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……みっともないところを見せた、ね。
…でも、その。
ぁ、ありがとう。
心配、してくれて。
[どこか恥ずかしそうにしながら礼を述べた。
口調も普段一人で居る時のものに近くなっている]
―宿屋 個室―
[暫く眠る夫の顔を見ながら、
その顔に白い髪が掛かっていたので、それを払った。]
……ごめんなさい。
もっと貴方にも気を配らなきゃいけないのに。
[深く眠ってしまった為に、おそらく届かないだろうが、それでも呟いて。
流石に子の事を考えて寝ずに座り続けることはせずに、
常のように夫の隣に潜り込むと、
おやすみなさいと囁き、頬を寄せ*目を閉じた。*]
[落ち着きを取り戻したミハエルに娘は安堵を覚えた。後からやって来たらしきライヒアルトに気が付くと、緩く笑ってまた少年へ視線を移した。]
ン―――…すっきりしたかい?
[翡翠の眸を覗き込みながら様子を伺う。
大丈夫そうなら、にっこり笑んで。]
みっともなくなんてないよ
教えて呉れて嬉しかったのだよ
[年相応の口調になった事に気が付くと、矢張り背伸びをしていたのだろうと知れた。休むという言葉には了解し、見送る心算で。]
今日は疲れたのだろうしね
ゆっくり休んで、また明日元気な顔を見せて欲しいよ
―湖畔―
こんな時間に一人で帰る気か?
あー…、ランタンでも借りてくりゃ良かった。
夜道を女子供が一人で歩くな。
あぶねぇって教わらなかったか?
[一人で歩き出すミハエルを追う。
翡翠が此方を向けば、一旦足を止めて]
……っと、私が怖いなら離れて歩く、から。
[無事少年が自宅まで帰るのを見届ける心算で
チラとゲルダやベッティ、クロエにも視線を向け]
そうだな、そうするといい。
[家に戻るとの言葉、ライヒアルトが来たのはちょうどその頃か]
ライヒアルトも来たのか。
[片手をあげてふりふりと手を振ってから]
そうだな、近いとは言っても危ないか?
んーー、ライヒアルトと二人が心細いなら私が一緒に行くぞ?
[ミハエルにそう確認するように、もしそうなるならばクロエとゲルダには二人で帰ってもらうことになるだろうか]
ま、その方が良いだろうよ。
ってか一人でうろうろすんなよ。
分かってんのか?
[信用されていない事など青年は重々承知している。
ベッティの言葉にも傷ついた様子はなく]
いくら待っても帰ってこねぇから
さすがに心配になったんだよ!
ベッティがいくら御転婆だっていっても
仮にも年頃の娘さんだしな。
余りミハエル君を責めないで欲しいのだよ
[自分達も女子供の内に混ざってるとしても承知で、
そんな事をライヒアルトに告げた。]
確かに、気が付いたらとっぷり日が暮れてしまっているのだね
…でも、来てくれて嬉しいのだよ
[青年が心配する様子には言葉通り嬉しそうにはにかんで]
ン…心配なら僕もついていくのだよ
ライヒ君も女子供だけで帰るのは危ないと言っているし
[ベッティとクロエにはそう伝えて。]
[ミハエルの零した言葉に軽く目を瞠る]
そ、か。
それだけでも十分過ぎるほどだ。
ミハエルにとって大事なものがみつけられるといいな。
[彼女らに任せたのは正解だったかもしれない。
そんなことを思いながらミハエルに頷き
怖がらせぬよう距離を保ったまま
彼の自宅へと送り届ける]
心配してくれて、ありがとな。
[ライヒアルトにそう笑いかけて]
一人より二人のがいいと思ってな。
[それはライヒアルトの帰り道を心配してのことだったが、その意図は伝わったかどうか]
皆で動く方が間違いはねぇかな?
[ゲルダの提案のこともあって、拒まれることがなければそのまま固まって動くことになるだろうか]
ライヒ君もそんなに離れなくても好いの想うだよ?
[彼と少年の距離を想い、そう口にして。
そもミハエルと仲の好かった存在はライヒアルトであることは宿屋での彼らのやり取りを見て識っていたから。]
……ミハエルを責めてるんじゃねぇ。
此処にいるの全員を叱ってるんだよ。
仮にも年上なんだから暗い外で話し込むのは
危険なんだって事くらい気付いてくれ。
[ゲルダの言葉に多少項垂れてしまった]
連れ帰ってくると思ってたのに
全然戻ってこねぇし。
心配にもなるだろ、普通。
ま、全員一緒ってのが一番安心できるな。
目の届かないところにいると
何しでかすかと心配で落ちつかねぇし。
ま、何事もないようで安心した。
ああ、確かに二人の方が良いだろう。
[ベッティの言葉に頷く。
流石に青年は自身の事を心配されているとは思わず]
そうだな。
それが良いと思う。
[クロエに良いかと尋ねて再び歩き出し]
……これくらいの距離が今は丁度良いだろ。
心配ならミハエルの傍にいってやれ。
[ゲルダの言葉にはそんな風に返しておいた]
う…心配掛けさせてしまって済まないのだよ…
[ぐうの音も出なかったのか、その彼が項垂れたと同時に娘もへなりとして。考えてみれば人狼が居るかもしれないと言うのに外出はとても危険なものだったと識る。しゅんとして眉根を寄せ、軽率な行動に落ち込む様子を見せ。]
ごめんなさい…
[俯き、謝罪を口にするとゆるゆる首を振って。ミハエルを送り届けようとするのに付いて行こうと歩き出すと転んだ時に擦り剥いた膝が痛みで表情が引きつった。]
よくよく考えれば、こんな騒ぎなのに独りで来て呉れたのだね
ライヒ君にも危険な目にあわせてしまったみたいだよ
[むう、と娘は唸るような声を漏らした。]
まぁ、いろいろあるんだ、許してやってくれよ。
[ライヒアルトの小言に、自分も含まれているのだが、
返したのはそんな言葉で]
今度からは同じようなこと、ないようにはするからさ。
[それから皆で歩き始めてからしばらくして]
心配かけて、ごめんなライヒアルト。
[小さく謝罪の言葉をぽつりと]
[そのまま、ミハエルを送った後は何もなければ宿屋へと戻り、
パスタや皿は他に皆が食べないようなら、明日の朝にと厨房の方に片付けておき、いくらかは自分で食べて残りは自分の朝食用に]
明日の朝食はおきてから簡単なもの作るか。
[あくびをしながら簡単に片づけを終えると、宿にいる皆がそれぞれ部屋に戻ったのを確認した後自分も自室へと*戻っていった*]
分かってくれたならそれでいいさ。
次からは流石に気をつけて呉れよ?
[ゲルダの謝罪にゆるく目を細め頷く仕草。
引き攣る表情には怪訝そうに眉を寄せ]
……なんだ、また怪我したのか?
[問い掛けるのは暗さの為か歩いていて見えない為か]
あー、こっちのことは気にすんな。
何も無かったし、な。
うん、解ったよ、そうする
君の分まで傍に居ることにするのだよ
[ライヒアルトの言の通りミハエルを送り届ける傍ら、
拒まれなければ傍らで道を歩きだして。]
そういえばライヒ君、ブリジット見なかったかい?
一緒に探しに行ったと思ってたのだけれど
ベッティ、お前さんほんとに分かってるのか?
[ベッティの言に思わず問い掛けた。
やれやれと肩を竦め]
ああ、その言葉を聞いて安心した。
ま、ちっとだけだけどな。
[ほおっておくと無茶をしそうな娘に悪戯な笑みを向け]
分かって呉れたならいいよ。
アーベルもきっと心配してるぞ。
[小さな謝罪には同じトーンで紡ぎ目を細める]
ああ、そうして呉れ。
[ゲルダに頷き]
……え。
お前さん達と一緒じゃなかったのか?
[ブリジットの事を言われれば首を傾げる]
あー…、宿に戻ってるかもしれねぇし
一旦戻るぞ。
[ミハエルを送り届けた後は
ブリジットの事が気になるのか辺りに気を配りながら
宿屋へと戻っていった]
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