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メイドなんだから自分で縫いなさいな。
[相手もそうだが緊張感のない声で返す]
やーよ。
そんなに血が見たいなら…自分のを見れば良いでしょっ!
[弾かれた刃はルージュの影へと吸い込まれる。
その隙に相手は鎌を振り抜いてきて。
一撃目は当たることなく鎌は上へと抜けて行く。
しかしそれだけでは終わらなかった。
僅かな油断。
その隙を逃すことなく鎌の柄が上から打ち下ろされてくる]
くっ…!
[その勢いに避けられないと悟ると、腕を振り上げ頭の上でクロスさせる。
同時に影が布状に下から伸び、ルージュを護るようにクロスした腕の上に展開した。
柄からの衝撃を全てそれで受け切ろうと]
[きょとん。]
…………?
[制御の隙間。聞こえた呟きに不思議そうに
小さく少女は振り向いて。
モニターが制御を離れ、ゆーでぃっとの姿が映る
少女にとっては、記憶の始まりから
植え付けられたこの能力が
感嘆が滲む言葉を引き出したとは、思い付かず。]
[女子高生の声に、いまいちはなれがちだった意識がしっかり引き戻される]
あー…まぁ、さんぽっつーか、何つーか。
一人歩き?
そっちは…。
………誰かと、逢引?
[微かに首をかしげ、消炭の瞳を細め]
[揺らめく朱に気付きつつも、この場では何も言わず。
彼が昇り切ったのを確認すれば、速度を上げて一息に
屋上を軽く見下ろせる程度の高さまで]
こんばん、は?
[彼女もアーベルと同じく意外、という感想を抱いたのだろう。
ほんの少しばかり首を傾げて、ぺこりと挨拶をした]
……、……あいびき?
[理解不能な単語を聞いた。
とばかりに、そっくり、繰り返した。
ぐぐぐぐ、と更に傾げられる首に、飾りが鳴り――]
ああ、そうなんですか。
それでしたら、えっと。
多分あっちの方でユーディットさんとオトフリートさんが。
[そう言って、さっきまで彼女が立っていたあたりの方角を示す。
その言葉に含まれていた矛盾には気付かないまま。]
[鎌を力を添えるようにして落とすが、影が防御を助ける。
ち、と小さく舌打ちしつつ、顔が近づいたならばにんまりと笑う。]
あはははは。
ボク、自分が痛いのはイヤだからさぁ。
ねぇ、痛い表情(かお)、して?
[会話は実に楽しそうに見えるだろうか?
防御に使った影がどう動くか分からない為、トン、と一歩また後ろへ下がって間合いを取ろうとする。
と、そう見せかけて、鎌を持った右手と逆の左手の人差し指と中指を2本、自分の唇へつけつつ、息を吸った。
頬をぷっくりと膨らませて指と指の間に息を吹き込むと、黒い炎がゴ、と噴き出た。]
誰が逢引だって?――フェイ。
[呆れ混じりに、聞えてきた言葉に突っ込みを投げる。
夜闇に紛れて、姿は判りづらいものの
声の主は十二分に理解できた。]
…そういう君は、あの子どうしたの。
[ぴったり引っ付いてたでしょ。
と、隣に居ない存在に、ゆるりと首を傾いで]
[パタパタと上がってきたイレーネに気付くと、にっこり微笑み]
ああ、イレーネちゃん。こんばんわ。
えっと、そんなに不思議ですか
[小首を傾げる様に苦笑い。]
君にとってはあたりまえのこと、か。
[不思議そうにこちらを振り向いた少女に返したのは苦笑。
こちらの感情を理解していないことが分かる、無垢な表情。先日のイレーネとの会話の時よりも深くどこかを抉る棘。
けれど今はそれを抑えるだけの目的があり、視線は意志によって逸らされ再びモニターへと向けられる]
…早速始めているのもいるわけだ。
遣り合ってるのはエンジェル…と、誰だアレ?
[映った姿に眉を寄せる。怪訝そうに呟いて]
リーチュェだっけ。
あれが誰か、君には分かるか?
[集中から発音は僅か乱れつつ、少女に問いかける]
ん、と。
あんまり、運動しそうじゃないって思ってた、から。
ここまで登ってきたんだ、って。
あとあと。
何だか、壊れた場所にいる感じがしない、から。
[と、苦笑いには至って真面目に返した。
壊れた場所、とは廃墟の事を指した言葉だが
どう受け取られるかは分からない]
[ナターリエの言葉に、あいつらか、と呟く]
……執事とメイドのバトルって、それもそれですげーな、おい。
[小さく呟いて、示された方角を見やる。
この位置からは何も見えず、糸が舞う状況では獣の感覚は働かないため、正確な情報はまだ、捉えられないが。
ぶつかりあう、気配らしきものは確りと捉えられた]
どっちが勝っても不思議なし……って、とこだな。
あれ、違うの。
[ふうん、と相槌を打とうとした表情が一瞬凝固し、そして噴出した。
そこに見えたのが隣人の姿だったからだ]
…日碧?!
おまえ、お上品な顔して夜に、しかもこんなところ選んで逢引なんて…!!
[わざとらしいオーバーリアクション]
[イレーネからの問いには、苦笑いをしつつ]
そうですね。運動は得意じゃないですよ。
ここまで上がってくるのには骨が折れました。
壊れた場所? ああ、私ってそういう風に見えますか。
…ちぇ、何だよ二人して李雪李雪ってよー。
あー、はいはい、どうせ俺様おまけだよー。ちぇ。
[ぷりぷり不機嫌そうな顔してから小さく息をついて]
あー…今頃宿舎で起きてる頃だと思うけど。
[それがどうかしたのかとばかりに青少年は二人のほうを見て、その間で視線を揺らし首をかしげる]
ユーディットと、オトフリート――?
やりあう、バトル――?
[二人がじゃんけんをしてるのかな、と思って
彼女の指差す方向を見たけれど――何も分からない。
勝敗の行方に興味津々というように、
示された方向へついと翼を向ける]
[翼を向けるイレーネの様子に、左手を額に当てつつ前髪をかき上げる。
そう言えば、その辺りの概念の理解には至ってなかったのだな、と]
ああ、どーもそうらしい。
かなり、痛そうな気もするけどな……。
あんなに懐いていたのに、
ひとりにして来たら、可哀想じゃないですか。
それに、今は、こんな状況なのに――
[なのに。
何を暢気に会話しているのだろうと、過ぎる思考。]
大変なのに、頑張ったんだ。
とてもとても、したい事があったんだ――ね。
それは、できた?
[無為に苦労をするようにも見えなかったらしく、
このビルの上に何か目的があったものと考えたようだ]
壊れた、場所。
ナターリエはもっと、何だろう。
静かで寒くない場所にいそうな感じがした。
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