないんじゃない?
現の時で言えば、一日か、その辺りだろ。
時の流れなんて、曖昧だけど。
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