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[昨晩は、遅くならないうちに宿を出た。
帰り際に、何時もより多く給金を貰ったからと、何時ものお礼とばかりにほんの少しばかり多く払えば、『子供がそんな気使うんじゃないよ』と、パンの耳やハムの切れ端を渡してくれた]
女将さん、サンキューなー。
[笑顔で宿を出た]
[帰り道、パンの耳をかじりながら歩く]
へへーん。ちょろいもんだよな。猫被ってりゃ、こーやって食いもん分けて貰えるしー
[親の無い子供にとっては、このように大人にたかるのも処世術。悪気は全くない]
そーいや、今度ユーディ姉ちゃんが飯作ってくれるんだよなー、おだてときゃ定期的に食わせて貰えるかも。
[宿での約束を忘れずに、*帰途についた*]
[翌朝。いつものように早くに起き出して、こまごまと朝の用事を済ませた後、エーリッヒの朝ご飯を用意した。今日のメニューはトーストにサラダ、ハムエッグ。
テーブルに並べ、頃合いを見計らってエーリッヒを起こしに向かう。]
エーリッヒ様、朝ですよ。
起きて下さいな。
[ノックをして、中に優しく声をかける。]
今日は幾分か過ごし易そうですよ。
起きて下さい。
[返事はない。]
……エーリッヒ様?
[さすがに変だと思い、失礼します、と断りを入れてドアを開けた。
部屋はもぬけの殻。開かれた窓にはカーテンがはためき、テーブルには小さなメモ書きが置かれているのが見てとれる。]
エーリッヒ様……また、ですか……。
ふむ。
[ちょっとだけ思案顔をしながら、村の中をぽてぽてと歩く。
どうしても空の色が描けなかったので、父にアドバイスを聞いてみたら「根つめすぎだな。ちょっと村の中を散歩して来い。絵ってのは考えるんじゃなく、感じるもんだ」という言葉を受けて、今日は絵画を中止して、村の中を散策中]
考えるんじゃなく、感じるかあ。
むっずかしいなあ。
数学とかのように答えあればいいんだけどな。
[元々、理数肌だったらしい。
村の学校なので高が知れてるとは言え、成績がトップクラスではあったようだが、所詮村から出たことのない身としては、自分がどれだけのランクなのかは知る由も無い]
空の色も、恋模様も、方程式じゃ解けないってね。
乙女は大変だ。うむうむ。
[なにやら、一人で納得して頷いている]
それにしても―――
[立ち止まり、広がる草原を見つめて、目を細めた。
ふわりと、風がミリィを包む。
風に吹かれて、三つ編みの髪が少しだけたなびいた]
―――いい天気だね、こりゃ。
しばらく、家にこもりっきりだったから、外がこんなに気持ちいいってこと忘れてた。
[なだらかな丘の上に移動して、両足を伸ばして座り込んだ]
─昼・村はずれの丘─
[日も高くなってきた頃、木の上でふと目を覚ます。
木陰になっているため、太陽に晒されずに済み、寝苦しさは無かったが如何せん木の上。
身体が痛いのは止むを得なかった]
……あー、工房。
[無断外泊。
外泊と言うほどでもないが、朝帰りどころではない時間が経っていて。
それならいつ戻っても変わりないだろう、と直ぐに帰るようなことはしなかった。
工房へ戻らないこともほぼいつものことだったりする]
村の設定が変更されました。
[夕方過ぎ、門を潜る間際執事らしき人にぺこりとお辞儀をしながら、屋敷の裏からひっそりと外へ出た。
足取りは重く、真っ直ぐ歩いているつもりだったが僅かにふらついて頼りなかった。]
…。
[帽子を目深にかぶり、誰とも視線を合わさないようにしながら、なるだけ急ぎ足で娼館へと戻っていった。
痛む体を宥めながら。]
……。
[ぼーっと、空を眺めている]
青。
[一言、呟く]
そして、赤。
[瞳に赤色が浮かんでいる]
最後に、黒。
[ぷふーっと息をもらす]
単純に言うだけなら、これで終わるのに、どうして絵に表そうとしたら、難しいんだろ。
[ユーディットがどんな思いでいるかなど。
全く考えていない……訳ではないが、曲の事に集中している時は大抵は抜け落ちており]
空の果て……。
虹……。
架かる橋……。
[例によって例の如く、呟きながら歩いてゆく]
んー……つかめそうで、つかめない、な。
……流石に戻るべきか。
[しばらくぼけーっとしていたが、一応仕事は残っているわけで。
工房へと戻るべく、登っていた木の上からぴょいと飛び降りた]
あーあ。
長い間見つめていたけど、やっぱわかんないな。
[見つめていたというよりは、半分以上ぼけっとしていただけなのではあるが]
赤って言っても、色んな種類がある。うん。それは分かる。
でも、その色は何の色なのか?ってことを考えたら分からなくなる。
感じるまま、かあ。
……先に頭で考えちゃう私は、画家には向いてないのかなあ。
―――くしゅん!
[そろそろ、夜に近づき肌寒さを感じてきて、くしゃみをもらした]
わ。鼻水、鼻水。
[慌てて、鼻を押さえて、服のポケットをまさぐった]
[あまり忙しくならないうちにと、頼まれたのは配達の仕事。
本来ならそれは店の範疇ではないのだが、相手が親戚となれば、話は別で。赴く先――娼館という場所に関して、抱くイメージは格別良くも悪くもない。そういう需要もあるのだ、という、その程度だった。……とは言え、]
捕まらないようにしないと、ねぇ。
[別に欲がないわけではないが、金を払ってまで欲しくはない。
その上、冗談だろうが、仕事を「させよう」とするのは勘弁願いたかった。そちらの需要も、あるにはあるのだろうが。
呟く青年の足元を、白猫がちょろりとうろつく。
何を見つけたか、ぱちりと白金の眸を瞬かせて、先んじて歩んでいった]
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