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―パン屋→村の通り―
とりあえず、えーと。
やることはもう無い?
[少し首を傾げつつ。
とりあえずさっき声がかけられてたなぁなんて、元来た道へと引き返す。
食べていたから後でね、だったのはまぁ置いておくとして。]
さっきぶり?
[軽く悩みつつ、エーリッヒとベッティへと声をかける。
パンは食べ終わっているし荷物もないので、さっきよりも身軽そうだ。]
─道具屋─
なるほど。
手が早いな、ゼルギウス。
[昨日のうちに、と入イレーナの説明に、至極真面目な顔をしながら──誤解の産まれそうな台詞で薬師を褒めた。
普段は投げ矢の準備を見る機会などは、
あまりないからか、興味深そうにしていて]
よし、準備万端だな?
…。ゲルダのパンがでてきてから、
ちょっとしたぴくにっく気分もあるな。
[首を傾げてから──ぱち。と自分の頬を叩いて]
いや、勿論気もひきしめる。うん。
―自宅―
ったく。
[小さな訴えにまた溜息が洩れた。
近づいて来たユーディットを中に招き、以前レナーテを処置したのと同じ部屋に通して]
座れ。
……で、誰にやって貰ったんだ、これは。
[中央の椅子を示してから、彼女が座るのを待ち、尋ねた。
しっかりと施された応急処置を、ユーディット自身がやったとは初めから思わなかったようだ]
[『美人髪』
色と髪、差すものが何なのかはすぐ分る。
不相応な名前だと、正直思った。
くるりと、指で自分の髪の先を巻き取って。]
…あれ、おいしくない。
[ぽつりと、いつかと同じように呟いた。
むしろそう言っていたのが自分だけだったから。
より印象も強かったんだろうな、とは胸中だけ。
ユリアンがエーリッヒに、名前を告げて決めてしまうと、困ったように眉が下がった。]
─村の通り─
[どこかへ行ったはずのウェンデルが戻って来た]
無視されたのかと思った。
[さっきぶり?と言うウェンデルに僅か苦笑の色。しかし直ぐに表情を戻して]
ちょっと、伝えておこうかと思って。
……ゲルダが、刈られたってこと。
[ベッティに向けたものと同じ、悲しげな笑みが浮かんだ]
─ゼルギウス宅─
……にぃ。
[続くため息に、か細い声を上げたりしつつ。
部屋に通され、言われるままに椅子に座った]
あ、えと、これは。
リィにいに、やってもらったんだよ。
だから、奥まで行っても、あんまり痛くなかったんだ。
[問いには素直に答えつつ。
なんか、余計な事までぽろっと言った]
─村の通り─
[優しく頭を撫でられ、心のもやもやが少し晴れたような気がした。]
────うん。
[まだ続くと言うエーリッヒの言葉には、短く頷いておいた。
スッと頭から離される手。その温もりの残滓を感じていると、]
えっ、ウェンくん?(びくっ
[エーリッヒが読んだ名前に過剰に反応して、きょどきょどと挙動不審に辺りを見回す。
だが、どうやら見つけるには至らなかった様子。]
[自分は何も残さなかったのに、代わりに残してもらった。
それは、さっきギュンターに語った想いとは裏腹の行為だったが。]
…ありがとう。
[気にかけてくれて、思ってくれて。
残してくれて。
声をかけてくれて。
小さく小さく、呟いた。]
─道具屋─
そうだね、無理してなきゃいいけど。
[仕事熱心だからねー、と笑って。
気を引き締める、と言ったミハエルにも微笑んだ]
うん、怪我なんかしたらそれこそゼルから大目玉だしね。
あ、レナ、ゲルダのパンこっちのバスケットに入れて。
よし、それじゃいこっか。
[レナは万一に備えすぐ動けるようにと、手持ちの荷物は持てる限り自分が持って。
戸締りを簡単に済ませると店を後にして、目的地へと向かった。]
─村の通り─
[そのあともやけにきょどきょどしていたわけですが、そんなことをしているとウェンデルが戻ってくる。]
あ、ウェ、ウェンくん。お、お………おいッス。
[明らかに目が泳いでいる。]
―自宅―
[本を書き終えて、それを巨大キノコの机の上におくと横になった]
父さんは、どんな気持ちだったんだ、その時。
[呟き、目を閉じた。
このまま眠りについて、また自分の影は、『死神』は誰かを刈るのだろうかと]
[きのこ畑のあの小屋に戻ろうとするユリアンの後を追いかけたが、
エーリッヒの所にベッティが来て、刈られた事が伝われば悲しげな表情を浮かべられて。
それをこっちも、少しだけ悲しげに見つめていた。
足が止まっていたら、ウェンデルの姿も見られて。
手にしたものと、行き先を見ると、あ、と小さく声をあげた。
そこに私はもう居ないと、告げる事も出来ずに背を見送って。
悲しげに、通りを去ってユリアンの後を追った。]
―村の通り―
食べてたから返事できなかったんだよ。
無視とかはしないよ。
集中してるわけでもないんだから。
[ごくごく普通に言った。
それから伝えられたことに、さっき行った道の方を見て。]
は? ゲルダが?
……だから居なかったの。
長も、刈られたんだっけ?
[なんとなく納得した、というような声をして。
ユリアンから聞いたんだけどとは付け足して。]
悲しいね。
いなくなるのって。
[言葉と表情とは違い、声はいつもどおりだった。]
―自宅―
ほお。
[返答に感心したような声を出しながら、巻かれた布を解く。
腫れた足が目に入ったのと、余計な一言が耳に届くのはほぼ同時だった]
……奥?
[顔を上げて、ユーディットを見た。
声の温度は先程よりも下がっている]
─道具屋→狩場へ─
無理?
[ゼルギウスについての心配には、あまり考えていなかった風できょとん。として]
う…。痛い目を見たのに、
さらに怒られるのは勘弁されたい。
[痛かったらちゃんと気をつけるのにな。と、言って、不満そうに膨れた。]
うん。宜しく、イレーネ。
[行こう、と誘いに、狩場の場所を知らない語り部見習いは、とてとてと離れないこと。といわれたとおりに二人の後にぴたりとついていく。]
[きのこ畑で働くユリアンの様子を見て。
ああ、普段こんな感じで仕事してたんだ、とかぼんやり思った。
感想小屋での作業も何となしに、少し離れた所から見て。
小屋に戻り、手にしたノートの中に書き加えた文字を、やっぱり困ったように見ていた。]
…緑髪、とかでもよかったと思う。
[髪と緑が繋がるのは分るが。
やっぱり美人とかいう箇所には、首を捻らざるをえなかった。]
─ゼルギウス宅─
うん、奥の……。
[小広場、と。
言いかけた言葉は、低音の声に途切れた。
見られているのはわかっていても、あわせられない視線があちこちを彷徨う]
……だ、だって。
かたつむりに、じいちゃのこと、教えてあげたかったんだもん……。
[しばらくぐるぐると視線を彷徨わせた後。
ぽそそ、と奥に行った理由を告げた]
─村の通り─
ああ、食べながらだったのか。
そりゃ返事出来ないね。
[ウェンデルの説明に納得して頷いて。続く問いには肯定の頷きを返した]
おそらくは。
そうだね、居なくなってしまうのは悲しい。
何度体験しても、慣れることは無い。
[思い出すのは両親のこと。それぞれ目の前で消失を見たことは、妹にも言っていない]
[ベッティの様子と、不思議そうにそれを見るウェンデルを見て]
(ふむ)
ああ、ウェンデル。
ベッティのこと頼めるかな。
俺は他の人にもこのことを伝えて来なきゃならないから。
[ウェンデルに頼んで、その場を離れようとした]
─村の通り─
[ウェンデルに対してちらちらと視線を向けたり外したりしていたが、顔や言葉に反して、いたっていつも通りなウェンデルの口調に、意外そうに目を向ける。]
…………ウェン……くん?
[だが、ウェンデルにこちらをじーっと見られると。慌てて視線を外した。あからさまに。あと、頬が赤く染まっていたり。]
[すぐ傍に立つことは、なんとなく出来なくて。
少し離れたところにあった、きのこの椅子に腰掛けた。
そうして届く声に、ぽつりと呟き返した。]
…寂しいとは、思ってない。
[そういえば、それは思っていない。
一人なのに。
長がいるからだろうか。
それとも死んだら、そんな想いは失せてしまうものだろうか。
続けられた言葉には、ゆるく首を振った。]
…むしろ、してもらってばっかりだったよ。
何もしなかったのは、私……。
[ごめんなさいと、今日何度口にしたかわからない言葉を、また唇に乗せて呟いた。]
─狩場─
[本人が逃げ足は速いぞ? と、主張したとおりにか、基本的な運動能力はそう悪い方ではなく、そう遅れずに後をついていき。]
レナーテ。
運良く──か? 蜥蜴に遭遇して、
狩りの様子を見れたなら、
死んだ蜥蜴を、持たせてもらうことを希望する。
[道行の途中お願い事を口にして。かなったなら、たぶん──長いことその重みを手の中で確かめたことだろう。]
―自宅―
お前な。
怪我したら安静にしろといつも言ってるだろが。
[声に違わず視線は冷たい。
けれど理由を紡ぐ声を聞けば、少し黙って]
……んっとに。
そんなんだから、長も心配すんだよ。
[呟いて、部屋を一度出た。
戻ってくる時には腫れを冷やす為の水と、いつもの染みる薬を持って]
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