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─生徒会室─
[呼びかける声に、そちら見やり、にこりと笑う]
今の所は、大丈夫かしら。
ただ、ちょっと……。
[ここで言葉を切り、わずか、思案顔。
物憂げとも見える横顔を、陽射しが照らす]
……急いで作成しないとならない書類があるから、何かあったら、対応をお願いしてよろしいかしら。
[何もないとは思うけれど、と。
零れる笑みは、どこか楽しげ]
[ 逆側から手をかけられるのには気付いたか。
内側からの押し扉となると、オチは読めもしたけれど。
どちらにせよ、日陰にいた人影が近づいてくるのと、
何より下げられた氷嚢に、彼の意識は向いてしまった ]
んぁ?
助かるけど、あんたのじゃねえの。
[ 手は正直に、きっちり動いていたが ]
もちろん、うちのやからあげるんよ。人のはあげられへんわ。
ゆーとくけど、タダちゃうで。口止め料やからなー。
[だから遠慮いらんよ、と伸ばされた手に氷嚢を落とす。
ついでにストローをポケットから漁ってる間に扉に変化があったかもしれない。武道とか無縁の人間に気配なんて読めません]
口止め料っつったら、
[ 自分だって、相手とそう異なる立場ではない。
そう指摘しようとして、落とされた氷嚢に声は止まる。
剣道の経験はあれど、やらなくなって、早二年半。
そして落ちゆくそれを手の器に収めようとした結果、
扉への注意は全く払われなくなったわけで。 ]
[言葉が切られたその間。返事があるまで自然と沙耶香を見る形になる。どんな時でも美人だねー、とか思ってたりするが、声には出さない]
急ぎの仕事あるんだ。
じゃ他でアタシが出来るものは対応しとくよ。
何も無い方がアタシも楽で助かるし。
[いひ、と笑って定位置の席へと座った。沙耶香の楽しげな笑みはそのように受け取らなかったのか、気にした様子は無い。しばらくぼんやりしていたが、徐にテキストを出して解き始めたり。一応勉強する気はあるようだ。尤も、遅々として進まないが]
おわ!
[動体視力だけはやたらいいから、フード男が自分を避けてくれようとして倒れるのは判った。
しかし止められるだけの反射神経の方はない。心の中で合掌]
悪い、避けられると思った。
[扉にかかる重みに疑問を感じた時には、遅いわけで。
開いた扉の向こう、目に入った光景に。
口をついたのは、こんな一言]
[惣菜パンをいくつかとジュース。それを食して一息。
他のやつらは食事を終えてから連絡といってるが、自分はさっさと終えたためまだだろう。]
あぢー…
[既に口癖と化しているような言葉をぶつくさ
涼があるところ…この前ヒサタカに聞いた三階の空き部屋にでもと決めた。
なんかほんの少しだけ嫌な予感がしなくもない]
ええ、今日中に提出しないとならないものですから。
[相手が何を考えているか、気づいているのかいないのか。
さらり、何事もないように言って、笑って見せる。
その間も手はさらさらと、さらさらと動いているのだが。
やがて、作業は一段落したらしく、とんとん、と紙束をそろえて、見直し作業に]
そう言えば……幸貴さんは、夏休みには何か予定はありますの?
[それから、ふと思いついたよに、こんな問いを投げて]
[ 空いていた片手を地に着きはしたものの、
予想以上の熱さに更に動きは鈍り、
結果、焼かれました。
額を思い切りぶつけるのと、どちらが間抜けだったかは知れない ]
[テキストと睨めっこしていると沙耶香から訊ねかけられ、顔を上げた]
え、夏休み?
家で稽古と部活動くらいかなー。
うちの親父、旅行とか行くくらいなら鍛錬!とか言う空手馬鹿だかんね。
予定と言う予定は無いや。
[稽古も部活動も日常茶飯事のようなもので。遠出出来ないことに残念そうに、ぺしょりと机に潰れた]
どーせやったら、焼けてから上げたらよかったなー。
[正しい氷嚢の使い方と言う意味で呟き、その場にしゃがみこむ。
一応、助けてもらったらしいので]
えーと、避けてくれておおきに?
[手に残ってた冷たいハンドタオルを焼けたっぽい所に押し当てようとかする。そこでようやく、フードの下に気付いた]
うわ、外人さんやった!
ワタシ、エイゴ、シャベレマセン!
あー、確かに。
って、違うだろ。
いや、あってるけど、違うだろ。
[ よくわからない突っ込みをしつつ、
フードの下から若干恨めしげな眼差しを向けた。
大袈裟な動作のせいで、目深に被っていたそれは外れかけ ]
そう……どこも、同じようなものですね。
[とん、と。
チェックを終えた書類を置いて、判押し作業の後、ダブルクリップでぱちり、と止める]
でも、それならそれで、私は助かるかしら。
何かあった時に、すぐに頼れますもの。
[潰れる様子には、ほんの少し苦笑するものの。
続けられた言葉と共に浮かべるのは、一見無害な笑み。
従弟が見たなら即、「……何企んでる」と突っ込みいれること、請け合い]
……もうかりまっかー。
[ 関西弁に合わせてみた。
場違いに、とりあえず、ベタに ]
高校生なら、それくらい喋れ。
いや、日本なんだから日本語喋れ。
つーか、外人全部が英語話すわけじゃねえ。
[ 蛙状態からヤンキー座りになりつつ、半眼を向ける。
黙っていれば美麗な北欧人にも見られようが、
こうしていると、単にガラの悪い輩だった ]
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